地道な努力ができる人からすれば、地道な努力ができずにすぐに投げ出す人、ちょっと上手くいかないだけで根を上げる人など、いわゆる地道な努力ができない人を見ると「どうしてこの人は努力ができないのだろうか…?」という疑問を持つことがあるかもしれません。
しかし、そんな疑問を抱いても、率直に質問するのはなんだか嫌味っぽくて相手に失礼かも知れないし、仮に質問しようものなら相手の自尊心を、ほかの誰でもない自分がへし折っているかのように感じて気が引ける。
疑問を抱きつつも、その疑問の答えを聞けないことでモヤモヤとした気持ちを抱え続けている…そんな人がひょっとしたらいるかもしれません。
それはさておき、今回はタイトルにもあるように、地道な努力ができない人の特徴や心理についてお話いたします。
地道な努力ができない理由
「地道な努力は凡人がやること」と見下した考えを持っている
地道な努力ができない人のなかには「自分は努力しなくてもなんでもできる、特別で優秀な人間である」という類の、幼稚で現実離れした万能感(=幼児的万能感)を持っている人が目立ちます。
自分は特別であるというイメージを持つ人からすれば、地道にコツコツとした努力によって勉学、スポーツ、仕事などで結果を出す人は、凡人のやることであり特別な存在である自分には似合わないという感じてしまうのです。
なお、特別な自分像を持つ人がどのようにして成果を上げることをイメージしているかというと、大した時間や労力をかけずに効率的に成果を上げることこそ、自分にふさわしいと考えているのです。
コツコツ働いて金を得ることよりも、ギャンブルや宝くじなどの棚ぼたイベントで金を得る方法こそ、自分の特別さをアピールできる。つまり、少ない労力で大きなリターンを得る方法こそ、自分が特別であるという自己イメージを損なう不安がなく、そして凡人とは違う人間だと強くアピールできる方法なのです、
…見てもわかるように、大変傲慢で自尊心だけが肥大化しているのが特徴的ですが、一方では過度に失敗を恐れていたり、挫折や困難を避けたがる気持ちの強さ故に、極力無駄のない努力や効率を意識した努力を求めているとも見れます。(実際にそんな方法があるかどうかは知らないが…)
挫折や困難に弱く立ち直れなくなる不安があるから努力をしなくなる
地道な努力ができない人は、挫折な困難に直面するとすぐに自信を失う、すぐに立ち上がれなくなるほどの打たれ弱さを自覚しているために、地道な努力を回避したがる傾向があります。
上で触れたように、やたら効率を努力に求めるのは、努力している最中に「本当にこれで上手くいくのだろうか?」という挫折が頭をよぎると同時に不安かた自信をなくしてしまう。また不安と上手く付き合をことが苦手としていることが考えられます。
だからこそ、短時間で効率よい努力を求めたり、なるべく不安な時間を味わなくても済む方法を求めているのだと言えます。
なお、地道な努力が嫌いとはいえ、その理由が「挫折したくない」「失敗するのが嫌だ」と正直に白状するのは、たいへん勇気がいることです。もしもそんなことを口にすれば、上述したように「特別な自分」という自己イメージが危うくなる不安もつきまといます。
そうした自分の内面の弱さを他人に悟られたくないものの、自分の自己イメージを意地でも維持したい気持ちが仇となり、自分の内面の弱さをしっかり認められずに生きづらさを抱えているとも見れます。
少しでも思い通りにならないと嫌になる打たれ弱さがある
地道な努力ができない人は、少しでも自分の思い描いていた通りの結果や進み具合にならないと、努力だけでなく自分の全てが否定されたかのように感じる。そして、あっけなく折れてしまう程の打たれ弱さを持っていることがあります。
努力をすれば「必ず」そして「すぐに」結果が出ると思い込身が強さが目立つ。しかし、それはあくまでも自分の中の思い込みにすぎず、現実は努力しても「必ず」ではないし「すぐに」結果が出るとは限らない…という、どうにもならない現実を受け入れることに苦痛を感じているため、地道で時間のかかる努力そのものを避けたがります。
なお、思い込みの強さのせいで地道な努力が苦手とはいっても、努力を始めたばかりでいいペースで進められていると感じている時は、それなりに頑張れる人もいます。
しかし、時間が経つにつれて、自分の思い込みは所詮思い込みでしかないことを悟ると、急に努力することを放棄しだして、挫折してしまうことも少なくありません。
