勝手に期待して勝手に失望してしまう心理と対策

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誰かに対して自分で勝手に期待したものの、期待通りにならず失望してしまう。

下手をすれば期待していたのに裏切られたと言ってしまい、相手を傷つけてしまったという経験をしたことはないでしょうか。

人に期待をする事自体はよくあることですが、その期待があまりにも自分勝手なものであったり、相手にただ期待するだけで気持ちを伝えないままで、期待通りにならず失望してしまうというのは、自分も相手も精神的に苦しんでしまいがちです。

恥ずかしがりな性格であったり、コミュ障であまり人と関わるのがうまくない人だと、期待しているという事を自ら伝えるためのアプローチをしないままになることが多く、期待が失望へと変わる経験を何度も重ねた結果、誰にも期待しない方が精神的に楽だと考えてますます人と関わるのを避けてしまうこともあります。

今回は、勝手に期待して勝手に失望してしまう心理とその対策についてお話いたします。

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勝手に期待が膨らんでしまう心理の原因

現実を正しく見れず思い込みや妄想が激しい

勝手に期待が膨らんでしまうのは、期待する相手を含めた現実を正しく見ることができないのに加えて、そこに自分に取って都合のよい思い込みや妄想が加わることで、期待はどんどん膨らみ、現実離れしたものに変わってしまいます。

例えば、仕事においてとくに目立った成果を上げているとは言えず、どちらかと言えば人並み程度の努力であるのにもかかわらず、当の本人は自分は誰よりも頑張っているし当然評価されるに違いないと勘違いしているケースがこれです。

自分は「人並み程度の努力しかしてない」という現実を正しく認識できていないどころか、「自分は誰よりも頑張っている」と自分に取って都合のよい独りよがりな思い込みをしているため、周囲の人との評価の差を目の当たりにするとひどく失望した、裏切られた、周囲の人は自分のことを分かっていないと感じてしまいます。

「こうあるべき」「こうであるはず」という気持ちが強い

勝手に期待を膨らませてしまう人は「こうあるべき」「こうであるはず」という考え方の癖をしていることがあります。

  • 昔と比べてかなり仕事を頑張っているから、次の査定では昇給があるべきだ。
  • これだけ恋人に尽くしているから、今度の記念日には感謝の気持ちを言うべきだ。
  • これだけ部活で頑張っているから今度の試合でレギュラーに選ばれるはず。
  • この作者の漫画は私好みだから、次の巻では更に私を楽しませてくれるはず。

というように、「~(す)べき」「~(の)はず」という考え方をしています。

べきという言葉には推量の意味で、実現していないことに対する予想や憶測を示す時に使われる言葉です。

上にあげた例を見ても、どれも、まだ実現していない未来の出来事に対する自分の予想や憶測について「~(す)べき」「~(の)はず」と言っているのがわかりますね。

で、未来に対する自分の予想は、やはり予想にすぎず当然はずれることもあるのですが、その時に自分の予想が外れたショックを自分の中で処理できず、勝手に期待をかけていた相手に不満やイライラをぶつけてしまうのです。

少ない情報から勝手に解釈をしている

心理学とはあまり関係が無いように思われますが、株式投資には「噂で売って事実で売る(Buy the rumor、Sell the fact)」という有名な格言があります。

これは、例えばあるアナリストが「この企業は今期は業績が校長で、決算発表は期待できるだろう」という噂が出た時に、その噂を聞いた投資家が期待感から株を購入されやすく、株価は上昇していきます。

しかし、いざ決算発表の日にたしかにアナリストの噂通り業績はよかったものの、「なんだか大したことないな」と噂が事実となり、その事実に対してあまり驚かなくなった投資家が、利益確定のために売るという、投資家心理を表した言葉なのです。

もちろん、企業が正式に決算発表をしていない段階では、あくまでもこのアナリストの情報はただのよい噂にすぎず、その噂が雪だるま式にどんどん脚色されてしまうこともあります。公式な情報が出ていない以上は、もっと株価が上がるはずという期待を膨らませるだけの余地があります。

しかし決算発表のあとは、公式の情報がある程度出たため、もう期待を膨らませるだけの余地がなく売られてしまいます。

このことを人間関係に置き換えてみると、例えば初対面でお互いに相手のことをよく知らないのであれば、よく知らないがゆえに相手に対して勝手な期待を膨らませるだけの余地があります。

しかし、何度か交流を重ねて相手の考え方や価値観がわかってくると、だいぶ情報が出揃ったので勝手な期待を膨ませる余地がなくなり、初対面の時に相手に期待していたイメージとは違い、現実は期待通りとは到底呼べず失望してしまうというわけです。

