ちょっと話をしただけなのに、すぐに相手の事を好きになってしまう。すこし優しくされただけで「ひょっとしてこの人は自分のことを好きなのでは?」と先走ってしまった結果、残念な思いをすることはありませんでしょうか。
いわゆるすぐに誰かのことを好きになってしまう惚れっぽい性格は漫画やアニメなどのフィクション世界でなら、それなりに見かける事も多いですが、現実ではなかなか困りものな性格です。
惚れっぽい人は、人に対して常に疑い深く親しくなっても心を開かない人と比べればマシだと思われがちですが、すぐに好きになってしまう裏には不安を感じやすい性格であったり、精神的に依存してしまう癖が影響していることがあります。
また、自分が気になった人に対してすぐに心を開くコミュニケーションのやり方は、一方的に距離を詰めるようなコミュニケーションなので、意外にも受け入れられず付き合うのが面倒だという理由で遠ざけられてしまうこともあります。
自分では、素直さや好奇心からくる行動であっても、すぐに心を開いて受け止めて欲しいという態度で迫られたら、それが純粋な善意であっても負担に感じてしまうものなのです。
今回はそんな「惚れっぽい人」についてお話いたします。
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すぐ誰かを好きになる人に多い特徴
すぐ誰かを好きになる人は、表面的には明るく悩みも少なそう、いわゆる「闇」の部分が少なそうに見られることがありますが、実は不安やコンプレックスが原因というケースがよくあるものです。
自分に自信が持つことができない
すぐに誰かを好きになってしまう理由として「自分に自信が持てない」という特徴があります。
自分の見た目、学力、交友関係、コンプレックスなどのあらゆる原因により、自分に自信がもてない状況に陥ると、人間は不安を避けるために、常にだれかと一緒にいたいと思うようになります。
もちろん、一緒にいる相手は見ず知らずの親しくない人よりも、友達、恋人、家族などの自分と親しい人、自分にとって大切な人といる方が安心感は強くなります。
この現象はリアルの人間関係に限らず、SNSやLINEなどのネット上の人間関係でも同じです。
- スマホで友達とつながっていないと不安に襲われる。
- 「既読」がつかないことで、見捨てられてしまうという不安に駆られる。
- いつもSNSにログインし、孤独な瞬間を徹底的に無くそうとする。
などのSNS依存に見られる行動には、自分の自信の無さから不安や孤独への恐怖が原因となっている事もあります。
自己評価が低く恋人に求める水準が低い
自分のことを低く評価している人は、自己評価の低さゆえに不安やストレスをよく感じて、更にそんな自分がさらに嫌になる…という負のループを繰り返すことがよくあります。
声に出さなくても、心の中で
- どうせ自分なんて…
- 私なんか何をやってもダメだ…
- 私なんかが頑張っても無意味…
と、いつも自己否定をするのが癖になり、自分で自分を追い込んでしまいます。
そんな自己評価が人は、恋人に対する要求水準も低い傾向が見られ、事務的な挨拶や社交辞令の感謝の気持ちを伝えられると「自分に好意を向けられているのでは?」と考え、すぐに相手のことを好きになってしまうのです。
自己評価が適度で、相手の感謝が社交辞令だとわかっていれば、感謝の気持ちを恋心だと錯覚せず軽く受け流すことができます。
自己評価の低さゆえに相手への求めるハードルが低く、些細な行動を見て「ひょっとして…これは恋では?」という考えに陥り、行為を持ってしまいがちなのです。
依存心が強い
すぐ誰かを好きになる人よくあるのが、他人への依存心が強い人です。
- 誰かのために尽くすことに充実感を抱いている。
- 助けになりたい、支えになりたいという気持ちが強い。
- 誰かのために自分を犠牲にしてでも頑張りたい。
という、一見すれば自己犠牲や慈しみ、愛情にあふれた素晴らしい性格のように見えますが、よく調べると自分の生きる意義・理由を自分以外の他人に見出し、依存することに幸せを感じていることがあります。
この場合、依存する相手がいなくなると自分の生きる理由がわからなくなり、その不安から逃れるために依存先となるに誰かの存在を探し求めることがよくあります。
傍から見れば、ドラマティックな恋愛をしているものの、その実態は自分のメンタルを安定させるために次々と依存先を求めているだけにすぎない…という、当事者も見ている方も辛くなる状況なのです。
人の好意を都合よく解釈する癖がある
ひねくれておらず物事を純粋な目で見て、好意的に解釈する癖がある人もまた、すぐに誰かを好きになる傾向があります。
