過激なyoutuberの動画が子供に与える心理的な影響

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子供に対してYouTubeの動画を見せている親御さんによくある悩みが「子供がYouTuber(ユーチューバー)の影響を受けて変なことを覚えたりしないか…」と言うものです。

一昔前の「過激なテレビ、漫画、ゲームの影響で子供が暴力や非行に走らないか…」と言う悩みのYouTube版と言っても良いでしょう。

YouTubeの動画は、テレビやゲームと違い、基本的に会社組織ではなく個人が動画の撮影・編集・アップまでを行っているしているために、公共の電波や市場には到底出せないような過激な内容の動画がアップされて話題になることがあります。

もちろん、その過激さはある種の魅力であるので、多くの子供たちの目を釘付けにしている側面もあります。

ですが、あまりにも過激すぎるために、子供が変なことを学習してしまい、トラブルを引き起こしてしまうのではないかと言う懸念を持つのごもっともでしょう。

今回は、心理学者のバンデューラのボボ実験を元に、過激なYoutuberの動画の悪影響についてお話しいたします。

Youtubeにおける過激な動画の例

YouTubeにおける過激な内容の動画の例を上げると

  • 殴る、蹴る、ものを壊す、などの暴力的なコンテンツ。
  • ドッキリ企画と称して、人を騙したり、嘘をつく、モノを盗む(もちろん後で返却される)、他人のお金を使い込む…などの動画。
  • 賭け事などのギャンブルに関する動画。
  • あえて炎上を起こすために、他人を挑発したり、侮辱するような動画。
  • 隠し撮り、撮影が禁止されている場所での収録といった、公序良俗に関する動画。
  • ナンパ、下ネタなどのいわゆる下品な動画。

これらの過激な動画は、ネット上では反響を呼び、多くのユーザによって拡散される傾向があります。

また、良くも悪くも再生数が稼ぎやすい内容だけあって、知名度や収益を求めているYouTuberが好んで投稿する動画とも言えます。

加えて、冒頭でも述べたように基本的に動画の撮影編集は個人で行われており、動画をアップする前の段階で前に第三者の目によるチェックがまず入らないため、過激な動画を過激なまま投稿できてしまうと言う仕組みも、過激な動画が野放しにされている原因と言えます。

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ボボ人形実験から見る暴力の学習

暴力などの過激な行為の学習は、実際に自分が暴力を振るわなくても、他者の行動や振る舞いを観察して学習することが明らかになっています。

このように、誰かの行動を見て学習することを「観察学習」と心理学では呼ばれています。

心理学者のアルバート・バンデューラは、ボボ人形実験という人形を使った実験を通して、観察学習のメカニズムを調べました。

ただ見るだけでも学習は行われる(観察学習)

ボボ人形実験は以下の手順で行われました。

  1. 4歳の子供たちを対象にし、2つのグループに分けた。
  2. 一方のグループ(「実験群」とする)には大人がボボ人形に対して暴力をふるっている映像を見せた。
  3. もう一方のグループ(「対象群」とする)には大人が普通に遊んでいる様子の映像を見せた。
  4. 実験の結果、実験群の方が対象郡と比較して人形に対して攻撃的に振る舞う様子が観察された。

このことから、子供は他者の行動や振る舞いを観察するだけでも暴力行為を学習する、すなわち観察学習を行うことが明らかとなりました。

動画内で褒められる姿を見るとより強く学習する

ボボ人形の発展形として、バンデューラは暴力行為の学習がどのようにして強化されるのかを調べる実験を行いました。実験の手順は以下の通り。

実験は2歳から5歳までの男女40人を対象にし、子供を3つのグループに分けて、それぞれ前回同様大人がボボ人形に暴力を振る映像を見せたあと

  1. 人形に対して暴力を振った大人が別の大人から褒められる様子を見せる
  2. 人形に対して暴力を振った大人が別の大人から叱られる様子を見せる
  3. 特に何も見せられる事なくそのまま終わらせる

その後、各グループがどのような行動を取るか調べました。

その結果、褒められた様子を見せられたグループは、叱られる様子を見せたグループと比較して、暴力を行う傾向が強く見られました。

直接自分が暴力をふるってなくても、誰かが暴力をふるい褒められている光景を見ることで「暴力=褒められること、良い評価を受けること」と学習してしまい、暴力に対する抵抗感が薄れてしまったと考えられます。

