嫌なことから逃げるときに役立つ考え方

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夏休みが終わり一般的に2学期が始まる9月1日は、子供の自殺が一番多い日というデータがあります。

いじめられている子供や学校に行くことに過度なプレッシャー、ストレスを感じている子供にとっては、心が落ち着ける夏休みが終わることに世界の終末のような絶望を感じてしまい、そのことが自殺の引き金になっていると考えられています。

学校に行くのがつらい子供の場合「学校にいかないのは逃げている!甘えているだけだ!「嫌なことから逃げるとロクな人生を歩めない」という考えかたで自分を追い込む一方で、「本当は学校にいきたくない!」という気持ちもあり、精神的に追い詰められて疲弊してしまっている事があります。

不登校やフリースクールという言葉が広まって来たとはいえ、まだまだ一般的には学校に通うのが当たり前であり、学校に通わないのは悪である、逃げであるというネガティブなイメージを持っているのは、子供も大人も同じです。

しかし、学校に限らず受験や就職、キャリアアップなどの自分の人生で起こる事すべてから逃げずに立ち向かうことだけが正しいというわけではありません。

自分のキャパシティをオーバーする場面では適度に回避したり、周囲に協力を求めて突破していくことも、つらい時期を乗り切る、いわゆる世渡りに必要なスキルです。

今回は何かとネガティブイメージを持たれやすい「逃げること」について説明していきます。

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どうして「嫌なことから逃げる=悪」と考えてしまうのか

受験や就職のような自分の人生を大きく左右する状況に出くわした時、リスクをとってもっと上の大学(会社)へ行くことを良いことだと考えている人は多くいます。

逃げたくなるような状況でも立ち向かうことこそが正しい事であり、立ち向かえる根性がある、ストレス耐性があると評価されます。

厳しいストレスに耐えるのが何よりの価値と考えられている現代の日本では、逃げる事に対してはネガティブなイメージを持っている人は少なくありません。

また、逃げない事こそ仕事や人間関係で大切な「信用」の証拠として用いられる場面は多々あります。

とくに、信用が大きく関わる借金や融資、投資をする場面では、相手が逃げない人であることがまず第一に必要です。ここで逃げらてしまうと、多額の損失を抱える事になってしまいます。

しかし、自分の実力で狙える大学や会社よりもあえて下のレベルを目指す、そもそも進学も就職もしないという選択肢を取ったからと言って、その人は信用できない、ストレスに耐性がないと決め付けることは、もちろんできませんよね。

上のレベルを狙うのも、下のレベルを狙うのも、そもそも進学も就職もしないのも、どれも人生の中の一つの選択肢にすぎず、どの選択肢を選んだかでその人の人間の価値が全て決まるというわけではありません。

ただ、世間一般で一番いいとされている選択肢を歩まなかったからといって「お前は勝負から逃げた、腰抜けだ!」と相手を侮辱する考えが身につくと、今度は自分が逃げたと言われないために、失敗するのを恐れて消極的になってしまう、何も挑戦しないようになることあります。

相手を非難しているように見える言葉で、自分の行動や考えかたを縛り付けてしまい、自らが生んだストレスで苦しんでいるという状態です。

「逃げる=悪」ではなく、選択肢の一つと考える。

「あいつは逃げた」と言われたり、逃げたと後ろ指を指されるのを恐れている人は少なくありません。

しかし、受験でも仕事でも何事も全て逃げずに勝ち残れる人の数は多くありません。途中で挫折したり諦めたりする事は誰にでもあることですし、挫折を繰り返しつつも何度かトライすることで、結果として夢や目標が達成されるという事もあります。

完璧主義な人や失敗を許せない性格の人ですと、「どんな事に立ち向かうのが正しい事。一度でも逃げたらダメだ」と思い込んで逃げるべき時に逃げれず苦しんでしまうことがあります。

また、「逃げたらダメ」という考えが自分らしさ(アイデンティティ、自我同一性)になっているために、逃げる事で自我が崩壊してしまうことにもつながります。

逃げるべき時にしっかり逃げる事が出来るためには、自分が思い込んでいる「逃げること」について、いくつかの見方ができるようにしていくのが必要となります。

ゲーム攻略から逃げる事について考えてみる

例えば、対戦型のゲームを想像してください。

相手にダメージを与えるために自分の操作するキャラクターは攻撃を仕掛けますが、同時に攻撃ばかりを続けていると、敵に反撃されるスキが生まれてしまいます。

いくらこちらのキャラの体力(HP)に余裕があるからといって、敵の攻撃をいつまでもダメージを受け続けてしまえばゲームオーバーになってしまいます。

また、敵にも種類がありガンガン攻撃してくるタイプや、こちらの攻撃に合わせ技を変えてくるタイプ、防御に徹したり、敵同士で協力しあうタイプなど多種多様です。

敵が多様な攻撃をとっているのにもかかわらず、こちらが力でゴリ押しするばかりでは当然上手く行かない場面も出てきます。

ただ力でゴリ押しする攻撃ばかりではなく、相手の攻撃後のスキを狙って攻略したり、遠距離から不意打ちで攻撃したり、あえて戦わずにスルーすることできると攻略が容易になる事があります。

