大学進学や社会人生活で一人暮らしを始めると、つい気が緩んで自分の部屋を掃除しないまま過ごしてしまう…なんて経験をしたことはありませんでしょうか。
服や食器なども使ったら使いっぱなしで元に戻さないまま。気が付けばお客さんや友達、家族すら呼べない「汚部屋」になっていたなんて経験をした人は思いのほか少なくありません。
部屋が汚くなる原因は男性女性関係なく、完璧主義やめんどくさがりなどの性格によるものや、ADHD(注意欠陥多動性障害)に代表される発達障害が原因になっているものあります。
また部屋が汚いことで仕事に必要なものを無くしてしまったり、不衛生な部屋で暮すことによる健康被害、悪臭やゴミ、カビなどの問題も発生します。
そして汚い部屋に住み続けるのはそれだけでも荒んだ気持ちになりやすく、精神衛生の面でもあまり良いものではありません。
今回は「片付けられない人」に関してお話させて頂きたいと思います。
部屋が片付けられない人の心理的な原因
ものを捨てることができない性格
便利グッズや趣味用に買ったものなど、新しいものを見るとつい欲しくなって衝動的に買ってしまうものの、ほとぼりが冷めると使わずに貯めておく癖がついているので、部屋が片付けられなくなるという人がいます。
「衝動的に買う→貯める」という癖がついているため、貯金は増えない一方で部屋のなかの物は増えていく一方でいくら収納スペースがあっても足りず、結局は散らかってしまいます。
また、このタイプの人は
- もったいない精神が強い。
- 「いつか使うかもしれない…」という不安がとくに強い。
- ものを捨てる事に抵抗がある。
という性格の持ち主でもあります。
いつか使うから…と思いつつも、もう何年も使っていない服や家具、いつか読むからと買って読まないままの本や漫画が貯まりに貯まっている人は、適度にものを捨てる・整理する習慣を身に付ける必要があります。
完璧主義である
片付けられないと言ってもその人の性格が必ずしもめんどくさがりや自堕落であるとは限りません。
むしろ、完璧主義であるがゆえに片付けられない場合や、片付けることはそれなりにできたり掃除道具はあるのでその気になれば掃除はできる、と自覚している人もいます。
しかし、掃除機や洗剤などの掃除に必要な道具はあっても、実際に片付けや掃除に動けないのは、「完璧に掃除をしなければいけない」という考えが強いからです。
ホコリ一つ無い部屋にしようと思えば、当然時間も手間もかかって疲れてしまいますし、1日でできるものではありません。
完璧に綺麗な部屋にできずに落ち込むぐらいなら、最初から部屋の掃除をしないままにしておいたほうがショックを受けなくて済む、という心理から片付けや掃除を後回しにするようになったり放棄してしまうというケースもあります。
なお、完璧主義なのに部屋が片付けられない人は、完璧を目指すあまり「最初から部屋にものを置かなければ片付けられないという問題は無くなる」と考えて断捨離に没頭してしまうケースもあります。
ものが溢れている状態からものが一つも無い状態という極端から極端へと環境を徹底的に変えたがるのも完璧主義の特徴の一種です。
優先順位をつけられない
仕事をテキパキこなすには優先順位をつけることが効果的ですが、これは部屋の片付けや掃除にも同様のことが言えます。
優先順位が付けられない人は、いざ部屋を片付けようと意気込んでも他のことが気になってしまって手が止まったり、片付け途中で発掘した思い出の品に心を奪われてしまう…なんてことが起きてしまう傾向があります。
その結果、片付けは中途半端に終わるだけでなく、片付ける前よりもさらに部屋が散らかってしまうということも起こります。
そうならないためにも「今やるべきは片付ける事、思い出の品に浸るのはそのあとで」というように、簡単でもいいので優先順位をつけて片付けに取り組むことが大切です。
心身ともに疲れているから掃除をする余裕がない
残業続きやハードな仕事のせいで部屋の片付けをする気力すら起きないので、部屋が散らかったままになっているというケースです。
仕事が忙しく家にいる時間が短いので「あまり使わない部屋だしそんなに綺麗にしなくてもいいか…」と、自分で理屈を考えて、あえて散らかったままにすることもあります。
「服装の心の乱れ」と学校で聞いたこともあろうかと思いますが、ストレスによって心が乱れることで部屋が散らかるだけでなく、部屋が散らかってもそれを気にしなくなってしまうという状態になります。
今まで綺麗好きだったのに、急に部屋が汚くなってしまった場合は、自分が思ってる以上に疲れが溜まっていることを疑ってみるようにしましょう。
