就職活動で面接を受けるときでも、記念撮影をするときでも、笑顔になるのは当然のことという常識がありますが、一方で世の中には笑顔になるのが苦手であったり、自分の笑顔そのものにコンプレックスがあって悩んでいる人がいます。
笑顔をすんなり出せる人とは違って、笑顔がうまくない人は人間関係の悩みを抱えることも多く、周囲の人が当たり前のように出来ている笑顔ができないということで、自尊心が育ちにくいという問題があります。
笑顔を自然に出来る人であったり、笑顔が得意な人にとっては、笑顔がコンプレックスというのはなかなか理解しにくいものではありますが、笑顔が苦手な人の心理や背景を紐解いていくと、笑顔以外のコンプレックスがある人にも共通しているものがあります。
今回は笑顔がコンプレックスな人たちの心理や、笑顔によるストレスを減らすための対処法についてご説明いたします。
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笑顔にコンプレックスがある人の心理・背景
自分の顔のコンプレックスが目立つ
ブサイクや顔のバランスが悪いせいで、笑顔になると自分のブサイクさが目立ってしまうので、あえて笑顔になるのを避けているというパターンです。
例えば笑顔になることで
- 自分の目の細さが目立つ
- 出っ歯や歯並びの悪さ、歯茎が目立つ
- 顔のシワやほうれい線が目立つ
- 二重あごになったり、アゴのラインが目立つ
- 笑顔の時に顔が左右均等になっていないのが目立つ
- 顔がグシャグシャになってよりブサイクさが目立つ
などの、普段の表情ではなかなかわからない自分の顔のコンプレックスが目立ってしまうことがあります。
とくに、笑顔のせいで顔が左右均等(シンメトリー)でないと、皮肉屋や嫌味な人というようなマイナスの印象を与えてしまうことがあります。
ちなみに、日本人を含む平均的な東洋人は目が細くつり目なので、笑顔になると目の細さがより目立ってしまうのが特徴であり、コンプレックスになりやすいともいえます。
平均的な東洋人顔の人こそ、目を大きく見せるためのメイクや写真の撮り方にこだわっているのはこのためです。
自分がどう思われているかに敏感で表情が出せない
周囲の人に対して笑顔を振りまくことができない人には、自分が周囲からどのような人間に思われているのかに敏感になっているために、うまく笑顔ができないということがあります。
例えば、笑顔になることで。
- あの人は愛想を振りまいている。
- 自分だけ好かれようとして雰囲気のいい人アピールをしている。
- 自分は優しい人、付き合いやすい人柄だと思わせるために笑顔になっている。
というように、笑顔一つとっても、その笑顔を受け取る人の心理を先読みしてしまい、なかなか笑顔になれなくなっているというケースです。
笑顔は相手に好印象を残すためにテクニックとして有効ですが、一方で誰かから優先的に評価されたい、認められたいというための誰かと競争して自分を出し抜くためのテクニックとしても機能する面があります。
そういった笑顔のテクニックについて冷静に分析しているほど、笑顔以外の自分の細かな表情や行動に対して、頻繁に周囲の目を気にしてしまいやすいともいえます。
笑顔をすると顔が引きつる、筋肉がこわばる
普段から表情が希薄、仏頂面であまり表情を表に出さない人の場合、口角を上げて口元をにっこりさせようとすると、口元の筋肉が引きつったりピクピクと痙攣してしまいおかしな表情になってしまうことがあります。
腕や腹筋などのいわゆる筋トレ同様に、表情筋を普段から使っていないので笑顔のように口元の筋肉に強い刺激が入っていしまうと、うまく筋肉をコントロールできなくなることがあります。
口元の筋肉が引きつるのであれば、普段から笑顔につかう表情筋を鍛えることが効果的ですが、腹筋などの筋トレと違い笑顔になるためにわざわざ筋トレをしているという事実に対しやるせなさやみっともなさを感じやすいという特徴もあります。
ほかの人が当たり前のように笑顔になれるのに、自分だけあえてトレーニングをしなければほかの人のように笑顔になれないというのは、それだけ自分が周囲と比べて劣っていると思わざるを得ない状況といえます。
笑顔に関するいじめや過去のトラウマがある
ごく普通のコミュニケーションにおいては、笑顔は人と仲良くなるためであったり、打ち解けるために有効な表情ではありますが、一方でその友好的な態度と裏腹に人から良いように見られたいという自己承認欲求を満たすための上っ面の表情や、何かやましいことを考えている表情として笑顔を装うこともあります。
