自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)の人は、持ち前の自己愛の強さに振り回されて、他人と衝突する、嫌われて集団から孤立する、社会適応できず引きこもってしまう…など、対人関係でトラブルを起こしやすい特徴があります。
学生ならいじめられる、村八分になる、不登校。社会人なら干される、転職を繰り返してなかなか定職にありつけない、働くことに苦痛を感じてメンタルを病んだり貧困に苦しむ…などの末路が待ち受けています。
しかし、生活が苦しくなってそれでおしまい…とはならず、人によってはリアルの「人間関係が上手くいかないからネット(SNS,動画配信アプリなど)に人間関係でリベンジしよう」とネットにのめり込もうとする。しかし、そこでも新たなトラブルを起こすと同時に、自分の恥ずかしい過去(いわゆる黒歴史)がネット上に残ってしまう…という、更なる末路が待ち受けることもあります。
今回は、そんな自己愛性人格障害の末路についてお話しいたします。
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自己愛性人格障害の人の末路
対人トラブルを起こし職場や学校での居場所をなくす
冒頭でも触れているように、自己愛性人格障害の人は対人トラブルを起こすことが目立ちます。
具体的には
- 平気で嘘をつくので信用を得づらい。
- 他人を見下す、ぞんざいに扱うために次第に距離を置かれてしまう。
- 注目を浴びるために頻繁に嘘を口にする。あるいは妙に誇張した喋り方、誇大広告のような大げさな表現を頻繁にするため、周囲から怪しまれてしまう。
- 他人から賞賛の言葉やチヤホヤされることを求めるものの、自分から他人に感謝をしたり労うことをしないため、不公平感を感じて人が離れていく。
など、つい他人を不信感やイライラとした気持ちを抱かせる言動がきっかけとなり、対人トラブルを招いてしまうのです。
学校や職場など、集団生活を送ることが必要な場面においては、こうした言動は集団の和や規律を乱すものとして指摘や批判の対象となるのは言うまでもありません。
しかし、自己愛性人格障害の人は、自尊心が肥大化しすぎているため指摘の言葉を真摯に受け止めることが苦手。言い訳をしてゴネたり責任転嫁をして開き直ってしまうことも多く、ますます集団内での居場所を失ってしまいがちです。
なお、自己愛性人格障害について知識があれば、こうした言動に対してまた別の理解ができるかもしれません。しかし、なんの知識もない人から見れば「自己主張が強い割にはそのことを指摘されるとダダをこねるという、信じられないほどに幼稚で自己中心的な人」と見られてしまい、ただただ信用を落としてしまう恐れがあります。
社会から孤立して引きこもる
上述しているように、集団生活で居場所を感じられないことから、自分が所属している集団からスーッと消えるようにいなくなり、そのまま社会から孤立して引きこもってしまいます。
不登校、引きこもり(ニート・無職含む)になれば、当然ながら自分をチヤホヤしてくれるひとは0人、あるいは家族などごく限られた人しかおらず、そのことで強い不満や葛藤を感じて苦しむという、別の問題も生じます。
生きづらさを抱えても相談すればプライドが崩壊するので、誰にも悩みを打ち明けられないままになる
自尊心が大きすぎるために、悩みを抱いてもそれを他人に相談することに抵抗を感じる。「相談する=自分の弱みを他人に握られる」という考えのせいで、悩みがあっても誰にも言えず、一人で抱え込む特徴があります。
もちろん、精神的な悩みに限らず、身体的な悩みや不調も同様です。病気になる、体力がなくなる、老ける…など自身の老いや衰えと向き合おうものなら自尊心がひどく傷つく恐れがあるからこそ、それと向き合うこともしなければ、認めることもできなくなる。
その結果、不調になっても病院に行かずに、自ら健康状況の悪化を招いてしまう危うさが自己愛の強い人にはあります。
ネットに活躍の場所を移してネット依存になる
現代なら家に引きこもることになっても、スマホやPCなどのネット機器を用いれば、家にいながら多くの人と交流ができる便利な時代です。
こうした状況は、自己愛性人格障害の人から見れば「現実では自分のことを受け入れてもらえなかったけど、ネットなら自分のことを受け入れてくれる人が居るかもしれない」という淡い期待を抱くと同時に、ネットを招く状況が身近なところにあるとも言えます。
ネット上(とくにSNSやyoutubeなど)では…
