「休むのも練習のうち」部活の休養日がフィジカル面でもメンタル面でも大切な理由

この記事が気に入ったらシェア

スポンサーリンク

部活動の練習は毎日やるもの、練習は毎日やらないと効果がでないと言われて、肘や関節を痛めたり腱鞘炎になって痛みを抱えながら練習をする体育会系の学生は後を耐えません。

部活によっては練習を1日休んだら取り戻すのに3日かかるという誤った練習方法を鵜呑みに、毎日練習に打ち込むことこそが正しい練習方法だと考えているケースもあります。

しっかりと練習の質を高めて、心身の疲れを取り除くためには適度な休養日を挟むことが重要です。タイトルにもあるように「休むのも練習のうち」と考えて練習計画を立てて行くことが大事です。

もちろん、毎日かかさず練習をしようとする意気込みや熱意は素晴らしいのですが、その結果として練習の質を落とす、怪我や故障で長期間練習をストップしてしまうの状態になるのは考えものです。

とくに中学生のように体が子供から大人へと大きく変化している成長期の場合、過度なトレーニングは正常な発育を妨げ、部活を辞めたあとも後遺症が残ることもあります。

今回は、「休むのも練習のうち」という練習方法についてお話いたします。

部活の休養日はスポーツ庁によりガイドライン化が進行

学校の部活動の休養日に関して、2018年1月にスポーツ庁がガイドラインの骨組みを作成したことが発表されました。

その内容によれば、

  • 学期中の休養日は週2日とする
  • 休みは平日で1日、土日で1日とする。
  • 1日あたりの練習時間は平日で長くても2時間程度、休業日は長くても3時間程度とする。
  • 練習は出来るだけ短時間で且つ、合理的、効果的に行うことようにする。
  • 対象は中学の部活。ただし高校の部活も適用の範囲にすることを計画している。

ということがまとめられています。

また、休養日を設けた背景には、教員の多忙化の予防、発育途上にある生徒の体や学業への負担を減らるなどがあります。

部活によっては平日は朝練と放課後の本練習の2部練。土日・休日は朝から夕方まで弁当持ちで一日中練習、または遠征や練習試合、公式の大会で丸一日拘束されることもあり、学生も教員も休む暇がなく疲弊する「ブラック部活動」が問題となっています。

また、吹奏楽部や合唱部などの文化系の部活動でも長時間に渡る練習が問題として取り上げらたこともあり、全ての体育会系、文化系関係なく部活動に対する休養の重要性が求めらる時代と見ることができます。

しかし、全国を目指していたり、部活で進学を考えている人が多い場合、「休養をすること=全国出場が遠のく、将来の夢が閉ざされる」となり、休養そのものをタブー視し、強迫観念に襲われ練習にのめり込んでしまうケースもあります。

また、休めなくなる背景には

  • みんなが全国目指して真面目に頑張っているのに自分だけ休むのは抜けがけするみたいで出来ない」
  • 休むことは大事だと分かっていても、みんな頑張ってる中、一人休んでゆっくりするのは罪悪感を覚える。
  • 休んでしまったら、先輩やコーチ、監督に怒られるから休めない
  • 休むと応援している人を裏切るように感じるので休めない

というまじめな性格であったり「みんな練習をしているから…」という集団心理、自分の部活内での評価や周囲の反応を気にするために、休めなくなるということも考えられます。

スポンサーリンク

フィジカル面で休むことが大切な理由

「超回復」で筋肉を成長させるためには適宜な休養は必須

例えばフィジカルを鍛えるために行う筋トレ(ウェイトトレーニングも含む)では、ただトレーニングで筋肉に刺激を与えることだけでなく、その後に休養を取り筋肉を回復させる時間を練習に組み込むことが重要とされています。

休養時間は年齢、運動歴、鍛える筋肉、トレーニング内容により異なりますが、目安としては48~72時間とされています。

そして、適度な休養を取ることで、トレーニング前よりも高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

このことは、スポーツ科学では「超回復」と呼ばれており、合理的な練習をする上では欠かせない基本的な考え方となっています。

また、激しいトレーニングの後に、適度に休養を取らずまた同じトレーニングを行ってしまうと、筋肉は十分に回復できずパフォーマンスが下がってしまうこともわかっています。

毎日激しい練習を繰り返していると、厳しい練習を乗り越えているという満足感や達成感とは裏腹に、超回復は起きず体は疲弊し続け、練習前よりもパフォーマンスが落ちているという本末転倒な状態になってしまうのです。

オーバートレーニングの予防

練習で生じた疲労が十分に回復されないまま積み重ねられてしまい、慢性的に疲れている状態を「オーバートレーニング(あるいはオーバートレーニング症候群)」と呼びます。

オーバートレーニングは軽度の場合、

  • なんとなく練習にやる気が出ない
  • トレーニングの強度を上げるとついていけなくなる

といった症状が出ます。

しかし適度に休養取らず重度のオーバートレーニングになると

  • 免疫低下により風邪や病気にかかりやすくなる。
  • 筋肉痛や慢性的な疲労が続く
  • 貧血
  • 体重の減少
  • 軽いトレーニングができなくなり練習に参加できなくなる

