期待が裏切られるとどうして辛く感じるのか

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自分の期待が裏切られる時と言うのは、大抵のたいていは強い怒り、失望、不安など、不快な気持ちを抱くものです。

あまりの不快さに、見たくない現実と直視するのを避けてしまったり、期待を抱いていた人や物に対して、強く当たってしまうこともあるでしょう。

今回は、そんな期待が裏切られた時に辛く感じる心理についてお話しいたします。

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期待が裏切られた時の感情の動き

期待の裏切りが辛さに変わる心理について、スイス生まれの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの著書『死ぬ瞬間』で登場している「キューブラー・ロスモデル」の考えをもとに分析してきます

「キューブラー・ロスモデル」とは、末期ガン患者が自らの最後を受け入れる過程をまとめたものであり、以下の5つに分かれています。

  1. 否認:自らが死ぬ事は本当なのかと疑い否定する。
  2. 怒り:なぜ自分が死ななければいけないのか怒る。
  3. 取引:生きながらえられるように、様々な手段を尽くす。
  4. 抑うつ:すべての努力は無駄だと悟り落ち込む。
  5. 受容:自らの死をようやく受け入れる。

これを、期待が裏切られたときに当てはめてみて考えてみましょう。

否認

自分の期待が裏切られたと言う事実を疑いの目で見たり、真正面から認めようとせず、否定する状態です。

怒り

なぜ、自分の期待が現実にならず裏切られてしまったのか納得できず不満や苛立ちを覚えている状況です。

特に対人関係において期待が裏切られた場合は、「相手から嫌われてしまったのではないのか」と想像したくないイメージを抱いたり、「こんなに期待しているのに裏切るのなんて、なんて恩知らずな奴なんだろう」と、相手を憎しみの目で見てしまうこともあります。

取引

「自分の期待はまだ裏切られていない」と考えて自分に都合の良い情報だけを集めたり、期待が裏切られた事実を直視しないために、現実を歪んだ解釈で受け止めようとすることです。

また、率直に「あなたの期待は裏切られた」と訴えてくる人に対して強く反発したり、現実をつけつけるような人の意見を拒絶して、「あくまでも自分の期待は叶えられるものであり、裏切られてはいない!」と言う姿勢を断固として貫くことも、取引の一種と考えられます。

抑うつ

期待が裏切られるショックを避けるために奮闘したものの、その努力が無駄であったと悟る状態です。

ただ期待が裏切られた辛さだけでなく、期待が裏切られていないと確信するために尽くした努力そのものも全て否定されるので、落ち込みは激しくなり、憂鬱な気持ちに襲われます。

受容

落ち込んだ後に、自分の期待が裏切られたと現実を受け入れることです。

当然ながら、見たくない現実と向き合う辛さがありますが、この現実をしっかり受け入れて、自分が他者に抱く期待の内容を現実的なものに寄せる知恵を身につければ、過度な期待を抱いて裏切られる経験を防ぐことができるという側面もあります。

また、一度期待を裏切られたという挫折経験を乗り越えたことが自信や自己肯定感とつながり、強いメンタルを養うことにもつながります。

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期待の辛さを受け入れられない人の心理

期待が裏切られる辛さは、どんな人でも相応の辛さがありますし、何より自分自身が否定されたように感じて、なかなか認めるのは難しいものです。

しかし、過度な期待を抱いてしまった自分の甘さや未熟さを受け入れて、適度な期待を抱けるように学習することは、強いメンタルを養うためには欠かせません。

しかし、中にはキューブラー・ロスモデルの需要の段階にまでたどり着かず、否認や怒りの段階を何度も行ったり来たりするばかりで進歩がなかったり、抑うつに耐え切れず、否認~取引までの段階をぐるぐると回っている人もいます。

もちろん、自分の尽くしてきた努力が抑うつの段階で全て否定され無駄であったと悟るのは簡単ではありません。

もしも、無駄であったと受け入れてしまうと、人によっては自分の軸となる部分がポッキリと折れてしまい、精神的に立ち上がれなくなる不安もあります。それを避けるべく、いつまでも抑うつ、需要の段階にたどり着けず、否認~取引に留まり続けているのです。

辛い現実を直視せず、自分の期待が行き過ぎたものであることにも気づく機会すらなく、ただ感じたショックを発散させて、「自分の期待は間違っていなかったんだ!」と言う姿勢をどうしても止められない気持ちの裏には、抑うつと受容に耐え切れるだけの打たれ強さがないとも見ることができます。

期待の辛さを乗り越えられないと、何度も期待が裏切られる経験を繰り返す

上でも触れていますが、期待が裏切られたという事実をしっかり受け止めて、乗り越えることができないと、何度も身勝手な期待を抱いては裏切られ…と言う経験を繰り返し、その度に不快な思いをすることになります。

また、期待が裏切られたと言う挫折経験を乗り越えられなていないので自己肯定感が低く、他人に対して依存して過度な期待を押し付けてしまう。

そして、その期待が裏切られる場面に出くわしてもうまく対処できず、現実逃避や自分の認知を歪めて現実を見ることでその場のしのごうとするする癖が身に付いてしまいます。その姿は、現実と折り合うことをずっと避け続けていると言ってもいいでしょう。

また、このような身勝手な態度を取ることから、周囲から顰蹙を買ってしまったり、距離を置かれたり、関わるのがめんどくさい相手だとみなされれば、ますます生きづらさを増してしまいます。

付き合う方からすれば、勝手に過度な期待を押し付けられて、その通りにならなければ不機嫌になって自分を攻撃してくる恐れがあるので、好き好んで付き合おうと言う気持ちは起きにくいものです。

また、仮に期待に応えたとしても、さらに増長して「もっともっと」と期待をかけられることに、精神的な負担を感じることもあります。

相手の状態や感情を無視して、ただひたすら自分本意な期待を押し付けてくるばかり。また、期待に応え続けても、「もっともっと」要求が増えるので全然気持ちが休まらない。

そして、我慢の限界を迎えて期待に応えきれずダウンしてしまった場面で、過度な期待をかけていたことと向き合うことを避けて、「あいつは期待を裏切った!」「私はこんなに期待していたのに!」攻撃的な態度を取るので、あまり付き合いたいと思わないのも無理は無いでしょう。

期待を裏切った方も裏切られた方も辛い。お互いに辛くなって関係がギクシャクしてしまうがゆえに、自分の期待の度合いをある程度柔軟に下げたり、調整できるスキルを身に付けることが、人付き合いで辛くならないために大事だと感じます。

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参考書籍

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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