相手によってこちらも戦術を変える。これは人生でも同じです。

ただ逃げずに立ち向かうだけの戦術ではなく、逃げる戦術を使って生き延びる、攻撃するチャンスを作るというように、逃げるべき状況でしっかり逃げげる選択肢を取ることで、そのあとの自分の行動を有利に進める事ができます。

精神的につらい状況や、迫り来るストレスでゲームオーバーになりそうなときは、一旦引いて体力が回復するのを待つ。

待っている間にカウンセラーやお医者さんのような協力できる人を探したり、問題解決につながる勉強をして備えておく事で、目の前のストレスに対して上手く対処できるようになります。

「逃げること」に対して様々な視点を持とう

嫌なこと、恐怖から逃げようと思うのは自然なこと

例えば目の前にスズメバチやヒグマが現れたら、身を守るためにその場から逃げようと思うのは自然な事です。

怪我をするような恐怖が目の前ある、生命の危機を感じるという状況で、なんとか生き残るために逃げるのは、大事な行動です。

獰猛な猛獣を目の前にして下手に立ち向かい、死んでしまっては元も子もありません。目の前にある恐怖に対して、どっしりと立ち向かうことだけが正しい生き方ではありません。

これは受験や就職も同様です。「逃げてはダメ立ち向かわなければ!」という考えで頭がいっぱいになり、不安やストレスで精神を病んで自殺を考えないためにも、まずは一旦身を守るために逃げる。

逃げたあとは、しっかり休息を取る、協力者を探して、再びトライすればOK、という視点を持つようにするのが、逃げるべき時に逃げれず苦しむ事を防ぐ方法です。

逃げることはストレスをコントロールするのに役に断つ

人間が抱え込めるストレスには限度があります。

いくらメンタルを鍛えており、筋肉を鍛えているから大丈夫だと自負していても、自分が耐え切れない以上のストレスが襲いかかってくれば、不眠や抑うつ状態のような体調に異変が出てしまう原因になります。

心身の健康を維持するためには全てのストレスに立ち向かうのではなく、逃げるべき所では逃げるようにする事が大切になります。

また、抱えこめるストレスの量には個人差があるという事も忘れてはいけません。

何かとストレスに強い人が評価されやすい現代社会では、ストレスに強い人に基準を合わせてしまい、自分のキャパシティ以上のストレスを抱え込み苦しむ人も多くいます。

ストレス耐性が強い自分以外の誰かの基準に合わせず、自分が耐え切れるストレスの基準を見つけて、適宜ストレスを分散したりストレスを回避して、つらくならないように心がけるようにしましょう。

いい子には「一度逃げてから頑張る」のも生き方の一つと教えよう

教育現場では辛い場面でも逃げない子はいい子、我慢強い子として褒められる場面が多くあります。

そういう子は先生の言うことをよく聞くので、大人からの評判もよく、社会に出ても支持や命令にしっかり従うので高評価を得やすくなります。

しかし、本人にとって指示に従うのは、怒られないため、人の期待に沿うため、人生から逃げたと思われたくないためだと感じていると、その考えに縛られ思考の柔軟性が奪われてしまいます。要は不器用な状態です。

不器用だと、ちょっとした困難やトラブルでポッキリ心が折れてしまいやすくなります。

「逃げる・逃げない」のような0か100かのような思考で何事も決めようとするのではなく、

  • 「ここはちょっと逃げて様子を見てみる」
  • 「一旦逃げて助けてもらえる人を探す」
  • 「ひとます逃げて、精神的に落ち着いたらまたトライしてみよう」
  • 「あるラインまでは逃げないけど、そのラインを超えたら潔く逃げよう」

というように、逃げるという選択肢に対して、具体的なオプションをつけて、柔軟な思考ができるように工夫することで、ストレスを抱え込み辛くなる事が防げます。

「逃げること=戦略的撤退」という見方をする

何かと逃げることはマイナスイメージで捉えらがちですが、逃げることを「戦略的撤退」と捉える事で、つらい場面を乗り切るという方法もあります。

戦略的撤退と言う事で、ただ無残に負けて渋々後退するのではなく

  • あくまでも体勢を立て直してもう一度挑戦するために撤退をする。
  • 次のチャンスを狙うために撤退をする。
  • 前進するための一時的な避難行動として撤退する。
  • これ以上損害(ダメージ)を受けないために撤退する。

という、前向きなイメージで逃げることは、上手く世の中を渡っていくのに有効な場面が多くあります。

先ほどのゲームの例でもそうですが、迫り来る敵(ストレスやトラブル)に対して、いつも逃げずに立ち向かうという戦術だけが通用するとは限りません。

状況に応じて柔軟に戦術を変えるのは、目標を達成するために欠かせないスキルと言ってもいいでしょう。

以前流行ったドラマではありませんが「逃げるは恥だが役に立つ」ということをしっかり覚えておくようにましょう。

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