学校や職場などで自己肯定感が低いと関係を持つとなると、どうしても相手の自信のなさや自己卑下の激しさにうんざりしてしまい、まともに付き合うのが嫌になることが多いものでしょう。
励ましても効果が薄いし、かと言って強い言葉で萎縮させるわけにもいかず、途方にくれてしまう。また、普段から否定的な話が多い、重く暗い話をよくするために、関わっても楽しくないので、自然と距離感ができて関係が疎遠になってしまう…そんなことが、自己肯定感の低い人と関わるときには出てくるものです。
今回は、そんな自己肯定感の低い人と上手く付き合うために心がけておきたいことについて、お話いたします。
自己肯定感の低い人との付き合い方のコツ
感情的になってイライラをぶつけないようにする
冒頭でも触れたように、自己肯定感の低い人の言動は、他人にジワジワと不快感を与えてしまうものが多く、つい「暗い顔をするな」「もっとハキハキしなさい」「そんなんでは幸せが逃げるよ」など、感情的な言葉をぶつけてしまいがちです。
もちろん、こうした言葉は自分の不快感を表すと同時に、自己肯定感が低い人を叱咤激励する意味合いも含まれているので、決して相手の攻撃ばかりが目的でないことは理解できます。
しかし、自己肯定感の低い人からすれば、たとえ叱咤激励だと分かっていても「自己肯定感が低い自分」を拒絶されていると感じて、劣等感が強まり自己評価が下がってしまう。
また、叱咤激励されているのに、その期待に応えられず落ち込む自分に更なる劣等感を感じてしまう。加えて、否定的な物の見方をより強めるだけでなく、相手に合わせる顔が無いと感じて、遠ざけられてしまう原因になります。
「自己肯定感の低い人はめんどくさいから関わりたくない」という願望を(密かに)持っている人からすれば、この状況は願ってもないものかもしれません…が、上手に付き合えているとは到底呼べないのは明白です。
こうした状況を招かないためにも、自己肯定感の低い人と付き合う場合は、イライラすることがあっても感情的にならないこと。
もし感情的になりそうな瞬間が来たら、休憩を挟んで冷静さを取り戻してから、関わることを心がけるようにしましょう。
ポジティブ思考になることを強制しない
あまりにも自信がないことや、ネガティブ思考が強さが気になるために「ネガティブはダメ!もっとポジティブになるべきだ!」という言葉や態度を試みる人も多いことでしょう。
しかし、上でも触れているようにこの方法では「自己肯定感の低い自分は受け入れられていないんだ」と自己肯定感の低い人に、更なる劣等感を抱かせる原因になってしまいます。
また、仮にポジティブ思考になれたとしても、自己肯定感の低い人は「もしも自分にポジティブさが無くなったら、この人たちは自分を見捨てるのではないか…?」という、不安を抱かせてしまい、人間関係の煩わしさで消耗させてしまう可能性があります。
自己肯定感の低い人は、普段から否定的な思考の強さゆえに、精神的な負担を抱えやすいのが特徴的です。そして、関わる方はその負担を減らすためにも、善意から「ポジティブに考えるべき」と、つい言ってしまって相手を追い詰めてしまうことが目立ちます。
大事なのは、ポジティブになることを強要せず「できればポジティブな考えもしてね」と、相手に選択の余地を残した言葉や態度で接することです。
自己肯定感の低い人が持つネガティブな部分を受け入れる。そして、ネガティブだけに染まらないようにポジティブな部分を見れるように提案していくことで、負担を感じにくい関係を構築できるようになります。
自己肯定感の低い人の気持ちに飲み込まれないようにする
「ネガティブな部分を受け入れる」ことの重要性について触れまたが、その一方で、自己肯定感の低い人の気持ちに自分が飲み込まれないようにすることもまた、関わる上では忘れは行けません。
関わるうちに悲観的な物の見方が身についてしまったり、消極的な生き方の影響を自分が受けてしまう。まるで、相手に同調するかのように、自分の自己肯定感までもが下がってしまうのは、上手な付き合い方とは言えません。
ですので、自己肯定感の低い人と付き合う場合は、適度に相手との距離感を保ち、自分ひとりだけの時間を持つようにしたり、自己肯定感が並の人間関係も同時に持つことで、精神面でのバランスを保てるように心がけるのが大事です。
相手をほめる時は具体的な根拠を提示してほめる
あまりにも自信がない様子を見ると「とにかく褒めて励ませば、自己肯定感の低さは改善するはず」という考えを持つのは自然なことでしょう。しかし、褒め方次第では、逆効果になることもあります。
例えば、とにかくベタ褒めしたり、根拠もなく漠然と褒める方法では、「大げさに褒めてその気にさせなければいけないほどに、自分は周囲に迷惑をかけているのでは?」と相手が感じてしまい、申し訳のなさから消極的な態度に拍車がかかるリスクがあります。
また、自己評価の低さゆえに、根拠もなく漠然と褒める姿を見て「この人は私のことを理解してないデタラメな褒め方をしている。本当の自分はそんな褒められるような人間ではないのに…」と受け取ってしまい、不信感を募らせる原因になります。
こうした事態になるのを避けるためにも、褒める時はなるべく具体的な事実をもとに、相手を褒めることが肝心になります。
「あなたの働きっぷりはすごい」と漠然と褒めるよりも「あなたは挨拶もしっかりするし、仕事も丁寧でミスが少ない。それに、他の人の仕事のフォローもできているから私は助かっているよ」と、具体的な事実に基づいて褒められれば、自己肯定感の低い人でも素直に褒め言葉を受け取り、自信を付けてもらいやすくなるのです。
多少手間はかかるかもしれませんが、しっかり相手の言動や日々の様子を見て褒めること。これは、自己肯定感の低い人に限らず、あらゆる人間関係に応用できるコミュニケーションスキルの基本と言えます。
なお余談ですが、自己肯定感の低い人が煙たがられるのは、一般的にいう「褒めて伸ばす」が通用しづらい性格の持ち主であることが、大きな原因でしょう。
ただ漠然と褒めるだけでは心を開かないし逆効果になる…という、複雑な性格をしている。そのため、仕事や勉強など成果を効率よく出すことが求められる場面では「コミュニケーションコストがかかる人」とみなされてしまい、自然と煙たがられてしまうのだと考えられます。
人がやりたがらないことを進んでやりだす場合は要注意
自己肯定感の低い人は自己評価の低さゆえに、他人があまりやりたがらないような面倒な仕事を進んで引き受けてしまうという、妙な積極性を見せることがあります。
例えば、冬の掃除当番で、箒ではなく雑巾ふきという苦行面倒な役割を選んだり、委員会選びで誰もやりたがらない責任が重い委員会や、拘束時間の多委員会を選んでしまう…というように、損な役回りを引き受けたがる傾向があります。
これは「自己評価の低い自分には、他の人が嫌がるような役割がお似合い」という考えがあるために起きるものです。
傍目には「人が嫌がることを引き受けて立派だ」と感じるかもしれませんが、人が嫌がることを進んでしたがる事に目をつけられて、楽をしたい人から雑用や面倒事を押し付けられてしまう。
つまり、自己評価の低い人が集団から見て都合のいい人扱いされてしまうリスクがあるので、もしも人が嫌がることを進んで引き受けようとした場合は、持ち回り制にするなどして、損な役回りばかりを選ばせないための対策を立てるようにしましょう。
関連記事
参考書籍