認知的不協和理論とは 実験、具体例、解消方法について

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人間は自分の行動や考えに矛盾やジレンマが生じたときに、強い葛藤(ストレス、モヤモヤとした気持ち、精神的な不快感のこと)を抱きます。

例えばダイエットのためにカロリー制限をしている最中に、食事を取る(=カロリーを摂取)という行為に対して、強い葛藤を感じてストレスを募らせることが多いものです。

もちろん、ダイエットとはいえ絶食状態になれば健康を崩す恐れがあり、最低限の食事は取ることはダイエットを成功させるためにも欠かせません。

しかし、「食事を取る→カロリー摂取→体重・体脂肪の増加」という認知もあるため、食べたからといって気持ちが落ち着くというものではありませんし、そもそも「食事=ダイエットに矛盾している行為」のため、不快感を拭うのは難しいというジレンマがあります。

こうした矛盾やジレンマのことを認知的不協和と呼び、私たちの仕事、学校、日々の生活などのあらゆる場面で見られます。今回は認知的不協和についてお話致します。

認知的不協和理論とは

認知的不協和とは、自分の態度とその態度に対する矛盾や現行不一致、状況に対するジレンマなどに感じる心理的な不快感のことを表します。

人間は認知的不協和が生じると、自分の行動や態度などの認知に関わる要素を変化させて、不協和を軽減させる…すなわち、矛盾やジレンマで感じている不快感を軽減させようとする行動を取るとされています。(=認知的不協和の解消)

フェスティンガーの実験

認知的不協和を提唱した社会心理学者のレオン・フェスティンガーは以下の実験を行いました。

  1. 実験参加者に対して大変つまらない作業をするように依頼した。
  2. 作業した実験参加者に対して、次に同じ作業してもらう他の実験参加者に「この作業は面白い」と嘘の内容を伝えてもらうように依頼した。
  3. 参加者の半数には嘘の内容を伝えれば謝礼として20ドルを与えることを約束した。
  4. 残りの参加者には、1ドルだけの報酬を与えることを約束した。
  5. 1ドルの報酬をもらった参加者は、20ドルの報酬をもらった参加者よりも「この作業は面白い」と嘘の内容伝える人が多く出る結果になった。

実験の解説・考察

報酬の額が多い場合、「報酬のために嘘をついた」と嘘を伝えることが正当化されるため、認知的不協和は弱く(=不快感は感じにくく)なります。

つまらない仕事に見合ったギャラがしっかりもらえており、わざわざ嘘をついてまで不快感を解消する必要性を感じないため、嘘の内容を伝える人は少なくなるのです。

一方で、報酬の額が少ない場合「報酬のために嘘をついた」と嘘を貫き通せるほど見合った対価ではないので、認知的不協和は強くなります。

つまらない仕事をしたのにもかかわらず、雀の涙程度のギャラしかもらえないため、どうにかして不快感を解消したいと言う心理が働きます。

そんな状況だからこそ、嘘の内容を伝えることあえて選び「実はこの作業はホントは面白いものだった」と自分で自分を納得させて、自分の認知を変化させることで、抱いていた不快感を解消しようとするのです。

その結果、1ドルしかもらえなかったグループの方が、20ドルもらえたグループよりも嘘の内容伝える人が増えたのだと考えられます。

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認知的不協和の例

喫煙者と喫煙者の健康

認知的不協和の例として有名なのが、タバコを吸ってる人(喫煙者)に関するネタです。

  • タバコを吸っている
  • タバコは健康に良くない

と言う2つの情報には矛盾が生じて認知的不協和が強い、つまり不快感を感じやすくなります。

このまま矛盾を抱えた状態では、不快感が解消されないので、あえてタバコに関する否定的な情報避けたり、逆にタバコはストレス解消に効果的であるといった情報を信じ込むことで、不快感を減少させようとします。

もちろん、禁煙して健康に気をつけることでも、不快感を減少させる事はできますが、タバコに含まれているニコチンには依存性があるために、タバコを吸いつつも健康に関する不都合な情報を入手しないように、自分の行動や認知を変える人が多いのが実情です。

