自己啓発と言えば、仕事や大学生活などで自分自身を高めるために行うものであり、それにハマる人は、さぞかし向上心が高くて立派だとお思いになるかもしれません。
しかし、実情はというと「意識高い系」のように、意識だけが高くなって空回りしている残念な人がいたり、まるで子供のような万能感をいつまでも克服できないまま、現実と折り合うのを避けるために、自己啓発にのめり込んでいるような残念な人が目立ちます。
今回は、そんな自己啓発にハマる人の中でも、とくに残念な部分の特徴についてお話いたします。
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自己啓発にハマる人の残念な特徴
楽してお金を稼ぎたい、幸せになりたいと考えの甘さが目立つ
自己啓発の中でもとくに、ビジネス系の自己啓発や人間関係の悩みを解消を目的とした自己啓発(スピリチュアル系含む)にハマる人には「楽をしてお金を稼ぎたい」「簡単に幸せになりたい」という、たいへん都合のいい願望を抱いていることが目立ちます。
まるで「寝ながら痩せたい」と思う人並に、現実離れした願望を抱き、地味で地道な努力を嫌い、都合よくメリットだけを求めようとする考えの甘さを見抜かれ、自己啓発という商品を売っている方々の食物にされているようにすら見えることもあります。
とくに普段の生活に不満があり、短期間でゴミみたいな今の生活をガラッと変えたいというような、一発逆転劇を夢見ている人ほど、自己啓発という商品を売る方々のカモと言えます。
もちろん、楽に金が稼げればたしかに幸せになれるでしょうが、そもそも楽に稼げる方法を自己啓発とセットに教えるような真似をするものでしょうか?
稼げる方法を独り占めしておけば、自分だけ利益総取りでウハウハ(死語)になれるでしょうに、それを他人に教えれば、競合が増えて自分の取り分が減ってしまうであろうことは想像できるはず。
そうした違和感を持てず、簡単に他人に金の儲け方を教えるような人を「いい人」だと感じて、その人の言うことならなんでも信じてしまう間抜けさのせいで、カモられてしまうのです。
交友関係が乏しく孤立しがち
自己啓発にのめり込む人には、交友関係の少なさと狭さが目立ちます。
ただ友達数が少ないだけでなく、自分と似たような考え方をしている友達ばかりとつるんでおり、ハマっても止めてくれる人が出てこなく、必然的に自己啓発にのめり込んでしまう確率が高まります。
もしも、友達の数が多かったり、いろんな考えや価値観を持っている友達との関係があれば、自己啓発にのめり込んだ時に
- 「ちょっと最近おかしくない?」
- 「悪い人に騙されているのでは?」
と忠告を受ける可能性が高まりますが、普段から交友関係が乏しく孤立しがちなので、それすらない。
仮に、友達がいたとしても、自分と同じように自己啓発に肯定的な価値観を持つ友達ばかりで、自分たちのことを客観的に見ることができず、世間一般からみた異常さや逸脱具合に気づけないのです。
とくに、自己啓発との相性がよい、意識高い系の友達とのつながりは、自分が自己啓発にのめり込んで取り返しがつかないところまで進行しても、忠告が出にくいばかりか、お互いにうっすら感じている不安を、お互いに依存(=共依存)することでもみ消し、結果として自己啓発という泥沼にどっぷり浸かってしまうハメになりがちです。
傍から見れば意識高い系同士で馴れ合っているように見えますが、お互いがお互いに束縛して動けなくなっているのだとも見ることができます。
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ブランド、権威、流行に弱い
自己啓発本やセミナーには、例えば、「スティーブジョブズが~」「孫正義が~」など、名だたる大企業の経営者の名前が書かれており、なんとなく効果がありそうだと感じてしまうものが目立ちます。
もちろん、そうした誰もが知っている有名人でなくとも
- 「東証一部上場企業の元○○が教える~」
- 「たった1年で年商○億円を達成した有名私立大卒の若手起業による~」
- 「テレビや新聞でも取材された人気○○の△△が教える~」
- 「SNSで100000RTされた○○が教える△△したい人のための■■の方法」
など、やたらキャッチーで目を引くテンプレ宣伝文句が目立ちます。
これらの宣伝文句に共通しているのは、「(自己啓発という商品に)ブランドや権威があり、多くの人の目に触れて流行になっていますよ!」と、感じさせる文章になっていることです。
ブランド、権威、流行に対して弱い人は、この宣伝文句を見ただけで「買わなきゃ」「参加しなきゃ」と衝動的になってしまい、つい自己啓発にのめり込んでしまうのです。
ただし、自己啓発の内容ではなく、ブランドなどに注目して買っているので自己啓発の効果が出ないのはもちろんのこと
なお、こうしたブランドや権威を前面に押し出す売り方は、心理学の「ハロー効果(後光効果)」を利用したものでもあります。
ハロー効果は、ある一部分での優れた特徴の影響により、まるで後光が差すかのように全体的に優れているものだと錯覚を覚えてしまう現象です。
