なぜ「生理的に受け付けない顔」に反応してしまうのか

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ストレートに言うと失礼かもしれませんが、どうしても「この人の顔は生理的に受け付けない」と感じてしまうことは、誰にでもあることだと思います。

  • 笑顔が嘘くさい、品が無い。
  • 目力が強すぎるあまりに圧倒されそう。
  • 昔いじめていた人と顔の形やパーツがよく似ている。

…などの、理由でどうしても「生理的にこの人の顔は受け付けない」「とにかくこの人の顔を見るとムカつく」などの、生理的な嫌悪感を抱くことはあるものの、それを口にすれば他人の顔を否定することにほかならないので、思っても口にしない人がほとんどでしょう。

今回は、そんな顔に対して抱く、生理的な嫌悪感についてお話しいたします。

ユング心理学から見る「生理的に無理な顔」に反応する

以前書いた「生理的に無理と感じる心理について」の記事の中で、生理的に無理と感じる心理には、私たちが抑圧している心理が影響していると説明しています。

ここでいう抑圧している心理は、心理学者ユングの理論を用いればシャドウ(影)と表現することができ、人間は自分のシャドウを感じる他人の外見、態度、行動などを見ると、言葉にできない不快感…つまり、「生理的に無理」と感じるとされています。

なお、抑圧と言ってもその程度は様々で「単なる嫌いなもの、苦手なもの」程度の軽いものもあれば、自分の認めたくない自分の身体的・精神的な醜さやコンプレックスなど重いものもあります。

シャドウは普段から無意識下に抑圧されているために、普通に生活している中ではまず感じることはありませんが、他人を見たときなどの何らかの拍子で刺激されて、怒り、恐怖、嫌悪感などの不快感として感じます。

しかし、普段から無意識下に押さえ込んでいるため、シャドウの正体が一体何なのか理屈で説明することは難しくなります。

仮にシャドウを理屈で説明できる状況にすることは、否が応でもシャドウ…つまり、普段は見ないようにしている、考えないようにしているものと向き合うことになり、その苦痛は測りしれないものになります。

結果として、シャドウと向き合ったり、分析にするようなことはせず、ずっとシャドウは見たくないものとして無意識下に抑圧して放置され続ける。そして、シャドウを感じる他人に出会ったときに「生理的に無理」という不快感を抱いてしまうのです。(なお、シャドウはその性質上、トラウマと近いものだとも考えることもできます)

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「生理的に受け付けない顔」は、根底には自分に何らかの関連があるもの

(あまり認めたくない事かもしれませんが)自分が抑圧した心理(シャドウ)はそもそも自分由来であるために「生理的に無理な顔、受け付けない顔」という感じる心理の根底には、何らかの形で自分に関連する経験や過去などがあると考えられます。

例えば、「笑顔が嘘くさい、品が無い」と感じて生理的に無理な顔だと感じた場合、その根底には、

  • 自分が過去に嘘くさい笑顔や品の無い笑顔をしていたが、それに気づき矯正した経験がある。
  • 自分の笑顔にコンプレックスがあるものの、それを誰にも打ち明けられず一人で抱え込んで抑圧した経験がある。
  • 過去に、品の無い笑顔を見せてきた人から嫌がらせを受けた、不愉快な思いをされた。

など、経験が原因となって「笑顔が嘘くさい、品が無い」という嫌悪感が生まれていると考えることができます。

もちろん、不愉快で思い出したく無い出来事であればあるほど、それを下手に思い出そうものなら不快感は強まるので、無意識下に抑圧して対処しようとします。

ですが、日常生活の中での他人との出会いであったり、ネットやTVの向こう側で見かける誰かの中に、半ば不可抗力的にシャドウを感じさせる笑顔の持ち主がいた場合、それに対して強い生理的な不快感を抑えることができなくなるのです。

笑顔の他にも「目力が強すぎるあまりに圧倒されそう」という場合は、目力の無さに自分がコンプレックスを抱いている、目力の強い人に何か不愉快なされたことがある、などの思い出したくない経験が原因となっていることが考えられます。

また「昔いじめていた人と顔の形やパーツがよく似ている」の場合なら、いじめという思い出したくない辛い過去を、いやでも想起させる人の顔に対して反応してしまっていると考えることができます。

どの場合も、生理的な嫌悪感を抱く原因である、抑圧している心理(シャドウ)は、自分が抱いているもの。そして自分が抱いているシャドウを感じてしまう顔というのは、過去の嫌な経験、自分のコンプレックスなど、自分と関連するところや通ずるものがあるからこそ、反応してしまうのです。

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「生理的に無理な顔」を受け入れるのが難しい理由

「生理的に無理な顔を持つ人には、自分の中で抑圧している心理が原因。自分と何らかの共通点がある」…と説明しても、そう簡単に受け入れられる人ばかりではないと思います。

「言葉にできない嫌悪感を抱く人は、実は根底では自分と関連する所や共通点がある…」と、認めようとしても、そもそも生理的に無理だからこそ強く拒絶してしまうことは容易に想像できるでしょう。

「生理的に嫌っている顔を持つ人と自分は無縁!」とか「生理的に嫌いな顔と自分とが同類なわけがない」と、感情的に強く拒絶してしまうのも無理な話ではないと思います。

もしも「生理的に無理」と感じるものを認めてしまえば、それは他人に抱く嫌悪感を感じる要素を自分も持っている事だと認めるのと同じで、激しい自己嫌悪に駆られたり、自分の持ってる自分らしさ(アイデンティティ)や価値観が崩壊する危険性があります。

だからこそ、生理的な嫌悪感を感じるものに対しては、深く考えたり分析することもせず、自分とは全く無縁で言葉では説明できないものとして、手っ取り早く考えなくて済むように片付けてしまうのです。

…とは言えリアルの人間関係では、そう簡単に「生理的に無理で顔も見たくないから視界に入らないで」とは言い難いものですし、やんわりと距離を置くなり、なるべく相手の顔を見なくて済むように視線をどこかに逸らすのが現実的な方法です。

これがネット(SNS)上なら、アカウントそのものをブロックして、タイムライン上に登場させない…といった方法が、現実的でしょう。(もちろん、見たくないものだからこそ無理に見ようとせず目を逸らし続けるのは合理的な方法ではありますが…。)

なお、生理的な嫌悪感を抑える方法は、生理的な嫌悪感を感じる根底には自分が抑圧している心理(シャドウ)があることを受け入れる。つまり、他人に感じる不快な要素が自分にもあると認められれば可能とされています。

他人に感じる不快な要素が自分にもあるという受け入れがたい現実を受け止めてこそ、生理的な不快感は克服されるというわけです…が、そもそも受け入れがたい現実だからこそ、認めようとしないし、強く否定し拒絶し、生理的な嫌悪感を感じ続けることを選んでしまうのもまた人間の性なのかもしれません。

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国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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