友達関係は、恋人関係と違って距離感の縮め方が難しいと感じる人が多いことでしょう。
恋人関係なら、とにかく距離を縮めることがメインなので分かりやすい。お互いに親密な間柄になることを望んでいるために、距離感を縮めやすいし、また縮めることそのものに違和感や疑問を感じることは少ない。
しかし、これが友達関係となると、恋人の時のように近づきすぎては相手に余計な誤解をさせてしまったり、妙に近づきすぎたことで「友達らしくないことをしてきた」として不快感を与えてしまう恐れがある。
かといって、あまりにもよそよそしい態度で接すれば「果たしてこの関係は友達と呼んでいいのだろうか?」と、今の関係の希薄さに疑問や不安を感じてしまうことでしょう。
今回はそんな友達との距離感がわからない、距離感をどうとったらいいのか悩んでいる…という人が知っておくと良いことについて、お話しいたします。
目次
距離感は縮めれば縮めるほど良いとは限らない
まず初めに覚えておきたいのが、距離感は縮めれば縮めるほど良いものである…とは限らないとことです。
一般的に、「距離感を縮める」と言えば、互いに仲良くなり打ち解けあうこと…つまりポジティブな事であり、積極的に推奨されるべきものだと考えている人が多いことでしょう。(ひょっとしたら「距離感を近づけることに違和感を覚えるなんて、ひねくれすぎている」と思う人もいるかもしれない)
また、書店に行けば初対面の人との打ち解け方や、気になる人と仲良くなるための会話術・コツ的な本が所狭しと並べられている。ウェブサイトやYouTubeなどでも「気になってる人と距離感を縮めるための○つの方法」などの、仲良くなるためのテクニックや会話術が大量に見つかるでしょう。
このような情報を多く見聞きしているうちに、いつしか「距離感を縮めることこそが正しいことである」「距離感は近づければ近づけるほど良いものである」と言う具合の人間関係における正解やお手本となる価値観が形成されてしまう。
そのせいで、仲良くなりたい相手との対話を無視して、一方的に迫るように距離感を縮めようとして相手に不快な思いをさせたり、相手から遠ざけられてしまうようなことになれば、自分も相手も辛い思いをしてしまいます。
この状態を防ぐためにも、「距離感は縮めれば縮めるだけ良いとは限らない」と言う考え方を身に付けることが欠かせません。
もしも近づきすぎてしんどい関係になったら距離を置くことも視野に
もしも、相手との距離感を近づけていく内に、なんとなく相手の触れて欲しくないところに自分が土足で踏み込んでいるように感じて申し訳の無さを感じたり、無理矢理自分の内面を相手に見せる事に対して負担を感じるようになった場合は、それ以上無理に距離感を縮めようとせず、心地よい関係になるまで適度に距離を置くことも大事です。
距離感を縮めれば、今まで知らなかったような相手の意外な一面を知ったり、自分の秘めていた一面を相手に知ってもらい「相手から認められ受け入れられた」と言う気持ちで嬉しさを感じることもあるでしょう。(=要するに承認欲求が満たされて、満足感が得られる)
しかし一方で、見なければよかった相手の暗い過去を知ってしまったり、「相手の好きなものが自分の嫌いなものだった」と趣味・嗜好・思想などの違いを知ってしまい、気まずさを覚えてしまう。
他にも、自分のプライベートを明かしていくうちに、自分1人で落ち着ける時間や場面がないように感じてしまう。いつも友達から見られているのではないか、友達関係そのものに束縛されているのではないか…と、距離感を近づけたことで窮屈さを覚えてしまうこともあります。
このようなしんどさを感じた時は、勇気を持って相手との付き合い方を変えてみる。つまり、お互いに心地よい関係になれるまで、距離感を調整してみることも大事です。
距離感を置くことは「友達から嫌われるor友達を裏切る」ことではなく、むしろ友達とよりよい関係を築くためにも大事なことだという認識を持つようにしましょう。(なお、近づきすぎたせいで友達から嫌われることもある。「距離感を近づける=絶対に良いとは限らない」の理屈の根拠はここ)
心地よい距離感には個人差があることを頭に入れておく
友達関係限ったことではありませんが、人間関係における心地よい距離感には個人差があることも、知識として知っておくと効果的です。
一口に友達関係といっても、かなりベタベタした関係でお互いがお互いに居心地の良さを感じている場合もあれば、非常に淡白であまり会話がなくともその関係に対して寂しさを感じないどころか、むしろ居心地の良さを感じている…と言う具合に個人差があります。
つまり、心地よい距離感のあり方は人によってそれぞれ異なる。「距離感はこうして近づければすればどんな相手でもOK」と呼べる万能のテクニックはない、と考えたほうがいいでしょう。
仲良くなりたい相手とのちょうどいい距離感を探るときには、「〇〇さん達みたいな関係になりたい」と自分たち以外の誰かの関係をお手本にすることよりも、自分と自分が仲良くなりたい人の双方が居心地の良さを感じられる、自分たち独自の距離感を探っていくことが大事です。
もちろん、他の人と比較して「私たちは自分たちはこんなにベタベタor淡白な関係でいいのだろうか?」と不安になることもあるかもしれません。
しかし、その不安に突き動かされて無理に距離感を変えてしまえば、居心地の良い関係が失われてしまう恐れがあります。
お互いの心地よい距離感を知るために、コミュニケーションはしっかり行う
お互いの心地よい距離感を知るためには、当然ながら積極的なコミュニケーションが欠かせません。
例えば、
- これぐらいの会う頻度や一緒にいる時間だと心地よい。
- お互いのプライベートは詮索しないようにする。
など、自分と相手がどこまでなら距離感を近づけてでも問題ないか、これ以上突っ込まれたくない話題や過去は何なのか、どれだけの頻度や時間であれば過ごしていても一緒に過ごしてても疲れを感じないのか…などを対話によって確かめ合う。
正直話し合うのどこか相手を拒絶しているように感じたり、相手から「わがままで扱いづらい人」だと思われる不安に襲われるかもしれませんが、それでもしっかり意見を言い合って心地よい関係を作り上げることが欠かせません。心地よい関係になるかどうかは、自分たちのコミュニケーションが決め手です。
もちろん、友達と仲良くなりたいと言う思いが強くなるあまり、友達と距離を置くような事柄や、相手とやんわりと否定してしまう事(例「恥ずかしいプライベートの話はNG」と言うことなど)に対して、抵抗感を覚えることがあるかもしれません。
しかし、距離を縮める事を優先するあまり、自分が触れられて嫌な話題に対して友達が触れることを容認してしまった。その結果、距離感こそ縮まったものの、会えば触れられたくない話題をいつも口にしてきて、我慢を強いられる友達関係になってしまうのは避けたいものでしょう。
仲良くなりたい相手に対して、否定的な意見を口にするのは難しいかもしれませんが、心地良い関係を作るためにはしっかりと自分の意見・希望・要望を主張していくことが欠かせません。
「友達だから言わなくても察して欲しい」ではなく「自分はこういう友達関係だと嬉しい」と言葉にして相手に伝え、対話を重ねることが大事です。
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