友達自慢、知り合い自慢をする心理について

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「自分はテレビに出るような有名人やプロのスポーツ選手の知り合い・友達がいるんだ」と、自分の人脈の広さをアピールする人は昔からよくいるものです。

しかし、今やテレビの世界に限らず、SNSを使って有名人と友達関係になったり相互フォローの関係になることも簡単にできるので、昔と比べると自分は有名な人と繋がっている自慢をする人は増えているかもしれません。

心理学では、このように有名人や著名人と自分とを関連付けることを栄光欲と呼びます。今回は、この栄光欲に関しまして、お話したいと思います。

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栄光欲とは

栄光欲とは、有名人や大企業などの高い評価を受けている人や集団などの自分との結びつきを強調して、自分の評価を高めたがる、周りから尊敬、承認を求めることを指します。

世間一般から言われている「すごい」人や団体と実は自分も関係がある、ということを周囲にアピールすることで、そんなすごい人との関係がある自分の評価も一緒に上げようと心理のことです。

自分の知り合いや人脈を自慢することは、化粧をしたり身だしなみを整えるのと同じく、他人から見た自分の印象を操作する行動の一種と考えることができます(=自己呈示)

人は無意識のうちに自分をよく見せるために、見栄を張ったり、自分を大きく見せるための行動を取るもので、栄光欲に駆られて自分の知り合い自慢するのも、無意識のうちに自分を良く見せたいという気持ちの表れと考えることができます。

なお、関連付ける人は実際に会ったことのある人だけに限らず、直接会ったことがない人(同じ学校出身の有名人など)や、ネットやSNSでの人間関係や企業などの集団・団体も当てはまります。

栄光欲の例

自分の友達、知り合いが有名人だと自慢する

  • 自分の小学生時代の友達がこの前テレビの取材を受けていた!
  • いまテレビに出ているこのスポーツ選手は自分の親戚の人なんだ!
  • 私の後輩には漫画家になってアニメ化されるほどの売れっ子になった!

などの、自分の友達、知り合い、家族、親戚、先輩、後輩などの一個人とのつながりを強調すするケース。

人脈が豊富な人や、ネット上で多くの人と繋がっている人だと、知り合いの数の多さから自慢することも多くなります。

自分の母校に関する自慢

  • 俺の母校の野球部がこの前の甲子園に出場したんだ!
  • 俺の学校から現役で東大に行く人が出た!
  • 私の学校の偏差値は他の有名進学校と同じなんだ!

などの、自分の出身校に関する自慢です。

学校関連の自慢はよくある話題のひとつですが、学歴コンプレックスに陥ったり学歴(or学校歴、研究室歴)を煽ることでトラブルを招きやすい話題とも言えます。

自分の住んでいる町、出身地、ゆかりのある場所の自慢

  • 私の地元には観光名所がたくさんあって毎年たくさんの観光客が来るんだ!
  • 私の出身地は教科書にも載っている歴史的に有名な人物に関係のある場所なんだ!
  • 私が住んでいる町には、この前ネットでバズったおしゃれな店があるんだ!

などの、自分の住んでいる場所、あるいはかつて住んでいた場所に関する自慢も栄光欲の一種です。

地元ネタだけとして語られることもあれば「地元の友達」「地元の有名人・企業」などの個人や団体と結びつけて、自慢話にされることが多くあります。

地元ネタは誰かと打ち解ける話題の筆頭格。他にも地元愛の強さをアピールしたり、地元の歴史や文化への理解・教養があることを示せるメリットもあります。

また、単純に友達や知り合いの自慢と比較して、地元ネタなら聞く方もコメントを返しやすいという特徴があります。

友達・知り合い自慢が招くリスク

過度な自慢はめんどくさい人だと思われる原因に

もちろん、「自分にはこんな素晴らしい友達がいるんだよ」純粋な気持ちや応援・宣伝の意味を込めて話していることもあり、一概に栄光欲が悪いものだと決め付けるものではありません。

しかし、友達・知り合い自慢は話題に出した人の応援するフリをしつつも、そんな人とつながりのある自分をさりげなく自慢しているという、回りくどさ、ねちっこさのある会話でもあります。

見方を変えれば自分をよく見せる目的のためだけに、自分に関わりのある人の活躍を利用している、という自己中心的な性格が見え隠れする話題なのです。

ネットスラングの「アレ俺詐欺」のように、人の功績にタダ乗りしていかにも自分の手柄のように語ることも多いので、自慢話が多くなるにつれて、面倒な人だ思われることも増えてしまうのです。

