自己啓発や心理学に興味がある人の中には「コーチング」と名のつくビジネスやサービスを見聞きした人がおられるかもしれません。
一般的にコーチあるいはコーチングと聞くと、スポーツ選手を指導する人あるいは職業のことを想像する方が多いものであり、胡散臭い自己啓発セミナーとは別のものイメージされる方も多いかと思います。
しかし、コーチングビジネスについて調べていくと、自己啓発セミナーと同じよう仕組みがある…というか「自己啓発」というう看板を外して「コーチング」と名乗っているだけで怪しさが拭いされていないものも見つかります。
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コーチングビジネスに抱く違和感の例
コーチングビジネス主催者のプロフィールが怪しい
まず目に付くのが、コーチングを行っている主催者のプロフィールの気持ち悪さです。
「挫折→ある人物(本・セミナ・サービス)との出会い→復活」
という、スパム広告やどこからどう見ても怪しい「儲かりますよ」という情報を売っている方々(情報商材屋)のホームページで見たことがあるような、典型的な挫折からの復活劇なプロフィールなのが特徴的です。
具体的な例を挙げれば
- 学生時代にいじめられ、友達もできずに惨めな生活を送ったけど、○○さんの△△メソッドと出会って人生が変わりました。今ではたくさんの仲間に囲まれて、自分の好きなことを仕事にしています!
- かつては東証一部上場の企業で働いていましたが、過労から精神を病んで退職。一時は自己啓発にはまってウン万円の借金を作り、知人からも親からも見捨てられて人生のどん底を味わいましたが、その時に出会ったある本がきっかけで、コーチングを行うことを決意。
…など、ドラマティックすぎて胸焼けしそうな、壮大なプロフィールが目立ちます。
こうしたプロフィールは、コーチングのほかにも
- MLM・マルチ商法・ねずみ講の親玉
- 情報商材の販売者
- 自己啓発セミナーの運営者
- その他スパムでよく見かけるネットビジネス
など、悪徳商法・詐欺を行う方々がよく使う手法の一種です。
これは、
- 仕事、恋愛、学業などで挫折経験を味わい精神的に弱っている人。
- 貧困や孤立に追い込まれて余裕がない人。
- 情報に対するリテラシーが低い人(=情報弱者)。
を狙ったための商売上の戦略であり、「自分も一発逆転ができるかもしれない」という淡い期待を持たせるために、あえて挫折からの復活劇というストーリーをしつこく主張しているのです。
資格商法やマルチ商法で見かける仕組みシステムがある
例えばコーチングを受けた後に「○○式コーチングトレーナー」のような肩書きを名乗れる権利なるものを獲得し、その肩書きを元にして自分もコーチとなって活動をして金儲けをする…といった、資格商法やマルチ商法で見かける仕組みが、コーチングビジネスでも見られます。
ただし、そもそも名乗る肩書きの知名度が低い、他の仕事ではまず効果を発揮しうる材料にならない、などの疑問点・問題点があります。
また、肩書きを名乗ると同時に、自分が受けているコーチングへの勧誘活動を積極的に行うことがあります。
コーチングとは名ばかりで、実態は形を変えたねずみ講・マルチ商法と言ってもいいでしょう。
コーチングの内容の説明がぼんやりしており、どうとでも解釈できてしまう
ホームページやSNSに書かれているコーチングの内容を確認しても、
- 自分を取り戻せるようになる。
- 本質を捉えられるようになる。
- 自分自身をより成長させる。
- 一歩踏み出せるようになる。
など、具体的な内容がなく、掴みどころのないぼんやりとした説明が目立ちます。
ぼんやりとした内容になるのは、それだけコーチングに対する敷居を下げさせて、より多くの人がコーチングに参加しやすくなるように誘導させる思惑がある一方で、具体的な内容らしい内容への明言を避けることで、クレームや文句が来にくくさせる意図があるとも言えます。
ただし、ぼんやりとはしているものの耳触りは非常によく、あたかもこのコーチングを受けることは自分にメリットがあるように思えてくる文章であり、精神的に弱っている人には効果てきめんな文章である分、悪質さが際立ちます。
「好きを仕事に」などキラキラとしたキャッチコピーが目立つ
コーチングの内容がぼんやりしていることに加えて「好きを仕事にする!」など、やたら宣伝文句が過剰なキラキラとしてキャッチコピーが目立ちます。
こうしたキラキラとした言葉でコンサルティングやカウンセリング(ビジネス系、悩み相談系、スピリチュアル系)の起業の後押しをするも、実態は起業を後押しする人から搾取する悪質なビジネスを行っていた、いわゆる「キラキラ起業女子」に通ずるキャッチコピーを、コーチングビジネスにも見て取れます。
…余談ですが、キラキラ「起業」とはあるもの、実際は法人設立をサポートするのではなく、個人事業主、つまり自営業、フリーランスになる方法を教えるだけです。そのため、起業というよりは独立と説明したほうがふさわしいのですが、それすらしない不誠実さが怪しさにつながるのです。
そして、コンサルティングやカウンセリングを名乗っているものの、実態は軽く食事をするとか、お茶会するといった実態の無い商売であるため、悪徳商法・詐欺と見られれしまうのです。
「自己啓発」では売りづらくなったから「コーチング」に名称変更した仮説
冒頭でも触れましたが、こうした疑問が多いコーチングビジネスが目立つ背景には、これまで自己啓発に関わる商売で稼いできた方々が、世間一般から「自己啓発=胡散臭い、詐欺、悪徳商法」だと見なされていることを反映して、代わりに「コーチング」という名前を使用して商売をしているのではないかと感じます。
かつて某居酒屋チェーン店を展開する大企業が、ブラック企業として話題になって業績が危うくなった時に、店の名前(屋号)を変えて新規の居酒屋事業を展開する戦略によりイメージ悪化を払拭すると同時に業績回復を果たしたのと構図は同じです。
「自己啓発」を名乗ることが悪材料視されるようになったからこそ、代わりに「コーチング」を名乗って商売をしていると考えると、こうした怪しさも腑に落ちます。
こうした肩書き変更によりイメージをかえる戦略は、「コーチング」に対する風当たりが「己啓発」同様に悪くなった時にも起こるであろうことは容易に想像できるものだと思います。
(商売上の戦略とはいえ、これまでまっとうにコーチングをしていた人からすれば、コーチングに対するイメージを毀損する原因になりかねませんので、いい迷惑でしょうが…)
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