友達(friend)のフリをして近づいてくる敵(enemy)を意味する造語の「フレネミー」と思われる人は、表面的には友達として自分からも周囲からも認識されているために、陰湿な嫌がらせやマウントに対する対策が立てづらい。
仮に、反撃に出ようものなら「この人は友達を傷つけた」「わけもなくキレる危険な人」という印象が付いて自分の評価を落としかねないので、非常に厄介な存在といえます。
雑な対処法では自分の失脚を期待しているフレネミーの思うツボになるために、フレネミーに真正面から立ち向かうとなれば、こちらも入念な準備をしておくことが重要です。
今回は、そんなフレネミーへの対処法、撃退法についてお話しいたします。
フレネミーへの対策・撃退法
一応の友達でも何でも相手のいいなりにはならない
フレネミーといっても、一応は友達の立場として関わると同時に、友達である事を材料にして自分の無茶な要求を聞かせるように迫ってくることがあります。
「私たち友達だよね」とお互いの関係性を確認しつつ「友達だったら○○できるよね?」と立場に物を言わせて、自分の善意に訴えかけて要求を飲ませようとしてきます。
こうした接し方をされる方からすれば「もしも自分が友達からの要求を断れば、友達を悲しませることになる」という不安や罪悪感を感じてしまう。また、友達で対等な関係のはずなのに、気が付けばいつも要求する&要求されるという明確な上下の立場関係が形成されてしまうことに、なんとなく違和感というかモヤモヤとした気持ちも出てくる。
まさに、友達として近寄ってきた相手から、知らず知らずのうちに支配され子分や手下のような都合の良い存在とみなされ、自分の自由を奪われている感覚に襲われてしまうことでしょう。
このようにしてフレネミーの支配下に置かれないためには、たとえ友達である事を盾にしてきたからといって、全ての要求を受け入れないこと…つまり、フレネミーのいいなりにならない姿勢を持つことが大事です。
もちろん、「一応でも友達なので、要求を拒否するのは気が引ける」と良心の呵責を感じるかもしれませんが、そこに漬け込むのがフレネミーの陰湿さであるため、毅然とした態度で対応する。
あるいは、自分の中でここだけは譲れない(例:金の貸し借りは友達でもしない)というルールを定めておき、それに従ってフレネミーに事務的に対処するようにしましょう。
一応の友達でも期待をしないこと
一応でも友達であるフレネミーと関わって辛い思いをしないためには、友達だからといって相手に期待や見返りを求めない事が効果的です。
フレネミーといっても、いつも嫌がらせをしてくるわけではなく、表面的には周囲から見て友達らしく見せるために、優しい部分や一般的な友達らしい情のある部分を見せることがあります。
そういった温かみのある部分を見せるからこそ、裏で嫌がらせをしているとなると「まさか自分の友達がそんな陰湿なことをしているはずがない」と、友達であるフレネミーが「実はいい人である」という期待を抱いてしまう。
そして、その期待が裏切られないためにも、必死に友達の良い部分にばかり目を向けて、自分を敵視している部分は意図的に見ず、意固地になってしまうものです。
こうした期待を抱くと同時に、その期待に縛られて辛い思いをしないためには、(多少抵抗はあるかもしれませんが)友達だからといって過度な期待を持たず、とらわれず、ある程度心理的な距離感を置くことです。
友達だからといって、その友達の内面がどこもかしこも綺麗で穢れなきものであるとは限らない…という、醜い部分を持っていることもまた友達という人間の一部分であると理解することが、フレネミーという複雑な存在を前にして動揺しないためには大事です。
過剰に褒めたりおだててきても油断しないこと
フレネミーの中には、友達として関わっている人に対して、過剰に褒めたり、おだてるかのような態度を見せてくることがあります。
まるで、芸事の師匠を崇め奉る太鼓持ちな弟子のように、その褒め方はどこか大げさでわざとらしく、友達としての仲の良さを示す以外にも「何か裏の目的があるのではないか?」という違和感を覚えさせられるものです。
褒められたら嬉しいかもしれませんが、露骨なまでに褒めてくるのは、褒めて調子に乗った友達が勘違いを起こして皆からの笑い者になったり、顰蹙を買って失脚することを狙っての接し方…つまり、褒め殺していると言えます。
