集団心理といえば、
- 集団になることで調子に乗ってしまう。
- 集団になることで気が大きくなり乱暴な行動に出てしまう。
- 罪悪感が薄れていじめや暴力などの行為に対する抵抗が薄れる。
などの、デメリットについて語られることが多い心理学用語です。
ただし「デメリットが多いのであれば集団なんかにならず一人で暮らしていればOKじゃないのか」という理屈になりますが、現実はそうではありません。
リアル・ネットの関係なく誰かと繋がったり、集団になって仕事や遊びに打ち込むことは自然なことであり、集団心理にはデメリットしかないと決め付けるのは早計だと思います。
今回は集団心理の持つメリットの側面についてお話いたします。
集団心理のメリットと呼べるものの例
恥ずかしさが薄れて大胆になれる
例えば街頭で募金活動をしようと考えている場合、自分1人だけで街頭に立つとなると恥ずかしさが影響してなかなか実行にうつせないということがあります。
募金活動を自分1人だけでやるのは大変勇気が要ることですし、ひょっとしたら「あいつ1人でいいことやってやがる」と言われて嫌な思いをして挫折してしまうことがあるかもしれません。
しかし、何人か協力者を集めて集団になって募金活動街頭で行えば、1人で行うと異なり恥ずかしさが薄れて募金活動が出来るようになります。
このように集団心理には、恥ずかしさを薄れさせ大胆な行動ができるようになると言う側面があります。
一人ではできないことも集団になるといい意味で調子が出てきてできるようになり、募金活動のほかにも、ボランティア活動、街の清掃活動、などの活動に対して積極的により組めるようになるのです。
ただし、適度な調子で収まらず、行動が暴走したり思考が極端なものに偏ってしまうこともあるので、バランス感覚が大事であることは言うまでもありません。
考える時間・労力の節約
集団心理により人間は集団の意見に左右されたり、雰囲気に流されて自分の考えを折り曲げてしまうことがあります。いわゆる、多数派に飲み込まれてしまう状況と同じです。
こうして書くと、周囲に同調してしまう事は悪いことだと思われがちですが、一方で自分自身で考える時間や労力を節約すると言うメリットもあります。
例えば、ネット通販で何かを買うときに、買った人のレビューや商品の評判をレビューサイトで確認したり、検索して調べることがあると思います。
何のレビューを見ずに自分の意見や考えだけで買うかどうかを決めるのは、あれこれ悩んだり考えることになるので非常に労力がかかります。
一方で、
- 買いたい商品に星がどれだけ付いているかを調べる
- 他の購入者の使用した感想やレビューを見てから決める
などの、他の誰かの意見を参考にすれば、その分自分で考える労力を節約することができますし、同時に買って後悔する確率を減らすこともできます。
もちろん、ネット上のレビューに限らず、自分の友達や知り合いに商品の感想を聞いてみたり、テレビや新聞などのメディアで調べてみるのも同じです。
自分であれこれ考えるよりも、既に買った人の意見を参考にして買うことで考える時間を節約することができる…このことは、ストレスフルで多忙な毎日を送る人なら、進んで取り入れている行為なども考えることができます。
集団での連帯感・結束力の強化
チームスポーツでは、チームの連帯感やチームワークが大会の結果を大きく左右することがあります。
チームワークを強めるためには、個々人がそれぞれバラバラの目標立てて大会に挑むのではなく、チーム全体で目標を共有すること。そして、それに向けて個々人が実力を発揮するために努力することが大事です。
集団心理が働くと、人間は他人や集団からの暗示にかかりやすくなります。
暗示にかかりやすくなると言う事は、言い換えれば自己中心的な考えやわがままな気持ちを抑えさせ、チームの勝利のためにやるべきことを自覚させたり、チームの一員としての連帯感や結束力を個々人に持たせることにつながります。
もちろん、暗示の内容次第では、ルールを無視したラフプレーを肯定してしまう…という日大アメフト部のタックル騒動のような出来事になってしまう可能性も否定できません。
チーム全体の結束力を強めすぎた結果、フェアプレーの精神を見落としてしまったり、ルールを無視している異常さに気づけななくなるデメリットがあることを忘れてはいけません。
孤独が紛れて安心感を得やすい
集団になることで孤独が紛れて、自分は1人ではないと言う安心感を得ることができます。
周囲に同調して、同じ話題に乗ったり、周囲と同じ行動すれば、自分は多数派に所属していると実感することができ、一人ぼっちであると言う不安から逃れることができます。
一人ぼっちになること角に恐れている人からすれば、集団に同調する事は言い換えれば自分を守るための防衛手段とも言えます。
また、孤独だけでなく、周囲から認められたい、好かれたいと言う承認欲求が集団への同調へとつながることもあります。
感情の起伏が大きくなりテンションが上がる
人間は集団になることで感情の起伏が大きくなり、テンションテンションを上げることができます。
例えば、音楽のフェスやイベントでは、ミュージシャンと観客が一体となり、激しいテンションでその場を盛り上げると言うことがよくあります。
その他にも、お祭りやイベント事では、集団に影響されて、ついテンションを上げてしまうということが多いものです。
テンションを上げれば、憂鬱な気分を払拭したり、楽しい気分に浸ることができます。
もちろん、テンション上げたことにより心身ともに疲労が出てしまうことがありますが、ハイテンションの後と言うこともあり、その疲労感は爽やかな心地の良い疲労となり、良い気分を持続させることにもつながります。
ただし、集団心理のデメリットの多さは無視できない
ここまで、集団心理のメリットについてかかってきましたかかったかと語ってきましたが、何回か触れているように集団心理には相応のデメリットがあるということは無視できません。
恥ずかしさが薄れて大胆になる事は、言い換えれば罪悪感や責任感、羞恥心が欠如して周囲に迷惑をかけてしまうリスクがあります。
考える時間の節約により、自分で考えることなくただ集団に同調するばかりで気がつけばいじめや嫌がらせに加担すると言うリスクもあります。
連帯感が強まって結果同調圧力より他人を束縛したり、孤独を巡らすための安心感を手放したくないためにどんなことでも集団に逆らえなくなったり、テンションがエスカレートした結果過激な行動に出て炎上する…など、集団心理が持つ負の側面と地続きになっている事は無視できません。
もちろん、普段から引きこもっており他人と会わない生活を送っている人も他人事ではありません。
今やネットを使って直接顔を合わせなくとも誰かと繋がれる時代であり、仮に引きこもり生活を送っていても、SNSなどのネット上での人間関係があれば集団心理の負の側面を受ける可能性があります。
集団のパワーは薬にも毒にもなることを忘れてはいけない
人間は一人でできることは限られており、チームや組織を組むことで一人ではできない仕事や偉業を成し遂げることができるようになります。
集団のパワーは良い方向に働けば、自分達の幸せや充実感を得るためであったり、社会に貢献するための大きな追い風になる一方で、使い方を間違えれば自分自身を破滅に追い込んだり、いじめやハラスメントなどの社会問題を招くことがあります。
ここで紹介した集団心理のメリットは、どれもエスカレートすれば社会問題に発展したり、場合によっては怪我人を出すような事も否めません。
集団心理のメリットを享受したいのであれば、まずはデメリットの部分についてよく熟知しておくことが大事だと思います。
関連記事