何の脈絡もなくいきなり友達と縁を切ったり、SNSでつながっている友達を整理してリセットする草のことを、人間関係リセット癖「あるいは人間関係リセット症候群」と呼びます。
リセットされた人からすれば「どうして関係をいきなり解消したの?」と言う疑問がずっと残り続け、後味の悪い気持ちを引きずることになります。
リセットされた以上は連絡をとることそのものができなくなるので、「どうしてリセットしたのか?」という謎に対する答えを本人から聞けないのは言うまでもありません。
人間関係リセット癖を繰り返す人の理由や心理、背景について調べていけば、自分が抱いていた疑問やモヤモヤとした気持ちが少しでも解消されたりSNSの登場で変化しつつある人間関係に対する人々の考え方を知って、人間関係リセット癖をする人の気持ちがわかるようになるかもしれません。
今回は、人間関係をリセットしたくなる理由や心理についてお話しいたします。
友達関係をリセットしたくなる理由(自分に関すること)
この記事では、人間関係をリセットしたくなる理由を
- リセットしたくなる本人に関すること
- その人が所属している集団に関すること
の2つに分けて説明していきます。
集団内で孤独を感じるようになった
集団内に所属しているといっても、本当にその集団に入るだけで誰とも話すことがない、あるいはなんとなく周囲から浮いていると感じで孤独に苦しむことがあります。
例えば3人で集まって話をする場面でなったときに、自分1人が余って他の2人が楽しく話しているという状況は、外から見れば3人1組で中断になっているように見えて、内情は3人のうち2人が固まり1人は疎外感を味わっていると言う状況とも言えます。
ただ周囲に誰もいない場所で一人ぼっちになっているのとと比較して、集団内で自分だけ孤立していると言う状況に対して、私たち人間は強い孤独を感じるものです。
その孤独感を解消するために、あえて自分から人間関係をリセットして正真正銘の一人ぼっちになった方が、余計な気苦労をする必要がなくなるので比較的楽だと感じるのです。
自分の心を開きすぎるのに疲れた
お互いに仲が良くなり始めた関係であれば、隠し事をせずプライベートの話題をしたり、自分の昔話や過去の経歴などを相手に話してお互いにお互いのことを知りたいと思う事が出てくるでしょう。
しかし、自分のプライベートの情報出して、相手に対して心を開く事は必ずしも良いことばかりと言うわけではありません。
心を開き続けると言うのは言い換えれば、秘密やプライベートを持つことすら許されない窮屈さや、自分の恥ずかしいことですら話題のネタとして使い他の人に笑いものにされたりドン引きされてしまう、といった悪い面もあります。
また、どこまで自分の心を開けるかは個人差があります。自分のことを何でもオープンにできる人が自分を開けないとに対して「もっとオープンにすればいい」と迫るのは、嫌がっている相手に対して余計なプレッシャーをかけてプライベートに干渉してくること同じとも言えます。
人間は誰でも、言いたくないことや秘密にしておきたいことがあるものです。そのことができない人間関係は表面的には言いたい事は言い合えるわきあいあいとした人間関係にいますが、一方で言葉にしにくい窮屈さを抱えている人間関係とも言えます。
相手のことを知りすぎてうんざりする
仲良くなりお互いにお互いの人となりを知っていく中で、できれば知らなければよかったことや、知らない方が幸せだった…と言うなことが出てくるものです。
仲良くなる事は、自分にとって知りたいことばかりではなく、知らなければよかったことも知ってしまいうんざりしてしまうと言う2つの側面を持っています。
最初のうちは仲良くできそうだと思っていた人であっても、知らなければよかったことを知っていく中で次第に友達付き合いを続けるだけの自信がなくなり、ある日突然人間関係をリセットしてしまうのです。
期待に答えるのが苦しくなってリセット衝動に駆られる
人間関係を続けていく上では、相手の期待や要求に応えたり、その場の雰囲気を盛り上げるために自分から何かしらのサプライズを用意することが必要なることがあります。
誰かの誕生日、記念日などにその人をお祝いする事は、人間関係を円滑に進めていく上では大事なイベントの一つといえます。
実際にサプライズが成功して相手を喜べは、人間関係はより深まり居心地の良いものになるでしょう。
しかしその裏では、
- サプライズ用意しなければ人間関係から取り残されてしまうと言う不安。
- 今度同じような記念日があったときに、他の人にも同じようなサプライズを用意しなければ、「あの人はえこひいきをしている」と陰口を叩かれてしまうと言う懸念。
- サプライズするのが当たり前だと言う空気になってしまえば、その当たり前の空気を負担だと感じる。
というような、面倒くささもあります。
まるで年賀状を出すのを面倒だと言いながらダラダラと続けてしまうように、誰かの期待に応えること、そして期待に応えるのが当たり前になってしまうと楽しさよりもめんどくささが出てしまう、リセットして楽になりたいと言う衝動に駆られるのです。
精神的な余裕を持ちたいからリセットする
友達関係でよくあるのが、本当は不満やイライラを感じているのに、表面的には集団の空気を乱さないために明るく振る舞続けたせいでストレスを抱え込みすぎた結果、ある日突然衝動的にリセットしてしまうと言うケースです。