疑心暗鬼になって何事も疑うよりはマシですが、なんでも好意的に解釈する人は
- きっと私のことに気があるに違いない
- あの人は、多分自分のことが気になっているはず
と、自分にとって都合の解釈や勝手な期待を相手に抱くことが多くあります。
そして、期待が外れて失望したり、ショックから相手を感情的に責めてしまうこともあります。
いわゆる「勝手に期待して勝手に失望する」行動をよくしている人と同じです。
惚れっぽい心理と親和欲求
不安や緊張、恐怖といった状況に陥ると、人間はだれかと一緒にいようと思い、安心感を得ようとします。この気持ちのことを心理学では「親和欲求」と呼びます。
また、親和欲求には孤独を避けるだけではなく、周囲の人と仲良くなり、その状態がいつまでも続いて欲しいという気持ちも含まれています。
孤独よりも集団の方が、お互い知らない人同士の集団よりも友達や恋人といる方がより安心感を得られるのは、簡単に想像できると思います。
なお、親和欲求の強さは人によって異なり、あまり不安を抱きにくい人や孤独にそこまで恐怖を感じにくい人は弱く(=つまり一人でも平気)になります。
一方で、些細なことで不安やストレスを感じやすい、孤独に慣れていない人は、普段から親和欲求が強く、すぐに誰かと一緒にいたがったり、誰かを好きになって安心感を得ようとするのです。
もちろん、不安な状況から逃れること自体を否定するわけではありませんが、不安を感じやすい人は自分の考え方や物事を見る癖が、不安を強く感じる性格に影響していることがあります。(例えば「認知の歪み」など)
不安からくる恋愛の問題点
ただ不安から逃れるための恋愛関係は、最初のうちは幸せでも次第にお互いの関係に歪みが生じて「支配=被支配」の恋愛関係になったり、依存される側の精神的負担が大きくなり長続きしない傾向があります。
(二次元・バーチャルの世界を除けば)恋愛は一人ではできないのが世の常なので、相手に一方的に尽くしたり、依存し続ける関係だと次第に相手も愛の重さが負担になってしんどさを感じるのです。
- 一方的に尽くされているけど、本当にこのままでいいのだろうかと自分を疑う。
- 尽くされてばかりというのは、それだけ自分が頼りない証拠だと感じてしまう。
- 一人になって落ち着きたいのに、依存されてプライベートの時間が持てない。
などの、なかなか人には言いにくい辛さを関係が続くうちに募らせてしまい、その辛さに耐え切れなくなり別れを切り出してしまうのです。
また、自己評価の低さゆえに、クズな性格であっても簡単に好きになってしまい、モラルハラスメントやDVに苦しんだり、依存心を利用されて相手にいいように利用される関係になりやすくなります。
自己評価が低い人は、自分のことを高く評価してくれる人よりも、自分のことを悪く言う人の方が安心感を得やすい心理が働きます(=認知的斉合性理論)。
クズ男や恐妻家にハマる人は、自己評価の低さゆえに自分に辛辣な人に親近感を抱くのはこのためです。
惚れっぽい性格の人こそ、恋愛以外の落ち着ける時間を持とう
すぐに人を好きになる素直さや純粋さは素敵なのですが、すぐに好きになることがきっかけで自分も相手もしんどい思いをしてしまうのは避けなければいけません。
また、何度も人を好きになっていることが目に付き悪い噂を流されてしまっては、友達を失ったり自分の評判を下げることにつながります。
惚れっぽい性格の人に大事なのは、恋愛以外にも落ち着きや安心感を得られる時間を見つけることです。
例えば一人でできる趣味を見つけたり、スポーツで体を動かすのは効果的です。ジョギングや筋トレのように自分一人で完結できるスポーツだと、自分の成長が走れる時間の長さや筋肉量の増加などで確認しやすく、根本的な自信の無さを解決することにも役立ちます。
また、自分の辛さや悩みを相談できる人を一人だけではなく、他の親しい人を作って言えるようになることも大事です。
自分の人間関係を一人だけに依存するのではなく、複数の人に分散して依存することでメンタルの浮き沈みを激しさを穏やかにすることができます。
株の一つの銘柄に投資するよりも、複数の銘柄に投資する分散投資の方がリスクが少ないのと同じで、自分の人間関係を過度に絞りすぎず、付き合う時間が短くてもいいので複数の人や集団と関わりを持ってくことが重要です。
ちなみに余談ですが、二次元やバーチャルの世界の恋愛(?)は、
- 自分一人で完結できる。
- 複数の依存先(つまり好きなキャラ)を持てる。
- 時間、場所、状況をわきまえなくてもいい。
というリアルの人間関係では到底手に入られないメリットがあるために、ある意味安心感を得やすいのかもしれません…。