自己啓発の内容に自身が無くそのままでは売れないため、ドーピングとしてブランドや権威を借り、さも「この自己啓発はブランドのお墨付きなので、効果てきめんですよ!」と、やさしく騙すような商売として、ハロー効果が悪用されているのです。
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自信のなさを他人に依存することで埋めたがる
自己啓発にのめり込む人は、自己啓発書に登場するようなビシッと言える人物像に強い憧れを通り越して、まるで相手に依存するかのような感情を抱いてしまう人がいるものです。
自分に対して自信がなく、かと言って自分で自信も身に付けるだけの努力は「失敗するのが怖い」「私には無理」と言ってしたがらない。
そのかわりに、既に自信満々で高い意識のを持っている人に精神的に依存することで、自分が感じている不安や辛さと向き合うことから自分を守っているのです。
また、自己啓発によっては「今はこれだけ成功しているけど、実は私は過去に暗い出来事があって…」と、挫折からの復活劇のストーリー(ただしそれが真実かどうかは疑わしい)を語り、読者やセミナー参加者に「ダメな自分でも、あなたのようになれるんだ!」という希望を持たせることで、信者固定客獲得へとつなげる手法もあります。
あえて人前では言いにくい弱い自分を見せることは、普段の会話でも親密になりたい相手には有効な方法(=自己開示)ではありますが、こと自己啓発においては、自己啓発という沼に引き込むためのセールストークとして悪用されている側面があります。
「自分は特別な人間でありたい」という思い込みが強すぎる
自己啓発にハマる人は、まるで幼稚園児が小学校低学年の児童のように、夢見がちで子供じみた万能感を持っていることが目立ちます。
まるで
- 「自分は望めばなんにでもなれるんだ!」
- 「自分には無限の可能性がある!」
- 「自分は特別な存在なんだ!」
と、物語の主人公になったかのような、現実離れした万能感を大人になっても克服できていないのが特徴的です。
このような万能感は、幼児的万能感と呼ばれており、自我が確立される思春期~青年期を過ぎると、現実的で等身大の万能感に修正されていくものとされています。
しかし、褒められてばかりの環境で育ってきた、挫折らしい挫折を経ずに育ってきた、などの原因で大人になっても幼児的万能感が抜けきっていない人もいます。
そんな、幼児的万能感が抜けきってない人からすれば、自己啓発は非常に相性がいいものです。
名だたる経営者や著名人にお近づきになって「自分は有名人から認められた」と特別感を感じられる。また、自己啓発そのものを、まるで修行のような特別な行為として神格化し、自己啓発をしている限りは「自分は特別な存在である」という実感を得ることができます。
しかし、一方で自分は特別でもなんでもなく「至って平凡な人間である」という残酷な現実をいつまで経っても受け入れられなくなることもあります。
また、見たくない現実をみようとせず、甘い夢ばかりを見させてくれる自己啓発の虜になり、特別な感覚を味わい続けるために、多額の金と労力を費やしてしまうのです。
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上昇志向は強いが受身の姿勢である
現状に不満はあり「このままの生活ではダメだ」という焦りがあるけど、かと言ってなにも行動を起こせないままで葛藤を抱えている。
しかし、葛藤に対しては受身の姿勢を取るばかりで、積極的に自分から改善しようとせず、代わりに自己啓発本を読む、セミナーに参加する、などの受身且つ手軽な方法を使って一時的に解消しようとします。
当然、一時的な解消でしかなく、受身の姿勢は残ったままなので、時間が経てば同じような葛藤を抱えては、自己啓発本やセミナーなどで一時な解消をすることを繰り返します。
まるで、口先の威勢の良さが目立つものの、実際に仕事や勉強となると、さっぱり成果が出なくてもどうも真剣味が感じられない、意識高い系の方々に通ずるものがあります。
自分に都合よく物事を解釈する癖がある
「成功したい」という漠然な願望が、いつしか
- 「成功する自己啓発だから私はセミナーに参加している」
- 「権威ある○○さん言ってるのだから、必ず成功する」
- 「メリットしかないんだから成功しないわけがない」
といった、強い思い込みになり、まるで成功することが既定路線であり、成功以外の未来は絶対にないという、強い確信へと変わってしまうことが特徴的です。
このような思い込みになるのは
- 「この自己啓発は失敗するかもしれない」
- 「失敗する自己啓発には、私は参加しない」
という、矛盾する認知による不協和(認知的不協和)を解消すべく「成功する自己啓発なのだから、私は参加している」のだと、強く思い込んでいるのです。
わかりやすくいうと、不都合な真実から目を背けて自分に都合よく物事を解釈する癖がある。そして、当の本人が「自分は都合よく思い込む癖がある」ことを認識できないために、自分の考えのおかしさに気づけず自己啓発にのめり込むのです。
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