高額の自己啓発セミナーにハマる心理的な理由

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仕事のキャリアアップや人間関係の悩みに効果があると謳っている自己啓発セミナー(スピリチュアル系含む)には、数万~数十万円、場合によっては100万円超の、やたら高額で強気な価格設定をしているものがあるものです。

もちろん、高額に設定しているのは、それだけセミナーの内容の洗練されていたり、質の高さに自信があるからこその強気の価格設定である…というものばかりではありません。

マルチ商法やネットワークビジネスなど、最初から胡散臭いグレーなビジネスとして自己啓発セミナーを行い、信用の切り売りしつつ短期で稼いで逃げ切る画を描いているからこそ、あえて高く設定しているのです。

しかし、強気の価格設定は一方ではセミナー参加者の心理や認知を歪ませるために機能しているという側面もあります。

当然、セミナー参加者の心理や認知は、セミナー運営者にとって都合よいもの…つまり、高額であっても、ジャブジャブと金を使い込むように歪ませているので、悪質さが際立ちます。

今回は、そんな高額な自己啓発セミナーにハマる心理的な理由についてお話し致します

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高額自己啓発セミナーにのめり込む心理

元を取りたい心理が働き途中でやめられなくなる

高額な商品を購入してしまうと「元を取らなければ損」という心理が働き、途中でセミナーを解約しにくくなります。

とくに、セミナーが1回ポッキリではないもの。例えば、合計5回に渡って開催されて計10万円必要、という仕組みになっていると、全てのセミナーに参加せず途中でやめれば、10万円分のリターンを得られずに損をした、という気持ちに駆られます。それを避けるべく、何が何でも最後までセミナーを受講してしまうのです。

こうした、既に支払ってしまった費用に心理状態が引っ張られてしまうことは、経済学の「埋没費用(サンクコスト)」という言葉で説明できます。

埋没費用とは、既に支払いが済んで取り戻せないお金のことで、取り戻せないからこそ、支払った分の費用に見合うものをえようと躍起になったり、「途中でやめたらもったいない」という心理のせいで、自己啓発セミナーにのめり込んでしまうのです。

取り戻せないものは取り戻せないとして割り切ることができず、支払ったものに未練がましく執着してしまう心理を、うまく利用しているのです。

また、埋没費用に当たるものはお金の他にも、時間や労力なども含まれ、拘束時間が長く且つ体力を消費するセミナーでは、お金以外のものでも「費やした時間や労力の元を取りたい」という心理が働き、のめり込みやすくなります。

「高い金を払ったのだから効果がある」と解釈を歪める

高額に設定しているのは、参加者が「私は高い金を払ったのだから、このセミナーは絶対効果があるはずだ」と自分にとって都合の良い解釈をするように、誘導させていると見れます。

高い金を支払い参加が決定した時点で、参加者は自分がセミナーで成功や成長が確実に手に入るという思い込みを強めます。そして、自分の思い込みをより強固なものにするために、事実を捻じ曲げて都合よく解釈してしまうのです。

もちろん、セミナーを受けても対して効果がなかったり、そもそも時間と金の無駄だと分かって失敗する未来もありうるのです。

しかし、支払った本人からすれば、こうして考えたくない未来は、自分にとって都合のいい思い込みが、所詮思い込みでしかないと自覚せざるを得ない苦痛があるので、考えることを避けます。

いくら高額であっても失敗する可能性もありますし、ただ時間と金の損をしただけということもあります。

ですが、(漠然とした)成功や成長を望んでいる当の本人にすれば、失敗する未来を受け止めつつ、矛盾した気持ち(=「成功する」と「失敗もありうる」)を抱えながらセミナーに参加することには強い苦痛を伴うので、それを解消するために都合よく認知を変えるのです。

その結果「高額なセミナーなんだから成功するに違いない」「絶対に成功するんだから、私は高額セミナーに参加を決めたんだ」という、思い込みを強めてしまい、高額セミナーにのめり込むのです。

