泣く場面で泣かない人は本当に「冷たい人」なのか

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感動する映画やドラマのシーンだったり、卒業式や結婚式など、感動して泣く人が出るのが当たり前の場面で泣かない人というのは、どうしても「心が冷たい人」だというイメージがついてしまうものです。

もちろん、幸福から泣く場面もあれば、お葬式のように悲しみにくれて泣く場面でも「泣かない=冷たい人」というイメージがあるものですが、本当に多くの人が泣くである場面で泣かない人が、全員心の冷たい人だと決め付けるのは、少々疑問を感じます。

今回は、そんな「泣かない人=冷たい人」というテーマについて、お話いたします。

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「泣くこと」だけが感情を訴える手段なのか?

一般的に涙を流したり、泣いてしまう場面というのは

  • 受験に合格した、就職で内定を取った、など辛い出来事を超えて嬉しい出来事がやってきた時。
  • 卒業などで今までお世話になった恩師や友人、仲間と別れを惜しむ場面。
  • 親しい人や飼っていたペットが死んだなど、死ぬ事と直面する場面。
  • 自然災害や犯罪に巻き込まれたときなど、強い恐怖を感じたとき。(※この記事の趣旨とは違う気もするが一応念のため。)

などが挙げられます。

これらの場面では、感情を突き動かされた結果、理性ではコントロールできなくなり、涙を流したり、泣き喚いたりすることで感情を発露します。

しかし、多くの人が感情を発露すると言っても、その発露の方法が涙を流すとか泣くことばかりでしょうか?

例えば、毎年3月になれば、大学受験の合格発表の様子がニュースなどで放送されますが、その映像に登場している合格者が全員涙を流しているわけではないことは、普通に生活をしていれば気づくはずです。

卒業式のニュースであっても、全員が全員泣いているわけではありません。むしろ全員が号泣しているのであれば、それはある種の異様な光景として映るかもしれません。

このように、強く感情が突き動かされる場面であっても、突き動かされた感情が「泣く」という行動として出る人もいれば、泣くこと以外のただ喜ぶ、ただ感慨に浸る、しみじみを別れを惜しむ…など、あらゆる行動になって出てくるものであり、どれも皆個性があるものです。

何らかの形で自分の感情を表現していたり、感情を突き動かされている様子を見る限りでは、およそ「冷たい人」だなんて決め付けることができないのは一目瞭然でしょう。

「泣くこと」が唯一の正解のように感じているのではないか?

泣かない人が冷たい人だと思われている背景には、「泣くべき場面は泣くことこそ正解である」と感じてしまっていることが影響していると考えられます。

これについては、心理学用語の処置流暢性という言葉を用いて説明していきます。

処理流暢性とは、情報を脳が処理しやすいか否かによって、その情報の認知が変わることを指し、情報が自分に流暢性が高ければ肯定的に捉え、低ければ否定的に判断してしまう認知メカニズムです。

わかりやすくいえば、自分にとってわかりやすい説明や情報に対しては肯定的に受け取ってしまう、一方で自分にとってわかりにくければ否定的に見てしまう…というです。

肯定的に受け取る過程では自分が知った情報を「真実性」があると認知する、つまり「わかりやすい情報=正しい情報」と認知してしまうのです。

しかし、この認知メカニズムは必ずしも正しさを保証するものではありません。正しい感じるのは錯覚や思い込みにすぎず、現実を正しく認知できていないこともあります。

例えば、「占い」はどれもシンプルでわかりやすく、つい「これこそ求めていた真実だ!」とか「私が探し求めていた正解だ」と判断しがちです。

しかし、占いはあくまでも未来予知や予言ではありませんし、真実味があるように見えても、本当にその通りになるかは疑わしいものなのは明らかでしょう。

ちなみに、わかりやすいと捉える対象は情報だけに限らず、他人の容姿や外見、行動など、人間そのものも対象となります。

「わかりやすさ=正しさ」の認知メカニズムが「泣かない人=冷たい人」と結びつける

話を戻して、「泣くべき場面は泣く」ということを一つの情報として見た場合、実にシンプルでわかりやすい情報です。

しかし、上でも述べたように泣くべき場面でも、「泣く」以外の行動で感情を表している人がいるように、論理的には正しくても実際に全員がその論理通りに動くわけではない…すなわち正しいものとは異なります。

ですが、処置流暢性でも触れたように「わかりやすさ=正しさ」と結びつけてしまう認知メカにずがあるため、「泣くべき場面で泣くこと=正解」と考えてしまい、泣く以外の行動をしている人を無意識のうちに不正解であると判断します。

そして同時に「泣かない人=冷たい人」という、自分にとって分かりやすく正解だと感じやすい別の考えを当てはめて、他人を判断してしまうのです。

なお、冷たい人をいうイメージを持ってしまえば、今度はその人が本当に冷たい人だと感じるような情報ばかりを粗探しがちです。

これは確証バイアスと呼ばれているもので、自分が確信した思い込みを強化させるような情報ばかりに注目し、思い込みをより詰めてしまう認知メカニズムです。

まとめ

泣かない人を取り巻く

  • 「泣く人=感情があって暖かい人」というわかりやすい考え
  • 「泣かない人=冷たい人」という分かりやすい考え

という、わかりやすさに基づいた考えを、人間は「正しい」ものと認知して結びつけてしまいます。

それと同時に、

  • 「泣く人がいつも感情があって暖かい人なわけではない」という複雑な考え
  • 「『泣かない人=冷たい人』ではない」というという複雑な考え

という、わかりやすくない考えを、人間は「正しくない」ものと認知して結びつけてしまうのが処置流暢性なのです。

純粋に考えれば複雑な情報よりもわかりやすい情報の方が腑に落ちやすいですし、それが真実のように感じてしまうことはよくあることでしょう。

しかし、「真実」と感じる過程には、「わかりやすい=正しい」と結びつけてしまうバイアスがかかってしまうことを知識として知っておけば、泣かない人は冷たい人だと決めつけてレッテルを貼ってしまうことを防げる、あるいは自分が泣かない側の人だと感じて自分を責めてしまうことを防げると感じます。

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