ダイエットで停滞期に差し掛かるとすぐに挫折する人や、勉強・スポーツでスランプになると何もかも投げ出したくなる衝動に駆らてしまう人は、自分の思い込みの強さが諦めやすさを招いているという可能性も考えられます。
努力にもコスパを求めてしまう癖がある
散々述べているように、
- 無駄な労力をかけずに、なるべく効率的な努力をしたい。
- あれこれ試行錯誤をするよりも、一度できっちりと成果を出したい。
など、努力に対して効率を求めたり、最適解を求める姿勢が、コツコツと積み上げる地道な努力を遠ざけてしまうハメになるのです。
下積みを嫌がるどころか無駄と考え、自分が求めている努力によって得られる成果を、最速且つ100%で求めようとする考えに囚われているために、地道に頑張るという現実的な方法を選べなくなるのです。
簡単に上手くいく裏技的な方法を探す癖がある
努力にもコスパを求めることに通じますが、自分が求めている成果が簡単に出る裏技的な方法があると信じて疑わない姿勢が、地道な努力を遠ざけるのです。
地味で面倒な努力をせずに頭が良くなる方法だとか、身体能力や運動神経を鍛える方法だとか、収入を大幅にアップする方法だとか、モテて幸せになる方法だとか…自分が求めているものをなんの苦労もせずに楽に手に入る裏技的な方法を求めているからこそ、地道な努力をするなんて事は考えられないのです。
なお、余談ですが今やネットで検索すれば、
- 1ヶ月で偏差値を上げる勉強方法。
- たった○日で△kgも痩せる効率的なダイエット方法
- たった○日で△万円稼げる稼ぎ方。
- 「恋人いない歴=年齢」の自分が恋人を作って人生変わった方法
など、いかにも努力にコスパを求めたり、裏技的な方法を渇望する人が食らいつきそうな露骨な商品・サービスがあるものです。しかしその多くは、やたら縦に長くて宣伝文句や誇張した表現がしつこく、どこからどう見ても胡散臭さ拭えないものであることが伺えます。
こうした光景を見ていると、やたら努力に効率を求める人は、胡散臭いビジネスをする人から見て、非常にいいお客さん(リピーター候補)として見られているように感じます。
(更に余談ですが、2019年のはじめにSNSで某社長が行った100万円をばらまくという企画も、努力にコスパや裏技的な何かを求める人を多く集めているように見えなくはない…)
努力よりも結果ばかりを重視している
地道な努力ができない人は、努力よりも結果の方を重視していることがあります。
努力はあくまでも周囲から見れば評価に値しないものであると同時に、周囲は目に見える結果を求めているからこそ、周囲の人から認められるために結果ばかりを追い求めてしまっている。
勉強でも仕事でも努力(プロセス)だけでは周囲からの評価を得ることは難しく、テストの成績や偏差値の推移なり、仕事の成果、収入、肩書きなど、何かしらの客観的な結果を出さないことには周囲から高評価は得づらいものです。
なお、結果ばかりを重視する人は、地道で現実的な努力にこだわらずとも、多少グレーな方法でもためらわず「結果さえよければいい」という考えで、突き進んでしまうことがあります。
不正行為する、他人の成果を横取りする、統計の数字を操作して盛る…など、プロセスよりも結果を重視する考えは、結果を整えるためにバレるとまずい努力をしでかす原因になることは、頭の片隅に入れておいて損はないと言えます。
地道な努力ができないのは自己愛の強さに原因がある可能性も
地道な努力が出来ない人には、たいへん自己愛が強いために、
- 肥大化した自尊心に振り回され
- 自分の理想が投影され美化された自己イメージを損なうことを恐れ
- そして地道な努力ができない自分の未熟さから目を背けるために、地道な努力をしている人をやたら見下している
…とも考えられます。
なお、自己愛の強い人は、肥大化した自尊心が傷つかないことを最優先にするために
- 地味で華やかさの欠片もない
- ほかの人もやっていて真新しさや特別感がない
- まるで下積みをしているようで、屈辱すら感じてしまう
…とも解釈できてしまう地道な努力は、意地でも避けようとしたがるのだと考えれば、腑に落ちるものがあります。
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