嫌なものを見てしまう心理について

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見てもいいこともないし、むしろ見たくない光景がその先にあることはわかっているのに、つい出来心で見てしまう。

そして、一時の気の迷いで揺れ動いてしまう自分の軸のブレ具合に嫌気が指す…という類の経験がある人は、決して少なくないものだと感じます。

たとえば

  • あまり気が進まないけど、つい元恋人や昔の友人のSNSアカウントを覗いて近況を調べてしまう。
  • 「閲覧注意」とされてているのに、それに逆らい刺激の強い画像や動画見てしまう。(一昔前の2ちゃんねるのブラクラとか…)
  • 「検索してはいけない単語」で、あえて検索してしまう。
  • SNS上で流れてきた、ひっかけ要素(いわゆる「釣り」)がある画像や投稿を見てしまう。

…など、嫌な気分になる確率は高いのにかかわらずに、ついつい見てしまう。

今回はこうしたわかっちゃいるけどやめられない、嫌なものを見てしまう心理についてお話いたします。

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嫌なものを見てしまうのは葛藤に耐えられないことが影響している

私たち人間が二つの選択をする際に、どちらにしようか迷って悩んでしまうことを葛藤と呼びます。

当然ながら、葛藤し続けていては疲労やストレスが蓄積し、非常に不快な思いをしてしまう。そんな不快感で苦しまないためにも、何かしらの行動をとることでその状況を脱する。つまり、嫌なものを見てしまうのは、葛藤状態の苦しみから逃れるためにしている行動だと説明できます。

しかし、葛藤状態から逃れるとは言え、結局は見なきゃよかったものを見てしまい、その結果嫌な気分になってしまう。これでは、「結局は不快な状況を避けられていないのでは?」と疑問を持つ方もおられることでしょう。

これについては、葛藤が起きる状態そのものを詳しく見ていくことが肝心です。

心理学者のK・レヴィンは、葛藤を

  • 接近:「○○したい」という欲求。
  • 回避:「○○したくない」という欲求。

の2つの欲求がぶつかることで起きるとし、その組み合わせ次第で葛藤状態を以下の3種類に分けました。

  1. 「接近=接近」:異なる「○○したい」という欲求がぶつかる状態。(例、お寿司も食べたいけど、焼肉も食べたい…など)
  2. 「回避=回避」:異なる「○○したくない」という欲求がぶつかる状態。(例、就職したくないけど、進学もしたくない…など)
  3. 「接近=回避」:「○○したい」と「○○したくない」という欲求がぶつかる状態。(例、部活動はやりたいけど、勉強はしたくない…など)

嫌なものをつい見てしまう行動は、「回避=回避」および「接近=回避」のケースで生じるものだと考えられます。

「回避=回避」で見る「嫌なものを見てしまう心理」

嫌なものを見てしまう心理は「嫌だから見たくない」という回避の欲求があることは容易に想像できるでしょう。

しかし、この回避の欲求以外にも、たとえば

  • 嫌なもの見ないまま居座る状態は、自分の内なる好奇心が疼いて我慢できない。
  • 閲覧注意の忠告でビビるような肝の小さい人間だと思われたくない。

などの、別の回避に相当する心理を抱いている。この場合、上で触れた「回避=回避」の葛藤状態であり、強いストレスに苦しむ羽目になります。

もちろん、どちらか一方を選んでも、いい事がないのは明白です。しかし、悩んだままの葛藤状態でいるよりは、比較的不快感が少ない選択肢を選んだほうがストレスから解放されるため、つい「嫌なものを見てしまう」という行動を選んでしまうのです。

一見すると、わざわざ不快なものに自ら近づきに行くという不毛な行動を取っているように見えますが、これは不快なものの中でも比較的マシなものを選ぶという、合理的な選択による結果と言えます。

「接近=回避」で見る「嫌なものを見てしまう心理」

「嫌だから見たくない」という回避を示す心理と一緒に、「嫌だけどちょっと見てみたい」という接近を示す心理を持っている。つまり、「接近=回避」のケースもまた、嫌なものを見てしまう行動を招くことがあります。

たとえば、

  • 接近:不安や嫌な予感はあるけど、元恋人or過去の友人の近況を知りたい。
  • 回避:見てもいい事ないからこそ、元恋人or過去の友人の近況は知りたくない。

という、いわば「怖いもの見たさ」と表現できる、ある対象に近づき気持ちと避けたい気持ちの両方を感じて悶々とする状態は、まさに「接近=回避」の葛藤状態と言えます。

接近にしろ、回避にしろ、どちらも不安なり不快などのネガティブな気持ちがあるのは共通している。しかし、ネガティブな気持ちがあるものの、ネガティブなりに近づきたい気持ちと、ネガティブだからこそ遠ざけたい気持ちが両方ある状態は、非常にもどかしくできれば早く解消したいものでしょう。

そんな時に「不安だけれども、見てみよう」と接近の行動をとってしまう。これもまた、嫌なものを見るという行動に出てしまう原因なのです。

心理的リアクタンスから見る「嫌なものを見てしまう心理」

「閲覧注意」や「検索してはいけない」など、自分の行動を制限する強いメッセージを目の当たりにした時に、あえてそのメッセージと反対の行動をとってしまう…つまり、閲覧注意のものを見てしまったり、検索してはいけない単語を検索する行動に出てしまう傾向が人間にはあります。

これは、心理的リアクタンスと呼ばれ、決定や判断などの自身の自由が脅かされた状態に対して自ずと抵抗してしまう心理を指します。

わかりやすい例で言えば、「興味のない人は絶対にクリックしないでください」という広告を目にしたときに、つい興味が湧いて出来心から思わずクリックしてしまいそうになる…という現象が、心理的リアクタンスです。(余談だが、「押すなよ!絶対押すなよ!」で有名なダチョウ倶楽部も心理的リアクタンスのいい例である。)

もちろん、嫌なものを見るのも見ないのも、本来は自由なものであることは明白でしょう。しかし、「閲覧注意」と言われると、見るor見ないの自由が一方的に奪われているように感じてしまう。

そして、その自由を取り戻すべく、閲覧注意のメッセージに反して、その先にある画像なり、動画なり、文章なりを見てしまうのです。

抵抗する心理がある以上、閲覧注意のメッセージ通りに従えばそれは自分の自由を手放し、他者のいいなりになるストレスを味わうことになる。(人によっては屈辱とも取れる強いストレスを感じるかもしれない)

そのストレスから逃れるために、見てもいい事ない可能性が高いのに、つい嫌なものを見てしまう…という、わかっちゃいるけどやめられない人間のどうしようもなさが、心理的リアクタンスの知識を用いれば、きっと理解できることでしょう。

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