いわゆる「猫をかぶる」ということわざにもあるように、笑顔で近づいて「自分はいい人間です」「あなたと友達になりたいのです」とよく見せようとする場面でも笑顔は使われ表情です。
過去に笑顔で接した相手に嫌な思いをされたり、「なんだかわざとらしい」「笑顔がつくり笑顔で嘘くさい」と言われたことがトラウマになって、人前で笑顔になるときに過度な緊張感や強い思い込みをするようになったということもあります。
また、笑顔が必ずしも綺麗なものになるというわけではありません。
笑顔になるために表情筋をフルに使ってしまった結果、相手に対して不快感を与えるようなおよそ笑顔とはかけ離れた表情になったり、いわゆる笑顔ではなく「変顔」になってしまったことでからかわれる経験を受けることも少なくありません。
自分では笑顔で接して打ち解けようとしているのに、「お前は変な顔だなww」と人気者ではなく笑い者になってしまったことがショックで、人前で笑顔になるのをやめてしまうというわけです。
笑顔が苦手な人でも上手な人付き合いするための対処法
不機嫌な顔をしないだけでもいい
誰かと一緒にいる時に無理に笑顔になろうとして、かえっておかしな表情になってしまい相手に不信感や不快感を与えてしまうという場合は、無理に笑顔になろうとするのではなく、不機嫌に見える顔をしないだけでもOKと考えるようにしましょう。
あえて笑ったりおどけてみるだけではなく、あまり表情を出さず、しかし不愉快そうではなく理知的でクールな表情でいるだけでもいいと思うようにしましょう。
無理に違和感のある表情をするのではなく、自然な表情をすることも笑顔と同じぐらいに効果のあることです。
笑顔で逆に相手に不快感を与えたり自分がストレスを感じてしまうのなら、笑顔以外の自然な表情を心がけてみるのも効果的です。
マスクをして口元を隠す
笑顔をすると口の筋肉が引きつる、笑顔になることで顎や歯、口元のコンプレックスが目立ってしまう場合は、マスクをして口元そのものを隠してしまうのも方法の一つです。
秋や冬のような寒い時期、花粉症になる春なら、マスクをするのに抵抗感を感じにくく、風邪対策も兼ねることができます。
しかし、必要以上にマスクを付けることはその分相手と深く関わろうとしない、どこかよそよそしいと感じる人もいますが。
その場合は、話し方を工夫してゆったりと落ち着いて、聞き取りやすいトーンで話してみたり、目元がキツくならないように工夫をすることで、マスクをしてても相手に好感を持たれやすくなります。
力まない「アルカイックスマイル」を心がける
目が細くなって完全に閉じてしまうまで表情筋を使う笑顔とは異なり、目は閉じずにそのままの状態で口元だけ微笑みの形を作る笑顔を「アルカイックスマイル」と呼びます。
アルカイックスマイル古代ギリシアの彫刻や飛鳥時代の仏像に見られるように、口元だけ緩ませて笑顔を表現するのも笑顔の一種です。
普段から無表情であまり表情を表に出さない人は、いきなり顔をグシャグシャにするような笑顔で無理にコミュニケーションをとろうとするのではなく、口元だけニッコリとするアルカイックスマイルからはじめてみるのでもOKです。
無理に表情を崩さないので、寡黙で物静かなイメージのある人にとっては、アルカイックスマイルをすることで美しさや賢さ、物腰の柔らかさなどを印象づける効果も期待できます。
笑顔のパターンは1種類しかないわけではない
一口に笑顔と言っても、口角の上げ方から目の閉じ加減、笑顔の時の顔の向きや光の当て方など、様々なパターンがあります。言葉で表しても、
- ニコニコ
- にやにや
- ニマニマ
- ガハハハハ!
- ウフフフフ
- 草(www)
というように、笑う時の表情は実に多くのバリエーションがあるものです。
さきほど紹介した「アルカイックスマイル」のように、無理に力んで笑顔にならなくても少し口元を緩めてクールな印象を残した笑顔も、立派な笑顔です。
とかく笑顔と言うと、しっかり相手に笑っているのが伝わるように無理に表情筋に力を入れて多少オーバーな笑顔が推奨されていたり、就職活動において講師が「この笑顔こそが採用されるための笑顔です!」と強く主張して笑顔に対する表現の幅を狭めているのも事実です。
また、接客業なら笑顔になるためのトレーニングを研修に入れている職場も多く、本来は存在しないはずなのに、笑顔に対して正解や不正解があるという考えが染み付いてしまうことがあります。
不正解の笑顔はしていはいけいない、正解の笑顔をするべきだと強く思い込み、職場でも無いのに自分に合っていない笑顔をするようにしていないか気をつけていくようにしましょう。