いわば、高額であることは参加者が成功や成長が確約されているという思い込みを強めるための、ちょうどいい判断材料として機能しているとも言えます。

なお、こうした現実に対する認識の矛盾によって感じる不快感のことを認知的不協和と呼び、認知的不協和を解消して楽になるために、自分の認知を都合よく変えてしまうことがあります。

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「高額=確かな効果がある」と思い込む(ウェブレン効果)

人間には、高額な商品であればあるほど、その商品にたいする期待が高まり、満足度が大きくなる心理が働きます。

「安いもの=悪い、粗悪、怪しい」「高いもの=良い、高品質、安全」という、日常生活の買い物の中でもよく感じる心理が、高額な自己啓発セミナーにおいても働いているのです。

この感じ方の傾向は、アメリカの経済学者・社会学者のウェブレンが提唱したため「ウェブレン効果」と呼ばれています。

なお、ウェブレン効果によれば、ブランド品のように高価な商品であるほど、それを手に入れること自体に特別な欲求を抱いてしまうとされています。

高額なセミナーに参加している人が、自己啓発に興味がない普通の人と比較して特別意識を抱いたり、選民思想のような感情を持って舞い上がってしまうのも、ウェブレン効果によるものだと考えることができます。

また、このことは同時に、特別意識が働いているので「まさか自分が参加したセミナーが特別でもなんでもない」「金額に見合う価値もなければ、効果も疑わしい」という、向き合いたくない現実を直視させないことに繋がっているとも考えられます。

高額な出費の決断を迫ることで冷静さを失わせる

高額であることは、それだけで精神的な冷静さを失わせて、セミナーの内容や効果、あるいはセミナー運営者や団体に対して注意を向けさせないために、機能している面もあります。

とくに、自己啓発をして収入増、転職・就職に有利になることを夢見ている若者に対しては、多額の出費のこと「自己投資」「将来への投資」と、いかにも意識高い系が好みそうなもっともらしいセリフ言ってその気にさせます。

冷静さを失っているところに間髪入れずに畳み掛ける、まるで誘導するかのように高額な契約を迫る、商売上手さには(やってる内容はさておき)目を見張るものがあります。

また、一度高額な出費をさせてしまえば、少し安めのセミナーやお茶会のような緩くて安価なセミナーが開催されるのを見ても「この前の高額セミナーに比べたら安い!」(それでも十分高いけど…)と金銭感覚がマヒから、ジャブジャブ金を使うことに抵抗が薄れてしまうのです。

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安価・無料の自己啓発セミナーでも油断はできない

もちろん、1万円未満の比較的安価なセミナー、あるいは無料のセミナーだからといって、「無駄使いの心配がないから安心できる」というものではありません。

むしろ、宣伝目的や認知度アップのために、まずは安価or無料で初心者向けのセミナーを開き、中・上級者向けのセミナーに興味を持った人に対しては高額なセミナーの契約へと誘導する…という仕組みで、セミナーを展開することもあります。

また、セミナーという形式を取らず、

  • メルマガ
  • オンラインサロン
  • ウェブチャット
  • SNS上での相談

などの、ネットのみで完結する、ゆるさ、手軽さを売りにしているものもあります。これらは、自己啓発のコンサルティング、カウンセリング、ファンクビジネスと表現するのがいいかもしれません。

一ヶ月あたり数千円(日割り数百円程度)の手軽さが売りである一方で、こうした手軽さな自己啓発にハマる層に目をつけた同業者が、コラボと称して高額セミナーやサービスへの誘導をかけ、結果として多額の出費を自己啓発のために費やすだけでなく、自己啓発にはまった自分の個人情報が見えないところで流通してしまうリスクがあります。

言うなれば情報弱者(カモ)をとにかく多く集め、名簿を作るために設定されている安さとも言えます。

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国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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