まとめると、やたら褒めたり絶賛するかのように褒めてくる友達に対しては、褒め言葉を受け入れる素振りは見せつつも、その褒め言葉を鵜呑みにしないこと。
また、褒めるべきではない場面でも褒めてきた場合は、相手の褒め言葉には乗らず、すこし冷静になったり、他の友達など第三者に相談して、客観的な意見を求めてみるようにしましょう。
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嫌がらせへの仕返しはしない
フレネミーが嫌がらせ、マウント、無視する、嘘を振りまくなどの自分を敵とみなして陰湿な攻撃をしてきたからといって、それに対して同じことをしたり、暴力や暴言で倍返しにするなど、仕返しをしないことが肝心です。
自分の視点からすれば「やられたからやり返しただけ」と正当防衛であると認識していても、第三者から見れば「何もしていない友達に手を出した、先制攻撃をした」と見られてしまい、評価を下げてしまうリスクがあります。
フレネミーが陰ながら嫌がらせをしていた事実を知らない限りは「先に手を出したやつが悪い」と言われて、本当は正当防衛であっても攻撃してしまった自分の方が非難の対象になってしまう恐れがあります。
また、フレネミー自身が仕返しされた事実を活用して「自分は友達と思ってた人からいきなりひどい目にあいました」と被害者の立場をとって周囲の人を見方につけつつ、自分に対する陰湿な嫌がらせを強化してきたり、増長して更に過剰な要求をしてくる可能性もいなめません。
腹が立つでしょうけど、嫌がらせに対しては嫌がらせで対応せず、以下に述べるように関わらないように距離を置くことで決着をつけるのが良いでしょう。
※ ただし、フレネミーが自分の信用を毀損する嘘・デマをばら撒いた、自分の所有物を盗んだなど、社会通念や法に反する行動に出てきた場合は、警察、弁護士、法テラスなど第三者に相談することも検討に入れておくのがいいでしょう。(とはいえ、ここまでひどいと、少なくとも「友達」とは呼べないのではないか…という疑問も出てくるが)
最終的には関わらないように距離を置く
フレネミーへの対処法の最終的な目標は、フレネミーと関わらない生活を手にすることです。
友達とはいえ、自分に嫌がらせをしてきたり、支配するかのような態度で接してくる。もちろん、嫌な部分はあるけど一方は友達らしい温かみのある部分も見せるので、結果として関係を切るのはさすがにやりすぎではないかと思うかもしれません。
しかし、そこは割り切って少なくとも自分に嫌がらせをしないだけの、まともな相手を新たな友達として選ぶことが大事です。
フレネミーと長く関わり続けると、ほかの友達や恋人、家族など自分以外の人にもフレネミーが敵視する対象となる可能性があるため、これ以上被害者を出さないためにも、速やかに関係を絶つことが重要です。
また、進学や就職などで人間関係がガラリと変わるときを狙って、その時についでにフレネミーとの関係を自然に解消するのも方法の一つです。
フレネミー対策の問題点
さて、ここまでフレネミー対策について述べてきましたが、一応でも友達関係であることが、フレネミー問題を語る上では外せないように感じます。
上でも述べてきた対処法は、どれも(一応ではあるが)友達関係に対してヒビを入れることは避けられないために、多くの人はフレネミーからの嫌がらせには困りつつも、実際に対処法を試すことは怖くてできない。
その結果、フレネミーが増長してしまい、一応の友達関係であっても、ますます重く辛いものになってしまうのです。
「嫌な友達なら切ればいい」といえば、実にシンプルで簡単な事のように感じるかもしれませんが、その簡単な事が招く関係悪化で起きるいざこざ、そして自分の居場所の喪失という恐怖があるからこそ、フレネミーとそのフレネミーに悩まされる人たちが存在し続けているように感じます。
これが、恋人・配偶者であればDV支援の団体等に相談できますが、友達関係なのでまず相談でいる機関・団体がない。そして、友達ならよくあることと済まされやすく理解が進まない。
更に「悩んでいる自分の方がおかしいのでは?」と自分を責めてしまい、結果としてフレネミーの存在を公認し続けている人も多いように感じます。
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