メンタルを鍛えるためにスポーツを取り入れる方は多くいます。
学校の部活動でも「精神的に強くなりたい」「自分を変えたい」「強い心に鍛えたい」という理由で取り組んだり、自分のこどもにメンタルトレーニングの一環としてスポーツを習わせる親もよく見かけますね。
たしかに、筋トレやランニングなどの地道で苦しいトレーニングを乗り越えるといった経験は、自分のメンタルにとって確かな自信となり、メンタルを鍛える方法としてはメジャーです。
しかし、スポーツもやり方を間違ってしまうと、逆に自分を責めてしまったり、コンプレックスを強めてしまい自信を失ってしまう原因にもなってしまいます。
また、ハードな練習した続けたことでメンタルだけでなく、フィジカル面での不調に悩まされたり、怪我や故障、スポーツ障害によって練習ができなくなることもあります。
今回は、スポーツで正しくメンタルを鍛えるために抑えておきたいコツについてお話いたします。
目次
スポーツでメンタルを鍛えるためのコツ
自信をつけることをまず第一にする
「スポーツでメンタルは鍛えられる」というのは、誰もが抱くイメージではありますが、具体的に見てみると「メンタルを鍛えるって何?」と思うことでしょう。
メンタルを鍛えるという目標そのものは曖昧な目標であり、具体的にどんな風に練習をすればいいのか、練習で何に気をつければいいのか疑問を抱きやすい目標でもあります。
スポーツでメンタルを鍛えるという大きな目標を達成するには、まずは自信をつけることという具体的でイメージがしやすい小さな目標を設定するようにしましょう。
少し頑張れば達成できることを目標にする
スポーツを通して自信をつけるためには、いきなりプロのスポーツ選手がやっているハイレベルな練習ではなく、自分のレベルに合わせた練習を行うのが基本となります。
この時に意識するのは「少し頑張れば達成できそう」なレベルに、練習内容や量を調節することです。
例えば、ジョギングの場合。
今の実力では「毎日30分走る」という目標だと厳しそうな場合は、「1日おきに30分走る」とハードルを下げてこれならなんとか達成できそうだと感じるレベルに練習内容を設定するようにしましょう。
また、初心者によくあるのが、理想が高すぎて最初からこなせそうにない厳しい目標を立ててしまい、結局三日坊主になってしまうというパターン。
理想が高いのはいい事ですが、理想が高くなればなるほど目標達成には時間がかかり途中で挫折するリスクを高めてしまいます。
最初のうちこそ慢心せず、「この練習だと自分には物足りなさ過ぎるのでは?」と感じるレベルから、徐々に体と心を慣らしていくようにしましょう。
トレーニングを継続する習慣を付ける
スポーツで体を鍛えるのと同様に、メンタルを鍛えるのにもある程度の時間はかかるものです。
筋トレを数日頑張っただけでボディビルダーのようなムキムキの体にならないように、練習を数日頑張っただけでは、メンタルが今までと見違えるようにタフになることは滅多にありません。
「なるべく短期間でメンタルを効率的に鍛えたい」という焦りの気持ちが大きい場合は、一旦落ち着いて焦らずゆっくりと、まずはトレーニングを数日、数週間と継続することから始めてください。
また、練習のあとに自分のメンタルの調子は日記に記録しておくのも効果的です。
日記に書く内容は
- 今日の練習では昨日できなかったことができたので嬉しかった。
- 今日は練習に集中できず、イライラしているのが自分でも分かってしまった。
というように、簡潔に気持ちを書く感じでOKです。
自分の気持ちを書き溜め置くことで、あとに見返して自分の感情の波や調子のいい時のメンタルのコンディションを知ることにもつながります。
疲れたらしっかり休憩を取ることも大事
ハードな練習をした次の日は、筋肉だけでなくメンタル面も疲労が溜まってしまい、「なんとなくだるい」「練習がめんどくさい」「動きたくない」と感じることはよくあります。
しんどい時に無理やり練習をしても、体も思うように動かず練習に集中できないので練習の効率は下がってしまいます。
ですので、メンタル面で辛いと感じたら、そのときは練習を休んでやる気や体力が回復できるようにいたわることも大事です。