部屋が片付けられない人に疑われる病気・症状
強迫神経症、溜め込み障害
ゴミ屋敷のように、ものを過度に溜め込む人は強迫神経症や溜め込み障害の可能性も考えられます。
また、溜め込み障害になる人は、もの以外にも猫や犬など動物であったり、パソコンなどのデータファイルなども溜め込むことがあります。
捨て猫や捨て犬を拾っては世話をして家が小さな動物園のようになっている事をニュースではほのぼのと伝えていますが、本人は溜め込んでしまう自分の性格に苦しんでいるというケースも考えられます。
ADHD(注意欠陥多動性障害)、発達障害
発達障害の一種であるADHD(注意欠陥多動性障害)の人は、
- 優先順位をつけるのが苦手。
- 一つのことに集中できず、すぐ目移りしてしまう。
- 衝動的に行動してしまう。
- 忘れものが多い。
などの特徴があります。
この特徴ゆえに「片付けられない」という問題だけでなく、人とうまくコミュニケーションを取ることができない、仕事や勉強に集中できず他の人の迷惑になるなどの問題も抱えることがあります。
また、一般的に発達障害といえば子供に多いと思われがちですが、発達障害そのものは脳機能障害や能力の過度な偏りであり、風邪やインフルエンザのように完治する病気とは異なります。そのため、発達障害の子供は大人になれば自然と治るということはありません。
しかし、適切な療育やトレーニングを受けることで、社会生活に馴染むためのスキルを身に付けることで上で述べた問題を回避することができるようになります。
買い物依存症
日々のストレスを買い物をすることで発散する癖がついており、純粋に物を手にいれる、部屋の中がもので満たされることでストレスを解消しようとします。
たくさんの物を買うので部屋の収納場所は減り続け、買ったまま一度の使っていない服やアクセサリーで部屋が埋まることもあります。
買い物依存性は女性に多く見られ、クレジットカードを限度額いっぱいまで使いすぎる、リボ払いなどの手数料の返済に追われる、借金を抱え込み破産に追い込まれることもあります。
汚部屋にならないためのコツ
完璧ではなくほどほどに綺麗することから始める
完璧主義のために部屋が汚くなってしまう場合は、なんでも完璧に掃除しようとするのではなく、ほどほどでもいいから綺麗にすることから始めてみるようにしましょう。
例えば掃除機をかけるにしても、「ホコリや髪の毛一つ残さないように掃除しなきゃ!」と意気込むのではなく「まずは目に見える大きなゴミだけでも掃除しよう」とハードルを下げたり、「色々掃除するべきところはあるけど、とりあえず今日は本棚だけでも片付けよう」と優先順位を決めて取り組むことで、片付けが失敗することへのプレッシャーを抑えることができます。
ハードルを低めに設定することでしっかり達成しやすくなり、その分自信や成長といった自己肯定感を高めるのに必要な経験を積むことができます。
また、全く部屋が掃除されていない状態よりも、ほどほどでもいいから掃除されている状態をキープし続けることで、精神的にも余裕を持つことができます。
友達やお客さんを部屋に招くようにする
自分の家に友達やお客さんを招く用事を作っておくことで、部屋を片付けるモチベーションを高めるという方法です。
部屋が汚くなるのは自分以外の誰かに見られることがないから、という安心感や油断の裏返しでもあります。誰かが来るとなれば流石に掃除して人に見せられるようにしておかなければなりません。
ただし、この方法は「あの人なら仲が良いから片付いていなくても平気のはず」と慣れてしまう可能性も高くなります。
汚部屋につながるストレスそのものを解決する
買い物依存性や日々の疲れから汚部屋になってしまう場合は、汚部屋につながる根本的なストレスを解消していく必要があります。
買い物をしたり、ものをため込むことがストレスが人間関係が原因なら付き合う人を変える、仕事が原因なら転職をしたり労働時間や条件を変えてみて、なるべくストレスが出ないような環境にしていくのが効果的です。
清掃専門の業者に頼む
会社だけでなく一般家庭向けの清掃サービス業者を利用するという方法です。
自分で掃除をしない分、当然費用はかかりますし知らない人を自分の家に上げることに抵抗を感じる人もいますが、手っ取り早く部屋を綺麗にするには有効な手段です。
自分一人では頑張れない、どうにもすることができないという場合は、専門業者の力を借りて自分一人で抱え込まないようにすることは部屋の掃除に限らず、仕事や勉強でストレスを抱えまないためにも大切なことです。