ナルシストな性格といえば、どちらからといえばメリットなどまずない。自惚れて調子に乗るし、自尊心を肥大化させてしまう厄介さがある。そして、肥大化した自尊心に自分も他人も振り回され、苦労が絶えないデメリットの多い性格と見ている人が、きっと多いことだと思います。
一例を挙げるとすれば、自分の高すぎる理想や価値観を他人に押し付けて煙たがられると同時に、高すぎる理想にこだわるあまりに、本当は理想通りではない平凡な自分を自覚することに苦痛を感じている。
理想の自分と現実の自分のギャップのせいで、普段から情緒的な不安定さに悩まされているものの、その悩みを他人に相談しようものならナルシストで自信満々な自分のキャラが崩れてしまうおそれがあるため、悩みを誰にも相談できない苦悩をかかえるハメになる…ということが、ナルシストのデメリットの部分です。
しかし、ナルシストな性格は周囲との軋轢や自分の内面の葛藤に苦しまない状態でさえあれば、それなりにメリットある見方もできます。
今回は、そんなナルシストのメリットについてお話いたします。
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ナルシストな性格のメリット
理想の高さから向上心、上昇志向を生む
ナルシストで自己愛が強い人には「自分には特別である、優秀である、才能がある」といった向上心溢れた高い理想像を持つ、自分を特別だと思い込む傾向が強く見られます。
その一方で、強い思い込みの裏では、自分は特別でもなんでもなく至って平凡な人間でしかない、という身も蓋もない自分の未熟さも痛感している。そして、理想の自分と現実の自分との狭間で揺れ動く、メンタル面の不安定さに悩まされている人でもあります。
しかし、もしも不安定な自分のメンタル面をある程度コントロールできるようになれば、ナルシストの人は自分が抱いている高い理想に近づくために、惜しみなく努力することに集中できるようになります。
加えて、普通の人がぼんやりと描く平凡かつありきたりな自己イメージではなく、自分は特別だと感じているからこそ描く高い理想を持っているので、理想を叶えるために努力するとなればとことん努力するだけのしつこさを発揮します。
社会的な地位を得るためなら貪欲になれる
ナルシストな人は、経済力・学力・人脈などの社会的な地位に強いこだわりがあり、それらを得るためなら貪欲になることを厭わない人でもあります。
多くの人から注目されて羨望のまなざしを受けたい欲求を効率よく満たすためには「自分はこれがいいと思う!」という自分を基準とした価値基準にこだわるのでは非効率です。
学歴、収入、見た目、交友関係など、他人や世間がいいと思うものを基準にした価値観に沿って、周囲から見て羨ましがられるステータスを身につけていくことこそ、ナルシストの人から見れば合理的な方法です。
余談ですが、近年では「さとり世代」という言葉にもあるように、あらゆる欲がなく「人生はなるようになる」と諦観している若者が多い中、それに反発するように社会的ステータスを貪欲に求めたがる人と言うのは、人生の諸先輩方からの受けも良く、周囲からの羨望や期待のまなざしを集めやすい人と言えるでしょう。
フットワークが軽く物怖じしない
ナルシストな性格のメリットは、フットワークの軽さにあります。
とくに、そのフットワークの軽さは、新規のSNS、youtubeなどの動画配信サービスが出たときに真っ先に飛びつくことをためらわない、まさにファーストペンギン気質な人と言えます。
もちろん、フットワークの軽さは趣味や遊びの場面に限らず、仕事においても存分に発揮できるものです。
責任が重く他の人がためらうような仕事を率先して引き受ける事を厭わないので、仕事において高い評価を得ると同時に、仕事が上手くいけば社会的ステータスを獲得することも可能な一石二鳥な性格と言えます。
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しっかりと自己主張ができる
ナルシストな性格の人は、他人から認められたいがために、自己主張が強くなる傾向があります。
その場の空気や人間関係の和を乱さない事に重きを置く日本ならでは人間関係では、こうした行動は敬遠されると同時に短所とみなされる傾向がありますが、一方ではしっかりと自己主張をしたがることから…
- 話し合いで何事も白黒はっきりとさせる事を求める。(例:金が絡む話で、物怖じせず金の話題を口にできる。)
- 相手のペースに流されっぱなしにならず、しっかりと自分の意見を口にできるので、自分に不利な交渉事を防げる。
- 相手からしても、ただ「はいはい」と聞き流したり無反応のまま沈黙を貫くことがなく、しっかり質問や要望を述べてくれるので、話がしやすい相手だとみられる。
などのメリットがあると言えます。
ナルシストと言うと、つつしみ深さがなく奥ゆかしさの欠片も無い人だと思われがちですが、こと金銭や自分の人生が関わる場面においては、ナルシスト故の自己主張の強さが大きな力となる。自分が不利な状況に陥らないために、物事を進めるだけの素質を持っているとも解釈できます。
ポジティブ思考をすんなり受け入れられやすい
ナルシストな人は、理想と現実の自分の乖離の激しさ故に、不安定な気持ちにならないようになるべくポジティブな情報を好んで見聞きしたり、また自分自信もポジティブな言動をとって、それに順応しようとする傾向があります。
要するに、巷にあふれるポジティブ色あふれるメッセージを、ひねくれた目線で見るようなことなく、素直にそして積極的に受け入れようとする前向きな思考に染まりやすい人とも言えます。(もちろん、前向きな言葉ばかり聞きすぎて調子に乗る可能性も出てくるので、無条件に肯定できるない面もあるが…)
また、ポジションな言説に染まりやすいことから、人間関係においても「(うざいけど)暗くてひねくれた人よりは明るくて楽しませてくれる人の方がいい」という好印象を獲得することも容易いと言えます。
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他人の期待に応えることが得意
ナルシストの人は良く「自分が大好きで、他人なんてこれっぽっちも気にしていない人」だと思われがちですが、実は自分が注目されるために、他人の顔色やその場の空気を感じ取ることに必死である。つまり、他人を良く見ることに長けている人と言えます。
もちろん、この特徴はあまりにも他人の目を気にしすぎるあまりに、自分が空っぽな存在のように感じて不安になることが問題として挙げられますが、一方で…
- 他人が今何を求めているのか?
- 何をすれば他人は喜んでくれるのか?
といった、他人が期待していることを敏感に感じ取り、そして感謝や承認を得るためにも素早く行動するのが得意であるという解釈もできます。
他人の気持ちを汲み取ることは、普段の人間関係や恋愛関係に限らず、仕事の場面でも重宝する大切なスキルです。いわゆる「コミュニケーション能力」の一種です。
なんだか鼻につくナルシストな人が、憎めない存在として集団から受け入れられているのは、他人の期待に応えるコミュニケーション能力の高さが良い方向に作用しているのかもしれません。
自己愛(ナルシシズム)は適度なら問題ない
文中でなんども触れているように、過度な自己愛(ナルシシズム)は、自尊心を肥大化させてしまい、自分も他人も肥大化した自尊心に振り回されてしまい対人関係でのトラブルを引き起こす原因になりがちです。
ですが、自己愛は決して悪者ではなく適度であれば問題はありません。自己愛がなさすぎて卑屈になることもなく、逆に自己愛が強すぎて傲慢になることもなく、ちょうどいい自己愛を持つことを心がけるようにしましょう。
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