適度に休息を挟むことで練習に対するモチベーションも安定しやすくなり、より楽しくコンディションの高い状態で体とメンタルを鍛えることにもつながります。
「疲れたら休む」というのは運動生理学に基づいた練習でも基本であり、無理なく練習を続けるためには休むことに罪悪感や恐怖感を抱かないように考え方を見直すようにしましょう。
他人と比べるのではなく過去の自分と比べる
集団で練習をしたり、チームスポーツの場合だと、他人と比較して自分はうまい(or下手)と感じて一喜一憂することもあろうかと思います。
しかし、メンタルを鍛える上では、他人と比較するのではなく過去の自分と比較することが重要です。
他人と比較する目標(「○○さんより早く走れるようになる」)の場合、自分がいくら頑張っても相手がそれ以上に練習をしていればいつまで経っても目標は達成されず挫折してしまうリスクがあります。
逆に相手がたまたま不調だったために運良く勝ってしまった場合は、自分の実力を過剰に評価してしまい、油断や気の緩みを生んでしまうリスクもあります。
そうならないためにも、あくまでも比べるのは過去の自分自身に限定。
過去の自分と比較して、新しいテクニックを身につけているか、筋力や持久力がアップしているか、自己ベストが出せるようになっているか、などの目標を立ててこなしていくことで、着実に自信が付きメンタルが鍛えられていきます。
「苦しいことに耐える=メンタルが強くなる」とは限らない
よく体育会系の人や体育会系の文化に染まっている人にありがちなのが、しんどい時こそ歯を食いしばって頑張ることこそがメンタルを鍛えるのに効果的という考え。
この考え方通りにしんどくても練習をすることが、メンタルを鍛えるのに効果的…というわけではありません。
もちろん、苦しい時に精一杯頑張ることは素晴らしいことですが、一方で苦しくても我慢して頑張ることを繰り返していると、燃え尽き症候群や無気力症候群になってしまい、スポーツをするやる気が失われてしまうことがあります。
苦しい時でも頑張るという考え方で練習に取り組むと、いつしか「メンタルを鍛えるために練習をしている」という目的から、「厳しいことに耐えるために練習をしている」と目的がすり替わってしまい、当初の目的から逸れた練習に陥ってしまいます。
また、人間は自分にとって苦しい記憶や厳しい思い出は決して無駄ではなく意味があったのだと、自分で自分を納得させることで、過去の辛い記憶をすこしでも和らげようとする心理が働いてしまうものです。
部活で体罰や理不尽なシゴキを受けた人が、「あの体罰には愛があった」「愛のムチだから体罰ではない」「先輩は後輩と鍛えるためにあえて厳しく指導をした」と口々にいうのは、自分が受けた理不尽が、ただの理不尽であると認めると過去の自分や今の自分までも否定されてしまいます。
そんな自体を避けるために、意図的に自分の認識を歪めたり、「愛があった」などの綺麗な言葉で過去を美化する、意味があったと思い込むことで必死に納得しようとしているのです。
メンタルを鍛えるには、筋トレやマラソンなどの自分だけで完結するスポーツがオススメ
メンタルを鍛える上で重要なスポーツ選びは、自分だけの記録が残る個人スポーツがおすすめです。
ランニング・ジョギング・マラソンのように、走った距離、走った時間、自己ベストなどの今の自分の実力が数字で客観的に把握できるものだと、自分の頑張りが数字に反映されやすく、モチベーションを維持するのにも役立ちます。
また、筋トレもマラソン同様に、自分がどれだけのウェイトを持ち上げたかが数字(ウェイト)ではっきりわかるのでおすすめ。
筋トレだとランニングと異なり、屋内でもできるので、寒くて外に出るのが面倒な日や暑くて熱中症になってしまいそうな人でもトレーニングできるというメリットもあります。
また、ランニングや筋トレはあらゆるスポーツをする上での基礎体力、筋力を付けるために行われているスポーツなので、ランニングや筋トレをしっかりしておけば他のスポーツをする時にも効果的です。
スポーツでメンタルを鍛えるのにおすすめの本・書籍
わかる! 使える! スポーツメンタルバイブル (GAKKEN SPORTS BOOKS)
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