赤の他人の功績すら自分のことのように語って不思議がられる

親しい人の自慢ならそこまで疑問を抱くことはありませんが、

  • 親戚の親戚
  • 一回会ったことがある、ほぼの他人知り合い
  • SNSでのフォロワーのフォロワー

など、直接的な関わりの薄い人の自慢になると、その自慢を聞く方にとってもどうコメントやリアクション返したらいいのか困ることが多いです。

話している本人は親しい仲であってもその話を聞いているひとからすれば「直接面識のないあなたの友達や知り合いの話をされてもねぇ…」と微妙な空気になることも多いです。

また、聞く方からしても「知り合いがすごいのはわかったけど、だから何なんよ…」と正直に言えば相手を傷つけてしまいかねませんし、かと言って露骨に「へ~すごいね~」と相手を(演技も含めて)褒めるのはめんどくさく、非常にめんどくさく興味のない話題と感じている人も少なくありません。

コンプレックスがあると思われる

何度も自分に関係のある人の自慢話をしていると、「なにかと人脈をアピールしたがるのは、それだけ自分にコンプレックスがあるのではないか?」と思われてしまう可能性もあります。

なにかと自分に関係のある人の話をしたがる一方で、普段の自分はその自慢話に登場するような魅力や才能があるわけではなく、ごく平凡な人間に過ぎないという現実を受け入れられない。

その葛藤を解消するために、自分の技術や才能を磨くわけでもなく、ただ自分の人脈やつながりの凄さアピールして、さも自分は素晴らしい人間であるとアピールして手っ取り早く周囲に認めてもらいたい…

そんな、才能のない自分や認めてもらえない自分に対するコンプレックスを解消するために、ほぼ他人の人の活躍をさも自分のことのように自慢してしまうことが、知り合い自慢をする人に見られる傾向だと感じます。

「いい時」だけ知り合いだけを自慢したがる心理

自慢する心理に関して心理学者のチャルディーニが行った実験を紹介します。

チャルディーニはフットボールが盛んな大学の学生を対処に、自分の大学が参加しているフットボールの試合を見せて、その反応がどうなるかを調べるという実験を行いました

その結果、自分の大学が勝ったときは

  • 自分の大学の校章を付けた。
  • 大学名の入った服を着る学生が増えた。
  • 「私たち(僕たち)のチーム」という言い方でコメントをした。

などの、自分の所属する大学と自分との関連を強調して行動が見られました。

一方で、自分の大学が負けてしまったときは

  • 大学の校章付ける人が減少した。
  • 大学名入の服を付ける人が減少した。
  • 自分の大学のチームを「彼ら」という言い方でコメントした。

と、自分の所属する大学と自分との関連を無意識のうちに遠ざけるような行動が見られました。

(…いいときだけ自慢したがるという、なんとも薄情で都合のいい心理ですが、こうして実験として記録に残っていると、本当に人間の薄情さや、自分の評価や評判のために応援する場面を的確に選んでいる心理が人間には存在しているのだということを痛感します。)

自慢していた人に不祥事が起きると他人のフリをする人たち

上の実験に似たことは知り合い自慢の人にもよく見られます。

例えば、知り合い自慢をする人には

  • 知り合いが順調な時は、さも自分の応援のおかげのように喜々として語る。
  • 知り合いが不調の時には、恐ろしいほど冷たく余所余所しい態度をとる。

といった、真逆の行動をすることがよく見られます。

人からよく見られるために他人の自慢話をするとなると、当然ながら自分の評判が下がるような話題や出来事が起きたときに、自分の評判を下げたくないという心理が働き今まで自慢していた人の話題を一切しなくなるのも無理はありません。

不調時に「実はこの人私の知り合いなんだ」と言っても周囲から「すごいね~」という反応が帰ってくるのは考えにくいものですし、後に犯罪を起こすなどの不祥事が起きた場合なら、自分も関係者や同族だと思われて評判を落としたくないので、だんまりを決め込むのも至って自然な心理だと言えます。

SNSでも「いま人気のAさんは自分の知り合いでがこんな活躍をしていますよ!」とアピールしておきながら、応援していたAさんがいざ炎上や不祥事を起こした時にだんまりを決め込むのも同じです。

SNSはリアルのコミュニケーションと違い、投稿した内容や日時がきっちり記録として残る分、リアルよりも厄介です。

ネット上では文章だけだと顔の表情や声のトーンといった情報もないので、表面的には純粋な応援で、しかしその裏では自分の評判をよくするための投稿のように見せることは容易いかもしれません。

しかし、後に不祥事が起きた時や、応援している人が困っている状況になっても手を差し伸べずだんまりを決め込んでいる人を見ると、「ああ、やっぱり実は自分をよく見せるためだけの打算や損得感情に基づいた自慢だっただろうか…」ということをなんとなく察して、複雑な気持ちになったり失望してしまう経験をした人は、ひょっとしたらそれなりに多いのではないかと感じます。

自分が誰かを応援するときに、ちゃんとその人のことを思って応援しているか、それとも自分の評判やキャラ付けのためだけに応援しているのか、時々でいいから振り返って見ることの大切さを感じる次第です。

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