- 自分のプロフィールを簡単に盛れるし、見栄を張って嘘をつくことも容易。
- 都合の悪い情報は投稿せず、見栄えのいい情報ばかり投稿すれば自分を実物以上に魅力あふれる人間だと演出することも容易。
- 都合の悪い人にであったら、ボタン一つでブロックorミュートすればいいので現実以上に気楽。(まるで独裁者のようである)
など、自己愛の強い人から見て、現実の人間関係では出来ない見栄っ張りな行動が手軽にできる。そして、自分の自尊心を傷つけてくる(と自分が過度に恐れているだけの)不都合な人をブロックして、自分好みの生ぬるく優しい人間関係を築くことが可能です。
だれも自分のことを否定せず、手痛い指摘もせず、優しく自分のことを受け入れくれる…と書けば雰囲気はいいですが、肥大化した自尊心は一向に修正されないままであり、根本的な不安や生きづらさが解消されないままです。
ネットにのめりこむあまりに、現実にて人間関係を構築することに難しさを感じて、ますますネット上の生ぬるく優しい世界に依存して、スマホやPCが手放せなくなる恐れがあります。
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肥大化した自尊心を逆手に取られ悪徳ビジネスに巻き込まれる
(ネットに依存する事と関連して)自己愛の強い人は「簡単にお金が儲かりますよ!」という類の胡散臭い儲け話、ネットビジネス、情報商材などの悪徳商法のカモになる素質を秘めているとも見れます。
コツコツ金を稼ぐことよりも、ぬれ手に粟のような楽して高額を稼いだほうが、自分の特別さや強運っぷりをアピールできて、周囲からよりチヤホヤされる可能性がある。
そのため、胡散臭い儲け話を前にすると、つい強すぎる自己愛に振り回され、話を精査せずに乗っかってしまう危うさがあります。
また、仮に騙されていることをなんとなく感じたとしても、
- 騙されていると認めれば、自分は情報弱者でただの間抜けであったと認めることになる。
- そんなことを認めようものなら自尊心が傷つくのは明白。
- なので意地でも認めようとせず「自分の選択は間違っていなかった」という姿勢を貫く。
- そうこうしているうちに、多くの時間と金を費やしてしまい後に引けなくなってしまうも、その状況を認められず、にっちもさっちもいかなくなる。
…と、自尊心が傷つかないことを優先にする心理を上手く利用されて、悪徳ビジネスから逃げられなくなる危険性があります。
もちろん、被害者として活動するだけでなく、逆に自分が加害者となり他人を騙して搾取する立場になってしまい、炎上や警察沙汰にならないとも言い切れません。
…余談ですが、プロブロガーを自称してやたら金儲けのネタを呟いたり、炎上スレスレのグレーな金儲け(誇大広告で情報商材を売りつける、経歴を偽装したコンサル業など)に手を染めている人たちの様子を見ていると、なんだか自己愛の強い人が自己愛の強い人を食い物にしているように見えて、なんとも言えない気持ちになります。
肥大化した自尊心が傷付かない生活を優先することで生きづらさを抱えてしまう
自己愛性人格障害の人は、自分の幸せを積極的に求めるような生活ではなく、自分の自尊心が傷つかないことを優先した窮屈な生活を送る。まさに肥大化した自尊心に振り回される生き方になり、進学や就職などの人生の大事な選択を棒に振る可能性があります。
具体例としては、自尊心が傷つくのを恐れて、大学受験では上のレベルを目指すよりも、確実に合格ができるような大学を選んでしまうことです。
明確に学びたいことがあるとか、自分の実力にふさわしい大学にいくのではなく、不合格になって自尊心が傷つかなくても済まないように合格安全圏の大学を志望校として選ぶ。ワンランクの低い大学に入ってお山の大将になることを求めて、自分の進路選択にやたら弱気になるのです。
一見すれば、自分が気持ちよくなれる進路を選んでいるので問題ないように見えますが、自分の実力を伸ばせる場に飛び込むことを過度に恐れて、人生の選択肢の幅を縮めているにほかなりません。
勉強でも、スポーツでも、仕事でも、人間関係でも、チヤホヤされることを望む割には、チヤホヤされるに見合うだけの地道な努力をせず、ありのままの自分でも甘やかしてくれる環境探しに邁進する努力の方向音痴っぷりが、自己愛の強い人が自分で自分を生きづらく厳しい状況に追い込むのです。
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