などの症状が出ることがあります。

オーバートレーニングは重度になると、しっかり体力が回復まで練習は控えなくてはならず、症状が軽いうちに早期発見と処置をすることが大事です。

オーバートレーニングは簡単に言うと練習のしすぎで体に悪影響が出てきた状態なので、適度に休養を取ることが何よりの対処法です。

スポンサーリンク

スポーツ障害・怪我・故障の予防

練習のしすぎで、肘や膝などの体の一部分を使いすぎたことにより痛みが出ることがあります。

例えば野球の場合、「野球肘」と呼ばれるボールの投げすぎにより肘に慢性的な痛みが出るスポーツ障害があります。

野球肘になるとボールを投げるときに痛みが生じるだけでなく、場合によっては手術が必要になることもあります。

当然ですが、手術となると長期間に渡って練習から離れなければならず、術後もリハビリや経過を見ながら練習内容を調整していくことが必要になります。

野球肘の他にも、ジャンパー膝、陸上部に多い脛が痛むシンスプリントなどのスポーツ障害は、体の一部をつかいすぎて起きる怪我であり、適宜休養日をいれて練習で使った筋肉を休ませることが予防には効果的です。

その他にも、肉離れやアキレス腱断裂などの突発的な怪我も練習過多の状態により引き起こされるとがあり、それらの予防のために休養は重要なのです。

メンタル面で休むことが大切な理由

チームの雰囲気をよくするためにも休養は大事

部活の雰囲気をよくするためには、レクリエーションをしたり、先輩後輩の垣根なく話せる空気をつくることも大事ですが、それよりもまず、部員全員が「この部活は休めない」「休んだら抜けがけしたと言われていじめられるかもしれない」という緊張した空気感をなくすことが大事です。

とくに練習時間が長く、休みも少ない部活であるほど、「辛い練習をみんな頑張って乗り切った」という一体感が生まれる一方で、「厳しい練習に耐えられない人は甘えている」「自分は頑張っているのにあいつだけ休むのは許せない」という集団心理が働きやすくなります。

真面目で努力家というキャラで部活に励んでいる人でも、内心はちょっとサボってみたい、少し休みたいという気持ちを出せば、自分のキャラが壊れ部活での立ち位置が危ぶまれることを恐れます。

しかし、そんな人の前に休む人が現れると「(私は我慢しているのに)」休むのは許せない」と相手を否定して、自分に取って都合の悪い部分(この場合は休みたいという気持ち)を認めず、誰かに都合の悪い部分を擦り付けて、自分のメンタルを守ろうとする防衛機制の「投影」が発生することがあります。

「休んではいけない」という方針で練習を行うと、無意識のうちに「本当は休みたい」という気持ちを抑圧してしまう。そして、誰かが休んだり、サボったりしたときにその人を否定して、「あいつは休んだけど自分は休みたいと思ってない」「休むやつに問題がある」と考えがエスカレートしてしまい、チームの雰囲気を悪化させる原因となります。

スポンサーリンク

スランプ、燃え尽き症候群の予防

休養を取ることは、今までと違い体の調子がおかしくスランプや、試合や部活そのものに対してやる気を失ってしまう燃え尽き症候群の予防にも効果的です。

先ほど説明したオーバートレーニングの症状

  • 不眠、眠りの質が浅くなる
  • イライラする、情緒不安定になる
  • モチベーションの低下
  • 食欲不振

などのメンタル面に関する症状が出てくることもあります。

普段から運動を体を鍛えているからフィジカル面ではオーバートレーニングの自覚症状が出ていなくても、メンタル面で不調を訴え練習や日常生活に支障が出てしまうことがあるのです。

また、体育会系の場合はどうしてもメンタルが強い、精神的にタフであるイメージが強いために、精神的な不調を感じても周囲に相談できず、不調を悪化させてしまうケースがあります。

「運動しているんだからメンタルは強い」という思い込みが強いと、自分がメンタル面で不調に陥ったときに、自分はメンタルが弱い人だと自覚して自分で自分を追い詰める一因となります。

集中力を上げるために休養は重要

毎日ハードな練習をする場合、メンタル面の疲労も溜まりやすく集中力が下がってしまうことがあります。

同じような練習を毎日続けていると、練習内容にメリハリがないことから流れ作業のように練習を行う、なるべく疲れないように手を抜いてしまう原因となります。

また、集中力の低下は練習の質を下げるだけでなく、ケアレスミスや不注意による怪我を招く原因となるので、合理的な練習を行うためには避けなければいけません。

適度に休養日を組み込むことはメンタル面の疲労を取り除き、練習のスケジュールにメリハリをつけてモチベーションや集中力を高めるのに効果的です。

適度に休んで気分転換ができれば、次の練習へのやる気も湧きやすくなり、トータルで見れば練習時間は以前より短くなっても練習の効率は以前より格段に上がり、質の高い練習が可能になるのです。

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

広告掲載、記事執筆のご依頼などはこちらから。