SNS上でしつこく付きまとう、一方的な気持ちを押し付けるメールを送ってくるなどのストーキングを繰り返す人のことを、インターネット上のストーカーということで「ネットストーカー」あるいは「サイバーストーカー」と呼びます。
例えば、自分が応援している声優やアイドルのSNSのアカウントに対して、いわゆるクソリプのように誹謗中傷の言葉や名誉を傷つけるような嘘や噂のリプライをする、下品な言葉や不快な言葉を延々と繰り返したことで気分を害し、SNSアカウントを閉鎖してしまう事に発展したこともあります。
youtubeで活動をする、いわゆるユーチューバーの人にもストーカー被害にあっていることが話題になったことがあり、有名人に限らず普通に暮らしている人であっても、ネットストーカーに狙われて迷惑行為を受ける可能性は十分にあります。
今回は、ネットストーカーの特徴とその対策法についてお話しいたします。
ネットストーカーとは
ネットストーカーとは、現実世界のストーカー同様にネット上で特定の人物や企業・団体に付きまとう、嘘や噂を流布して名誉や社会的地位を傷つけるなどの迷惑行為を行う人のことを指します。
今やだれでもスマホを持ち、自分だけのメールアドレスやSNSアカウントを持つことから、直接面識のない相手から一方的な嫌がらせを受けることがある世の中になっています。
現実世界のストーカーと違って、ネットストーカーは自分の顔や姿を明らかにせず、匿名でストーカー行為を働くことができてしまうという問題があります。
ネットストーカーには単なる嫌がらせに留まらず、住所や恋人などのプライベートを暴露すると脅迫する事態にに発展する事もあり、見過ごすことはできない社会問題となっています。
SNSでストーカー行為が起きやすい背景
声優や漫画家、アイドル、芸能人、スポーツ選手のようにファンが付く仕事をしている人の場合、SNSで自分に向けられたリプライに対して個人的に怒るようなつぶやきをしてしまうと炎上する原因になってしまうことから、嫌がらせに対してきっぱりと「やめてください」と言いにくいものです。
「やめてください」と言ってしまうと「あの人は大事なファンに個人攻撃をした」「あの人はクソリプに反応してしまう大人げない人だと」とわめきたてる人が出てきてしまい、炎上に発展してしまいます。
とくにフォローしている人が多くなるほど、何か一つ呟くだけでも揚げ足取りや言いがかりにのようなリプライも出やすくなってしまいます。
有名人になれば自分のイメージやキャラクター設定をSNSでも意識しなければならないことも多く、「嫌がらせに対して嫌だと訴える事=キャラに沿わない行為」と考えてしまうことから、ネットストーカーを増長させてしまうことにもつながってしまいます。
ネットストーカーの特徴・事例
ネット上での付きまといや嫌がらせ行為
SNSで自分に対してしつこくリプライやコメントを送ってきたり、用もないのに連絡を取ろうとする行為を指します。
SNSには、facebookのような実名制ではなく、twitterのように自分の顔写真やプロフィールを公開せず匿名のままつぶやけるものもあるために、ストーカーする側は自分の正体を隠した状態で、ストーカー対象にしつこくリプライを送ることができてしまいます。
また、最初は「話しませんか?」と友好的な雰囲気だったのに、無視されたことで逆上してしま誹謗中傷や逆ギレ、脅迫行為にエスカレートしてしまう事もあります。
嘘の情報を流す
事実無根の嘘の情報を流してストーカー対象を困らせようとする行為を指します。
流す嘘には恋愛や交友関係、プライベートの話題、相手の立場を毀損するものなどがあり、たとえ嘘の情報でも、SNS上ではその情報を面白半分にシェアして拡散されてしまうことで炎上に発展してしまうことがあります。
炎上して多くの人の目に触れられてしまうことで、ストーカー対象となった人は精神的に辛さを感じたり、住所やプライベートなどの個人情報までも拡散されてしまうことになります。
個人情報が拡散されてしまうと、ストーカー対象に現実世界で嫌がらせをする人が出て来てしまい、日常生活が脅かされてしまう事態に発展してしまう恐れがあります。
個人情報を集めて暴露する
SNSでは自分の出身地や出身校、家族や友達などを自由に公開することができる一方で、公開する範囲を決めておかないと、見ず知らずの人にまで自分の個人情報を教えてしまうことになりかねません。
また、いくら自分の情報を非公開にしていても、自分の友達や家族のSNSアカウントから自分のプロフィールや、自分が写っている写真や画像などの情報が漏れてしまい、その情報をストーカーが集めてしまう事もあります。
そうやって集められた個人情報を、不特定多数の人が閲覧できる匿名掲示板に書き込まれたり、自分をよく知る人にメールで送りつけて人間関係を崩すという嫌がらせをすることがあります。