また、特に何も見せられる事はなかったグループも、叱られる様子を見せられたグループと比較して、暴力行為を行う傾向が強く、ただ動画を見るだけで学習してしまう観察学習が成立することを示しています。

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過激さを褒めるYoutuberとコメント欄

バンデューラの実験を踏まえて、過激なYouTuberの動画について説明していきます。

Youtuber同士で動画内で過激さを褒め合う

グループで活動していYouTuberの場合、過激な行動に対して「最高!」「面白いヤツだ」と賞賛する様子を見せる動画が多いものです。

もちろん、過激さを売りにしている場合は、動画内でまっとうな批判やお説教をしようものなら、セールスポイントを自らダメにしてしまうだけなのでいくら過激な内容であっても基本的には肯定的な態度をとります。

ファンを喜ばすためにも、再生数を稼ぐためにも過激な行動をほめることが重要という理屈で動いているのです。

もちろん、ソロで活躍しているYouTuberでも、ほかのYouTuberとのコラボとして過激な動画を投稿し、褒め合うなどのケースもあります。

コメント欄で過激さを褒め合う

また、褒められる様子は、動画内だけでなくコメント欄でも目撃することができます。

過激な内容を投稿している動画には、過激さを諫めたり、やり過ぎだと批判するコメントよりも、「さすが〇〇さんだ!」「もっと過激な動画を期待しています!」と言うような賞賛のコメントが多く見られます。

また、高評価ボタンがどれだけ押されているかで、どれだけ多くの人が過激な内容の動画を評価していているかも簡単に確認することができます。

また、コメント欄で過激な行動に対する真っ当な批判や指摘のコメントが出ていても「アンチは黙ってろ!」と、熱狂的なファンと思われる人からのコメントがつき、まともなコメントが見えにくいケースもあります。

過激な行動を売りにしているYouTuberだけあって、その視聴者も刺激に飢えており過激なものを見たいからこそYouTuberを絶賛する。そして、批判や指摘は許さず、肯定的なコメントばかりを持ち上げる傾向があります。

このように、過激な動画にはYouTubeはも、その動画を見ている視聴者も、過激な行動を褒めて承認する光景が広がっており、子供が過激な行為を学習してしまいやすい状況が整っていると考えることができます。

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過激なYoutubeから自分の子供を守るためにできること

YouTubeを含むインターネットの使用にフィルタリングをかけていても、友達からフィルタリングがかかっていない状況で動画を見せられてしまったら、過激な動画から過激な行為を学習してしまうので、フィルタリング機能は万能と言うわけではありません。

また、動画の内容が比較的穏やかであっても、コメント欄で過激なコメントを行い、それを賞賛するコメントが延々と繰り広げられていれば、コメント欄から過激な行動を学習してしまう懸念があります。

子供が過激な内容を含む動画や文章によって、公序良俗や社会規範に反する行為の学習に対して出来ることは、よくある意見になりますが親子間でコミュニケーションをとることが大事だと思います。

YouTubeから過激な行為を学習してしまったとしても、その後の子育てや声かけにより「過激な行動は他人に迷惑を与えるものだからやるべきではない」と言う当たり前のことを学習し直すことができます。

もちろん、子供によっては、あえて親に嘘をつくことで、過激な動画を隠れて見ているというケースもあるでしょう。

その場合は

  • 動画の視聴履歴を確認する
  • 親が見ていない場面ではYouTubeの視聴を禁止する

などの対策を講じることで、過激な動画から子供を守るように心がけましょう。

もちろん、このような事態はYouTubeに限らず、TwitterやLINEなどのサービスでも同じです。

アニメなどの画像をコピペしたり、絵文字を使えば、たとえ難しい漢字がわからなくても、なんとなく過激なことを言い合い褒めていると言う状況を理解してしまうため、動画じゃないといって安心できるわけではありません。

ネットのサービスに子育てを任せっきりにしないことが、ネットに溢れる様々なコンテンツから子供を守るためにも大事なのです。

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国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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