自分が感じている不満やイライラを友達にぶつけるわけにはいかないので、必死に見ないようにしたり抑圧して処理しようとすればするほど、今にも折れそうな心を抱えたまま過ごす羽目になります。
人間関係は、自分1人で完結するものでは無いので、ときには自分の本心を抑えて明るく振る舞うことも必要になってきますが、どこまで自分を抑えられるかの上限は人それぞれ異なっています。
普段から本心を抑えるのが苦手な人や、繊細で些細な敏感になる人(HSPなど)は、人知れずストレスを抱えリセットしたくなる衝動と闘いながら生きているのです。
友達関係をリセットしたくなる理由(所属する集団に関すること)
集団内での力関係の変化
人間関係が構築されている中で、キャラ付けなどを通して集団内で発言権のある人とそうでない人との差がつき力関係ができてしまうことがあります。
力関係のある人間関係は、上の立場であれば自分の好き勝手が許される一方で、下の立場であれば自分の好き勝手が認められず、パシリやいじられキャラのような嫌な役回りをしなければいけません。
また、一度固定されてしまった力関係は、なかなか覆すことができないものであり、立場が下の人が這い上がるよりも他の人間関係をリセットして、孤独になるかどこかよその人間関係に加わるかしなければ、いつまでも嫌な役を押し付けられる羽目になります。
馴れ合い化、駄サイクル化
趣味やスポーツなどの人間関係の場合、最初は意識を高く持って努力している人が多かったのに、途中で馴れ合ったり厳しいことを言うのを避けて傷の舐めあいをするような堕落した関係に陥ることがあります。
実際に努力していく中で、才能を持っている人とそうでない人との差ができてしまい、それに嫉妬を覚えた人が足を引っ張るための方法として、集団を馴れ合い化させてしまうということがあります。
また、お互いに褒めるばかりで厳しいことを言わないと言う、気持ちよさや手軽に承認欲求を満たすためだけの閉じた人間関係になる(駄サイクル)は妙な居心地のよさがある一方で、その雰囲気に従わない人、和を乱すに対する強い排他性・攻撃性を持っている窮屈な人間関係といえます。
金銭・恋愛・物の貸し借りに関するトラブル
人間関係はお互いの信用が肝心です。その信用崩してしまうトラブルとして代表的なのが
- 金銭トラブル
- 色恋沙汰
- 物の貸し借り
が挙げられます。
特に、これらのトラブルは今までの人間関係の雰囲気を悪化させてしまうだけでなく、その人の日ごろの考え方や価値観、育ちの善し悪しなどが色濃く反映され、知りたくないことを知ってしまったり、生理的に無理だと感じる原因ともなります。
ノリについて行けなくなった
人間関係を円滑に進めるためには、ある程度自分が所属している集団の雰囲気やノリに自分を合わせていく必要があります。
しかし、ノリに合わせる事は言い換えれば自分の純粋な気持ちを押し殺したり、ときには嫌な事でも断らずに引き受け集団のテンションを上げるために貢献する、と言う側面もあります。
また、最初のうちは比較的ついて生きるノリだったのに、時間が経つにつれてお互いの距離感がが付いたことで多少調子に乗っても問題視されなかったり、集団内でスクールカーストのような立場の差が出たことで今までとは違うノリが作られるということも起きます。
出会って間もない頃のノリと、何ヶ月かして気軽に話せるようになったときのノリがいつも同じと言う事はあまりないものです。
変化し続けるノリに対応できなくなってしまったとき、「もうこれ以上はノリについて行くのは無理」と感じて、今までの人間関係をリセットしてストレスから逃れようとするのです。
嫌なキャラ設定がついてしまった
楽しい雰囲気や話題を作る上では、自分自身が何らかの個性を発揮して場を盛り上げる…つまり、キャラを演じて受けを狙ったり、笑いを取りに行ったりする必要があります。
しかし、演じるキャラと言うのは自分で好き勝手に選べるわけではなく、キャラ被りを防ぐために誰かに自分のやりたいキャラを譲ったり、不人気のキャラ(いじられキャラ、ピエロ役など)を集団のノリに流され演じてしまうことがあります。
また、何かしらのキャラを演じる事は、所属する集団ための必須条件となることもあり「キャラがない人=集団内で認知されない、印象に残らない人」という評価を受けるために、必死に自分のキャラを演じようとすることもあります。
また、いじられキャラのように、自分の弱みをさらけ出したり、コンプレックスをネタにする事は誰でも平気でやれると言うものではありません。
演じ続けるうちに不快な気持ちが募ってしまう、精神的に我慢できなくなったところで人間関係をリセットし苦痛から逃れようとするのです。
人間関係をリセットするのは快感だけに癖になりやすい
人間関係をリセットする事は、言い換えれば今まで散々我慢してきたことから逃れ晴れて自由の身になる、という事でもあります。
リセットした瞬間に「もうこれ以上我慢をしなくても済むんだ!」と言う我慢したからこそ手に入る強い開放感があるために癖になりやすいのです。
また、SNSなどの気軽に友達を作れる環境と言うのも相まってか、気軽さゆえに友達をリセットすることに抵抗が薄れて、リセット癖をこじらせてしまう人もいるのだと思います。
今やスマホのタップ1つで、友達になる、解除することの両方ができてしまうため、人間関係をリセットすることに対して、インターネットが普及してなかった時代と比べて軽く考えている人が増えているように感じます。
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