優しすぎる性格とHSP気質との関連性

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人の気持ちに寄り添うのが得意であったり、その場の空気を読んで空気を壊さないように鼓動するのができること。

すなわち「優しい」性格と繊細な気質であるHSP(ハイリーセンシティブパーソン)には関連性があります。

HSPは音や匂いなどのわかりやすい外界からの刺激のみならず、喜怒哀楽といった他人の感情や人間関係の雰囲気にも敏感に反応するために、つい自分のやりたいや意見を抑制してまで周囲に対して優しくしすぎてしまいます。

他人に対して優しくしているのだから、何が問題なのかという疑問を持たれる人もおられよううかと思いますが、その優しさに漬け込まれてHSPの人が都合よく利用されたり、HSPである当の本人が「正直言って人に優しくしてしまう自分が嫌になる…」と自己嫌悪の念を抱くなどの問題があります。

今回は、そんな優しすぎる性格とHSP気質との関連性についてお話しいたします。

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HSPは自他の境界線が薄く人の気持ちに寄り添いやすい

HSPとは、繊細で敏感な気質を持っている人のことを指す心理学の言葉であり、先天的な気質とされています。

そして、大きな特徴として挙げられるのが、自分と他人との精神的な境界線が薄く他人の感情に自分も大きく左右されやすい、という点です。

例えば、誰かがひどく悲しんでいる光景を見れば、自分もひどく悲しい気持ちになるように、他人の身に起きた不幸や不運な出来事に対して「自分とは別の人に起きた出来事である」で明確に線引きすることができずに、つい共感したり感情移入してしまうのです。

また、目の前に不機嫌そうな顔や態度をしている人がいれば「何とかして空気を読んで、トラブルが起きないようにしなければ!」と空気を敏感に感じとって、それにふさわしい行動を取ろうとします。

誰かの辛い気持ちに寄り添って深く共感するだけにとどまらず、その辛い気持ちを自分が解決するべきだ、という強い責任感や使命感を持っているのがHSPの人に見られる傾向です。

自分勝手でわがまま、優しさの欠片もない人間からすれば、HSPのように他の人への目配せを怠らず、いい雰囲気作りに貢献する「優しい」人はありがたいもののように感じることもあることでしょう。

しかし、繊細や敏感さが仇となり、優しすぎるが故に周囲に合わせすぎて本音が言えずに苦しんでしまったり、優しさが空回りして逆にトラブルを招くこともあります。

優しいといえば聞こえはいいですが、叱るべき時に叱ろうとせず、早めに対処して解決できたはずの問題を放置し続けるのは、事なかれ主義を助長していると見られても不思議ではありません。

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ただし、優しさが空回りになる場合もある

HSPの人は、言葉にしにくい人間関係の機微にも敏感であり、暗黙の了解や雰囲気を感じ取って自分の行動を臨機応変に変えようとします。

しかし、敏感過ぎるために相手の表情や態度から考えを先読みしすぎてしまい、空回りした優しさに陥ってしまうことがあります。

そもそもが「他人の感情」という非常に根拠が曖昧であり、且つ先読みの対象になる本人自身もひょっとしたら自覚していないかもしれないことを、敏感に察知してしまうので、HSPの人が行った優しさが不適当なものになることは無理もありません。

また、空気を読みすぎた結果、相手に何をして欲しいのかを聞かずに勢いで優しさに走ってしまったり、また感情や態度という断片的な情報を元に優しさに走ってしまっては、優しさが空回りになるのも無理はないでしょう。

「言葉にしにくい感情や機微について敏感である事」と「感じ取った事に従って行動すれば相手が喜ぶ」は常にイコールで成り立つものではありません。

例えば悲しんでいる人を見かけて「なんとかしなきゃ!」と思っても

  • とりあえず声をかけて慰めたら「そっとしておいて欲しい」と距離を置かれる。
  • 無難にそっとしておけば「薄情な人」と嫌味を言われる。

というように、相手がどうして欲しいのか聞くに聞きにくい場面で、断片的な情報のみで優しさを発揮しても空回りが起きてしてしまうことは否めないものです。

他人に優しくしすぎて自己犠牲に陥ることも

HSPの人の優しさは、時に自分を犠牲してまでも他人に対して尽くすというような行き過ぎた優しさを招くことがあります。

これは、HSP特有の繊細さにより、気にしなくてもいい些細な事で自尊心や自己愛を削がれ、その削がれた部分を補うためにも誰かに尽くしたり、社会に貢献しようとするのです。

