他人に感謝を求めてくる人の心理と問題点

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二次元のツンデレキャラでもないのに、やたらと「私に感謝しなさい」と言わんばかりに感謝を求めてきたり、場合によっては感謝を強要してくる人とというのは困りものです。

実際に相手から受けた施しの内容次第では、お世辞にも感謝できるものではないありがた迷惑に過ぎず、感謝よりも怨みや失望感が優って素直に感謝するきになれないこともあるものです。

とはいえ、施しを受けた以上は感謝しなければ「私はせっかくあなたのためを思ってやったのに…」と被害者面をされたり「人の気持ちを踏みにじる非常識な人」と言われて施しを受けた自分の評価に関わるので、とりあえず感謝の気持ちは示しておく…というのが、円滑な人間関係を送る上での処世術のように感じます。

もちろん、困った時に助けてもらう、アドバイスを受けて問題が解決したなどの感謝が必要な場面で感謝の気持ちを表すのは人間関係を円滑にするためにも欠かせないことではありますし、そういう場面で自然と感謝の気持ちを表すのは常識と言えるでしょう。

しかし、一方で「感謝は自発的にされるものであり、感謝をされることを無闇に期待したり、感謝を要求することはみっともない」という常識もあるように感じます。

今回はそんな「感謝を求める人」にまつわるあれこれについてお話しいたします。

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他人に感謝を求めてくる人の心理

他人からやたらと感謝を求める人に共通しているのは、何らかの「見返り」が欲しいという心理です。

感謝されるような行動は「一般的に見返りなど求めず行うべき」という価値観が日本ではよく見られますし、経済的な報酬を求めないボランティア活動が高く評価されていることからも、その価値観の強さが伺えます。

一方で心理学の社会的交換理論では、人間関係のやりとりは全て等価交換のギブ&テイクの状態が心地よく、どちらか一報が過剰に精神的なコストや金銭的な報酬を支払う、あるいは受け取りすぎる状態になると、人間関係が長続きしなくなるという考え方もできます。

社会的交換理論における報酬は、物質的な報酬(金銭、物など)だけでなく心理的な報酬(感謝の気持ち、尊敬、評価など)も含まれています。

感謝を求めたがる人は、社会的交換理論で考れれば自分が差し出したもの(時間、労力、金銭)に対して、心理的な報酬を求めているのだと解釈することができます。

では、具体的にどんな心理的報酬を求めているのかについて、詳しく分析していきます。

周囲から承認されて必要とされたい

自分が誰かに対して何かしらの施しを行い、心理的な報酬として「あなたのおかげで助かった」「あなたが居てくれたから解決した」という言葉を求めていることがあります。

言い換えれば、周囲から承認されたい、自分が必要とされている実感を得たいがために、誰かに対して親切な行動を行うのです。

つまり自分の承認欲求を満たすために、誰かに対してアプローチをしているというわけです。

もちろん、ひねくれた見方をすれば自己満足のために誰かにアプローチをしている姿に疑問を覚える人もいようと思いますが、結果としてお互いに満足していれば問題はありません。

しかし、「承認欲求を満たしたい」という思いを本音を伏せた上でアプローチをかけている以上は、自分の期待通りの反応を得られない事務的な感謝になってしまったことで、承認欲求が満たされない葛藤に苦しむこともあります。

また、承認欲求を満たしたい気持ちが強まりすぎて、過度に相手に感謝を求めすぎて精神的に依存するかのような接し方になる恐れもあります。

自分は感謝されるような素晴らしい人間であると誇示したい

プライドだけが異様に高く自己愛の強い人に見られるのが「自分は他人から感謝されてさも当然な人間である」と言わんばかりに接してきて、やたらと感謝を求めることです。

自己愛の強さとは裏腹に、自分を取り巻く環境や周囲の目に敏感で精神的に傷つきやすい一面もあり、傷ついたメンタルを癒すためにも他人に感謝を求めようとしてくるのです。

感謝を受けるためにやったことの内容がどうあれ、実際に「周囲から感謝されている」というアリバイさえできれば、「自分は感謝されるほど素晴らしい人間である」という説得力を持った事実となります。

それは、自分で自分を褒め称えるような自画自賛とは一線を画したものであり、自慢話として「自分はこれだけ多くの人から感謝されているんだ」と言い張り、その場で更なる承認や尊敬を集めることも容易です。

もちろん本当に感謝されるようなことをしていればいいのですが、一方でこのタイプの人は周囲の評価に敏感であるがゆえに、感謝しない人に対して排他的な態度を取ることがあります。