勝手に期待しすぎないための対策

相手のことをよく知ろうとする

勝手に期待をしてしまう人は、相手のことをよく知ろうとせず、足りないイメージを自分の頭の中の都合のよい思い込みで補完する癖があります。

勝手に期待をしすぎないためには、自分勝手な思い込みで相手のイメージを決めてしまうのではなく、相手のことを深く知ろうとすることが大切です。

相手はどういう価値観を持っている人なのか、どういう考えをしている人なのかと、相手の目線に立って物事を考えたり寄り添うことが大事です。

できる範囲でいいから話し合って、相手とコミュニケーションを通し親睦を深めて行くことも、勝手に期待と失望を繰り返さないためには効果的です。

相手に期待しすぎることは相手に「依存」することだと理解する

相手に勝手な期待を寄せる人はが持つ「~(す)べき」「~(の)はず」という考え方は、過去に傷ついた経験が元になって、「~の通りに動けば傷つかない」と身を持って学習して身につけた考え方と見ることができます。

自分の努力や行動といった自分の力でコントロールできることで傷つかないようにしようと心がけるのではなく、自分の力ではコントロールできない他人への期待により傷つくことをさけているのです。

期待をするという行動は、自分でコンプレックスを改善する、傷つかないために考え方の癖を変えるといった地道な努力よりもはるかに楽で、且つうまくいったときはかけた労力にくらべて得られる満足感が大きいために厄介です。

まるでギャンブルのように、ときどき期待通りになってしまうことで自分の努力によって改善するチャンスを奪ってしまい、依存するように相手に身勝手な期待を押し付けてしまうようになるのです。

期待している事は相手に伝えるようにする

勝手に期待と失望を繰り返す人に多いのが、自分が期待していることを「察してほしい」と言葉にはせず訴えているだけというケース。

察して欲しいというものまた独りよがりな行動で、言葉にして相手に伝える努力をしない限りは、いつまで経っても自分の思いが伝わらないのは無理もありません。

また、運良く相手が察してくれたとしても、相手が察した内容が自分のものとは大きく食い違っていて、それに失望してしまうというのも少なくありません。

人間はエスパーやテレパシーが使えるわけではなく、お互いに自分の気持ちを言葉や態度にして伝えようとすることで始めて気持ちを理解してもらうスタート地点に立てるのです。

もちろん、一度で全部伝わらないこともあるからこそ、なんども繰り返したり表情を強調したり、文字にするなどして、自分の期待をしっかり相手に伝えようとすることが大事です。

ただ、自分の思いを伝える努力をせずに「察して欲しい」だけでは、自分から相手にコミュニケーションをとるのを放棄しているようなものです。

期待を察してと独りよがりに思うのではなく、何かしらの言葉や行動であったり、手紙やメールなどの形に残るもので自分の気持ちを伝える努力をするようにしましょう。

勝手な期待を押し付けられるのは結構困りもの

勝手に期待して勝手に失望する人と接している人に多いのは、自分は期待している相手に対して何の応援やサポートもせず、自分の気持ちを伝えていないのに「裏切られた」と切って捨ててくるというパターン。

今まで言葉なり、態度なり、場合によっては経済的な面などで何かしら「期待しています」ということを相手にしっかり伝得られていれば、期待されている方もとり頑張れるものですし、相手の期待通りにならなかった時は、反省もできるものです。

しかし、勝手に期待して勝手に失望するは、相手に対して自分の気持ちを伝えることもせず、ただ「裏切られた」と言ってくるために、言葉を吐かれた当人はいきなり「裏切られた」と言われて心が傷ついてしまったり、あまりの展開に状況が飲み込めなくなってしまうこともあります。

自分から期待を伝えた人と比較すると、勝手に期待&失望を繰り返す人は、自分の思っている事を相手もきっとわかってくれるに違いない、という自分勝手な思い込みが強いと言えます。

あるいは、期待をしているにしてはどこか真剣味や当事者意識が薄く、のほほんとお客様気分でいたのに期待通りにならずクレーマーになってしまっているようにも見える時があります。

勝手に期待して勝手に失望するという一連の流れにも、相手の気持ちを感じ取ろうと寄り添うのではなく、ただ一方的に自分の気持ちをぶつけて発散しているために、一釜的な気持ちをぶつけられた方にとっては、「なんだかよくわからないけど申し訳ないことをしてしまった」「面倒な人と出会ってしまった」会話をするモチベーションすら湧きにくいものです。

会話の基本はキャッチボールでよく表現されますが、勝手に期待&失望を繰り返す人は投げる側の場合は相手のコンタクトを取らずにボールを投げてしまう、逆に自分がキャッチする場合はどんなボールが欲しいのか口に出さず察してもらう、というキャッチボールをしているように見えます。

自分勝手に期待&失望を繰り返す人は、相手に自分の気持ちを伝えたり、相手の表情や行動を見てそれに寄り添う事を日々のコミュニケーションの中で身につけていくことが大切です。

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