投資で含み損を抱え続ける人、損失を出す人

  • 株式投資や不動産、為替などの金融商品を購入して不労所得を得ようとしている
  • しかし、実際は含み損を抱えたり、損切りによって資産を減らしていってる

という2つの情報には矛盾があります。

当然ながら矛盾を抱えたままでは認知的不協和が強く、どうにかして不協和を減らすために自分の行動や認知を変化させようとする心理が働きます。

例えば、持っている資産が値下がりしそうな情報を避けて、資産の値上がりにつながるような好材料ばかりを集める。

不労所得が欲しいのではなくて、社会勉強や社会貢献がしたい、と当初の考えを放棄して含み損対する精神的なダメージを減らすような考えを無意識にする…などの方法で、認知的不協和を軽減しようとします。

副業を始めたけど儲からない

  • 副業を始めて、生活できる位に稼ぐことを目標にする。
  • しかし、副業で全く稼げず収入増加につながらない現場を目の当たりにする。

と言う二つの情報には矛盾が生じており、認知的不協和は強くなります。

その状態を解消するためにも、「最初のうちは儲からないものだから仕方がない」と自分で自分を納得させたり、副業はあくまでも副業だから生活費の足しにする程度にしようと自分の認知を変えることで、不協和を解消させようとします。

ダイエットをしている人

冒頭でも触れましたが、

  • ダイエットでカロリー制限をしている
  • 食事でカロリーを摂取している

と言う2つの情報には矛盾が生じています。

その矛盾を解消するためにも、「多少の食事は大事」とか「たまには解禁日を設けてしっかり食べる日を作ればいい」などで自分で自分を納得させたり、「〇〇であれば食べても太らないから大丈夫」と言う自分ごのみの情報を信じ込む、などの方法で不協和を解消しようとします。

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認知的不協和の解消の例

上の例えでもいくつか触れていますが、認知的不協和を解消するための行動には、以下のようなものがあります。

都合の悪い情報をシャットアウトする

認知的不協和を強めたり、矛盾をより自覚せざるを得ない都合の悪い情報を意図的にシャットアウトすることで、認知的不協和そのものを起こすの避けようとします。

タバコの害に関する情報を避ける、資産が目減りしそうな見たくないニュースから目を背けるなど、いわゆる現実逃避とも呼べる行動をとることで、不快感を減少させようとします。

都合の良い新情報を手に入れようとする

今の自分にとって大変都合の良い情報を探したり、考えたりする。

タバコはストレス解消になると結論づけたり、食べても太らない食品を食べればダイエットに成功する、と言う耳障りの良い情報を入手して、不快感を減少させようとします。

認知を変える、歪ませる

矛盾している状況に対して、あえて自分の認知を変えたり歪ませることで不協和を軽減させようとします。

例えば、タバコと健康に関する因果関係は不明であると考えたり、副業はあくまでも生活費の足し程度にすると当初の考えを変えることで、不快感を減らそうとします。

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行動を変化させる

矛盾が起きている行動そのものを変化させて、認知的不協和を軽減させることです。

禁煙をする、投資を止める、ダイエットを止める、副業を止める、などの矛盾に対する根本的な対処法が当てはまりますが、多くの場合は途中で挫折したり、純粋に認知だけを変えるといった楽な方法に流れがちで、なかなか根本的な行動の変化ができないものです。

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認知的不協和の解消が持つ実生活における問題

実際の生活の中でも、嘘を付くなどして矛盾やジレンマを抱えたまま生活をするのは非常に心苦しいものです。

そして、その苦しさから開放される(=認知的不協和の解消)のために正直に嘘をついていたことを白状したり、逆に嘘をつくことを正当化したり、他の人も同じような嘘を言っていたと言い訳をするなどの方法で、自分が感じている認知的不協和を軽減させようとすることがあるものです。

認知的不協和の解消方法としても、嘘をついていたと正直に白状する事は、自分の過ちを認めて正直に反省することにつながるので、解消方法の中でも社会的に認められやすい行為といえます。

一方で、嘘を正当化したり、他の人が言っていたと言って言い訳をするなどの方法は、こちらも同じく解消方法の1種ではありますが、社会的に見れば開き直りや言い逃れや責任転嫁と捉えられてしまい、問題になる事は簡単に想像できるでしょう。

もちろん、自分の言葉や態度、考えに矛盾がなく筋を通した生活ができるに越したことはありませんが、全てが自分の思い通りにいかないのもまた世の常であり、認知的不協和に苦しむことは避けられないのだとも考えられます。

矛盾を解消して楽になること自体は否定しませんが、その楽になるための方法があ間違えれば周囲から顰蹙を買ったり、社会的な信用を失う可能性があることは理解しておくことが欠かせません。

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国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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