または「感謝しない貴方に問題がある」とか「常識的に考えて感謝すべき(=常識という権威を借りている)」と高圧的な言動を取ることもあります。

加えて「自分は感謝されて当然だ」という自己中心的な考えのせいで、相手に親切にしているつもりで実は自分勝手でわがままな行動に他人を巻き込み疲弊させていただけであり、到底相手から感謝を得られるようなことはしていない…ということもあります。

こうなると、

  • 自分「感謝されて当然のことをやった」
  • 相手「感謝するようなことを受けてはないし感謝する義理も無い」

という認識の相違から衝突を起こしても無理はありません。

不公平感が受け入れられない

社会的交換理論はお互いに等価交換の関係こそが大事です。

感謝する・されるの人間関係で考えれば、適度に感謝しつつ・されつつの関係であれば、お互いに居心地がよい関係と感じます。

しかし、感謝をされる側…つまり、感謝を求める側が自分の支払ったコスト以上に感謝を要求する癖があると、普通の感謝では不公平感を感じて満足できなくなります。

仮に支払ったコストやそれに対する感謝の気持ちをお金で換算するとしたら、

  1. 感謝を求める側が1000円分のコストで2000円分の感謝の気持ちを求めようとしている。
  2. それに対して感謝する側は支払ったコストと同じ1000円分の感謝の気持ちを示した。
  3. 金額だけで言えば「支払ったコスト=感謝の気持ち」で等価交換である。
  4. しかし、感謝を求める側は2000円分の感謝の気持ちを求めているため、不公平感が募る。
  5. 不足している分の感謝の気持ち(1000円分)を相手に求めることで不公平感を解消しようとする。

という、不公平感を埋めるために感謝を求めてる行動に出ているのです。

冷静に考えれば、1000円分のコストに対して1000円分の感謝の気持ちは妥当であり、それ以上を求めたり期待するのは、実際の買い物やビジネスであれば変だと気付くものです。

また、仮に1000円分のコストに対して2000円分の感謝の気持ちを差し出してしまうと、感謝を求めた側は不公平感が無くなり満足した一方で、「感謝をした側は1000円分を無駄に差し出してしまったという」不公平感を抱くというジレンマもあります。

感謝を求めてくる人の問題点

上でも何度か触れていますが、感謝を求めてくる人の問題点についてまとめます。

他人に対する期待が大きく傷つきやすい

他人から感謝を求める人は「当然感謝してもらえるに違いない」という期待を大きく持っている一方で、期待が外れな感謝であったり、期待に届かない感謝が返ってくると強く傷ついてしまうことがあります。

自分が支払った1000円分のコストに対して、2000円分の感謝が返ってくることを期待しているようなものなので、そもそもで言えば2000円分の感謝を1000円で求めることに無理があるのは明白です。

自分の期待を下げて妥当な感謝で満足することを覚えるほうがお互いの関係を悪化させないためにも大事です。

…ですが、労力や感謝の気持ちは金額という数値で換算できるものではないではないために、そもそも自分の期待が的外れであり、過剰に求めすぎている事を自覚しにくく、過度な感謝を強要する行動に出てしまいがちです。

過剰に感謝の気持ちを要求し、押し付けてくる

「自分は感謝されてしかるべき」という高圧的な気持ちや態度で接してきて周囲を疲弊させたり「感謝しない人はおかしい」と責め立てて過剰な感謝をするように押し付けてきます。

しかし、過度に感謝するように迫れば迫るほど、感謝する気が失せたり逆に怒りや不満をぶつけたくなるのも、また人間の持つ自然な心理であり、結果として求めていた感謝の気持ちは手に入らず人間関係が殺伐とすることになってしまいます。

このように「○○しなさい」と言われれば言われるほどに「○○したくなくなる」現象は、心理的リアクタンスと呼ばれています。

「勉強(宿題)をしなさい」と言われれば逆に「勉強(宿題)をしたくなくなる」と感じるのと同じ現象が感謝を求める場面でも働いているのです。

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自分の行動を棚にあげる行動が目立つ

感謝を求めたがる人に欠けているのが「自分は本当に感謝されるほどの行動をしているのか?」という、自分自身を客観的に見ることです。

自分の行動が本当に誰かから感謝されているのかを振り返ろうとせず、ただ「私はこんなに頑張った、貢献したから感謝して!」と自分を全面に押し出す姿勢が、素直に感謝する気になれない人を生み出しているのです。

そして、感謝する人に対しては手厚くなりますが、一方で行動に対して疑問視する人に対しては妙に攻撃的な態度をとる点が、どうしても偽善者っぽく見えてしまう原因になるのです。

もちろん、他人に対して貢献する事そのものや姿勢は素晴らしいとは思いますが、その素晴らしさに驕らず自分の行動は本当に他人のためになっているのか、という冷静な視点を持つ事も忘れてはいけないことだと感じます。

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