また、異性との交友関係や秘密にしておきたいことまでの暴露され、一生にネット上に自分の恥ずかしい過去が残り続けて笑いものにされてしまうことも起きてしまいます。
とくに交際していたときの動画が、youtubeなどの多くの人が集まる動画アップロードサイトにアップされて、いわれのない噂が自身に降りかかることも起きます。
ストーカー対象の人間関係に干渉する
ネットストーカーはストーカー対象の相手に嫌がらせをするのではなく、ストーカー対象の友人や知人に嫌がらせや嘘を吹き込んで、人間関係を壊そうとすることもあります。
SNSでは友達同士である、フォローしているorされている、といった人間関係のつながりが可視化されるため、自分達と直接面識のない第三者にまで交友関係を明らかにしてしまうという弱点があります。
そのため、ストーカー対象の友達や職場の同僚に嫌がらせをして、ストーカー対象を孤立させたところで、「困っていることがあるのなら相談に乗りますよ」と懐に入り込む方法で近づくネットストーカーもいます。
ウイルスやスパムメールを送る
コンピューターウイルスが添付されているメールを長期間に渡り大量に送ってきたり、スパムメールを送るといった嫌がらせを行うこともあります。
一度来たメールを迷惑メールに設定しても、何度もアドレスを変えて執拗に送ってくるために、自分が今使っているメールやアカウントを一回削除しなければいけない羽目になることがあります。
ネットストーカーへの対策
警察・弁護士に相談をする
ストーカー規制法はネットストーカーも対象になっており、警察や弁護士に相談をするのが最優先です。
SNSで自分の嘘の情報が流されて困っている、リプライやメールがしつこく付きまとわれて困っていると感じた際は、めんどくさがらずに証拠をしっかり残して相談するようにするようにしましょう。
また、ストーカー規制法はかつては親告罪であり被害者は訴え出なければ警察はうごかないというルールでしたが、現在は被親告罪となり被害者の意思に関係なく警察が動くことができるように改正されています。
自分の元交際相手と思われる人からストーカーなど、なかなか他人に相談しにくい事情が絡む場合でも、まずは警察や弁護士に相談をするようにしましょう。
ストーカーの証拠を集めておく
SNSのスクリーンショットや送られてきたメールとその中身などを保存する、場合によってはプリントアウトして保存おくようにしましょう。
できれば、ストーカーからの情報は全て保管しておくのが基本です。
初めて警察や弁護士に相談する場合でも、ストーカー行為の証拠となる情報が多いことで話が進みやすくなります。
SNSのアカウントの削除
SNS上で嫌がらせをしてくる相手に対しての防衛策に「ブロック」するという方法があります。
しかし、ストーカーをしてくる相手のアカウントを一つブロックしたとしても、その相手が複数のアカウントを所持していれば、いくらブロックしてもキリがありません。
そのため、ネットストーカーから本当に自分を守るためには、アカウントそのものを削除して相手に自分の近況や私生活を遮断することが効果的です。
SNSアカウントを削除することは、今まで自分の交友があった人達に心配や迷惑をかけてしまうと感じてためらってしまうこともあるとお思いますが、まずは自分の身の安全を第一に考え、アカウントを削除するようにしましょう。
なお、アカウントを削除した場合、自分のアカウントのなりすましが登場して嘘の情報を流してしまった場合は、そのアカウントを削除するようにSNSの運営に報告すうるようにしましょう。
写真や画像などの個人情報をうかつに投稿しない
ネットストーカーに巻き込まれてしまうひとは、それだけ自分の個人情報を普段からネットに投稿しすぎている可能性があります。
今日は○○に遊びに行った、昨日は○○に食べに行ったなど、自分の近況を逐一SNSで写真付きで公開してしまうと、日々の行動範囲や住んでいる場所などをネットストーカーに特定されてしまう可能性が高まるのも無理はありません。
アプリによってはGPS機能と連動しているために、自分がどこにいたかをピンポイントで不特定多数の人間に教えてしまっている…という、実に危なっかしいことをしていることもあります。
自分のことなんて誰も見ていないだろうと油断せずに、自分が呟く情報やアップする写真には細心の注意を払い、不必要にプライベートをアップしないようにするのも、ネットストーカー対策の有効な手段となります。
自己顕示欲や承認欲求が強く、リツイートやいいねに飢えている自覚がある人ほど、自分のアップした情報により、悪意あるリプライを投げつけられる原因になったり、ネットストーカーに材料を与えてしまっているとことを覚えておきましょう。