他人に対して優しくすれば、その分自分の事を受け入れてくれて精神的にも満たされますし、場合によっては「あなたがいたから助かった」「あなたの優しさには感謝してもしきれません」と、自分を必要にしてくれる言葉をもらうこともあるでしょう。

しかし、一方で相手の言葉を良くも悪くも深読みしてしまい

  • 「優しさだけが自分の取り柄」(それ以外は自分らしくない)
  • 「相手の期待に添えるようにもっと頑張らないと」(今の自分のままでは相手を裏切ってしまう)
  • 「今度はもっと優しくしないと相手は喜んでくれないかもしれない」(もっと相手を喜ばせるために自分の本音を押さえ込むべき)

と、自分で自分を追い込む考えを招いてしまい、自分の時間や労力、場合によっては金銭などを払ってまでも他人に対して優しさを振りまいてしまうことがあります。

過度な優しさになるあまりに、相手を喜ばせるような理想の自分になるべく本当の自分を抑圧したり、相手が自分の優しさに甘えてつけあがらせることになっても、持ち前の優しさ故に断れずに増長させてしまう原因になります。

たしかに「優しい」という性格は、世間一般で見れば持っておくべき道徳的な規範ではありますが、優しさだけでなく厳しさも持ち合わせておかなければ、優しさに漬け込み入り浸ろうとする相手から自分を守れなくなります。

優しくしてもうまくいかない事で更に自分を追い込む

上でも触れているように、優しい行動をすればかならず相手が喜ぶ…というわけではありません。

人によっては他人の優しさを受け入れる余裕がない状況であったり「とにかく今は一人にしておいて欲しい」と感じている中で、使命感に駆られて他人からとやかく言われても、ありがた迷惑や善意の押し付けだと感じてしまうのは無理もありません。

そのことは人の不幸に強く共感し、それを解決すべきであるという使命感を持つHSPの人の優しさも同じです。

HSPの人は自分の優しさを拒まれた時に「目の前で困っている人を助けて上げられない自分はなんて無価値なんだ」と(ややヒロイックな)気持ちになることがあります。

物事に繊細な分「他人から拒絶された」という出来事も強く感じ取ってしまい、強い自己肯定感の低下に苦しめられます。

そして、下がった自己肯定感を戻すためにも、更に誰かに優しくして受け入れられ喜ばれる場面を求めて、優しさを空回りさせていくのです。

このような行動を冷静に見ていると「気にしすぎではないのか?」「考えすぎではないのか?」と疑問を抱くことでしょう。

しかし、渦中の本人は繊細であるがゆえに(傷つかなくてもいい事に首をはさんで)深く傷ついている状態であり、「気にしすぎ」という言葉は届きづらいように感じます。

他人に優しくしすぎることに依存しないように

優しくすることに対して夢中になるあまりに、やたらと他人を助ける行動や、助けられた人の存在に精神的に依存してしまうことがあります。

これは「メサイアコンプレックス」と呼ばれるもので、困っている他人を助けるという行動を通して、自分の感じていた空虚感を解消したり、承認欲求を満たそうとしています。

まるで絶望の淵に立たされた人々を救う救世主(”メシア”あるいは”メサイア”)になったかのように、人助けに邁進するのでメサイアコンプレックスと呼ばれています。

こうして書くと「正義の味方みたいに困っている人を助けることに何の問題があるの?」と素朴な疑問も持たれる方もおられようと思いますが、メサイアコンプレックスの優しさは

  • 優しさに応えてくれる人を精神的に束縛する。
  • 相手の要求を無視した独善的な優しさになりやすい。
  • 「困っている人がいなくなれば自分は無価値」と感じるために、中途半端な優しさで相手を生かさず殺さずの状態にする。

といった、問題を抱えています。

ぱっと見は優しく見えて非常に良いことをしているのに、どこが偽善っぽい胡散臭さや解決すべき問題が放置され続けていることに対する指摘の無さが目立つというギャップがあります。

「優しさは世間一般で持つべき道徳や素養の一種である」という価値観のせいか、その優しさ自信が本当に効果があるものなのか、ただの自己満足でしかないのかという疑問を持つことが、他人に優しくする人に求められるのだと感じます。

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