スマホを持つのが当たり前になって久しいですが、スマホと言えばやはり高精細・高機能なカメラが魅力的で、友達と思い出を撮影し楽しむためには必須のアイテムとも言えます。
SNSと連動して、自分の生活模様をアップしたり、飲み会やパーティなどの楽しい様子をネットにアップして、その反応を他の友達に見せて楽しかった時間を共有したり、思い出に浸るのは、若い人だけでなく中高年の肩やご年配の方でも同じです。
しかし、写真を撮られることに関して、誰もが快く思っているとは限りません。
スマホで写真撮影をするのがあたり前になったことから、相手の気持ちを考えず自分勝手に撮影してしまうひとも少なくありません。
スマホであろうと一眼レフであろうと、許可を取らず勝手に撮影すれば相手に対して不快感を与えてしまうことになりますし、嫌がっているのに無理に撮影しようとするのは嫌がらせにほかなりません。
今や若者の間では10人のうち9人がスマホを持つ時代になっているからこそ、自分が勝手に写真を撮ろうとする迷惑な人になっていないか、振り返ってみることは大事だと思います。
今回は、そんな勝手に写真を撮ろうとする人の心理やその背景についてお話いたします。
10~20代のスマホ普及率は90%の時代に
スマホで写真を撮る人について語る前に、この数年でどれだけの人がスマホを持つようになったのかについて調べました。
2017年7月時点では、10代~20代でスマホを持っている人の割合は90%を超え、30代でもスマホを持っている人は88.5%に上るという統計が出ています。(※1)
2013年の7月時点では、スマホを所持している10代は67.3%、20代は66.2%、30代は54.7%、どの年代もここ数年にスマホを所持する人が増えてきていることがわかります。
また、スマホを所持する人が増えると同時に、スマホについているカメラを使って写真を楽しむ人も増えており、「インスタ映え」という言葉にあるように、写真を撮ることがコミュニケーションや遊びのひとつとして、とくに若い人の間では欠かせなくなっている用に感じます。
スマホだとアプリを仕様することで、撮影した写真を加工しておしゃれな写真にアレンジすることも簡単にできますし、顔を入れ替えるアプリなどのようにユニークな写真を撮影して仲間内でシェア(共有)して、アルバムを作るように楽しむのも、今や一般的となっています。
勝手に写真を撮ろうとする人の心理
ただなんとなく、みんなやっているから
若者の約90%ものがスマホを持つようになっている世の中だと、
- みんな撮っているから私も撮影する。
- 他の人に流されて、ただなんだとな撮影する
- 撮影しないと少数派になってしまうから撮影する
と、多数派に流されたり、「みんなやっているから」という漠然とした理由で、自分も写真を撮ってしまう人が出てくることも考えられます。
写真を撮っている人が増えると、集団心理が働くことで責任感や罪悪感が薄れ、本当は撮影していいのか判断が難しい場面でもノリで撮ってしまうということも起きてしまいます。
なお、集団心理については以前書いた「集団心理(群集心理)で起きる行動の特徴について」でも、詳しく解説していますので是非ご覧下さい。
悪気がなく好意や善意からつい撮ってしまう
相手に興味がある、好意があるからつい許可を撮らず写真を撮ってしまう場合もあります。
この場合は写真を撮ろうとする本人に悪気がないことが多いために、写真が嫌いな人にとっては困りものです。
- なにげない一面を写真に収めて後で楽しみたい
- 楽しい思い出のひと時を写真に残して幸せに浸りたい
- 記念日だから何としてでも写真に残したい
という、どれも悪気がなく好意や善意で写真を撮ろうとします。
しかし、相手の許可も聞かずに自分の都合で勝手に写真を撮ることは、写真を撮られる側から見れば自分の気持ちや意見を無視され、雑に扱われていると感じてしまうこともあります。
悪気がないからと言って、相手の気持ちを無視して何をしてもOKというわけではありませんよね。
悪気がないからといって、自分の行動で相手を不快にさせてしまったら反省することが大事ですし、「悪気がないから」「良かれと思って」を枕詞にして、自分の行動を正当化してもいい理由にはなりません。
珍しさから衝動的に撮影
スマホで勝手に写真を撮る人は、何も友達や恋人との楽しい時間ばかりを写真に残すわけではありません。
火事や犯罪、喧嘩や浮気現場のような非日常的な出来事、挙動が珍しい人(不審者も含む)や誰かが怒ったり泣いたりしている光景を目にして、珍しさからつい衝動的に写真を撮ってしまうことがあります
例えば火事が起きた時に消防に連絡するのではなく、まずスマホで写真や動画を撮影して、それをSNSにアップする人達がよくいます。
また、その人によりアップされた写真や動画をSNSやTVで見かけたことも、一度はあるかと思います。
火事という危険でひょっとしたら誰かが不幸な目に遭っているかもしれないという写真を撮るのが憚られる場面ですら、まるで祭りの見物をするかのごとく「普段見れないことが起きている」と感じて衝動的に写真を撮ってしまうのです。
友達や家族へシェアする目的で
写真を勝手に撮影する人は、その写真を自分一人で楽しまず友人や家族にシェア(共有)する目的で撮ろうとすることがあります。
友達に楽しんでいる様子を自慢したい、家族に対して仲の良さを見せつけるような写真を送りたい、という悪気のなさが原動力になっていることが多く、「まさか自分が相手を不快にするようなことをしている」という自覚がないので写真嫌いな人からすれば困りものです。
この状況は友達に「今日こんなことがあったよ」と口で言う代わりに、写真を使っているのと同じで、写真という言葉で伝わりにくい雰囲気や様子が伝わるというメリットがある一方で、写真嫌いの人にはとっては「なんでもない事ですら写真嫌いに撮られて辛い」と感じることがあります。
勝手に写真を撮ろうとする人への対処法
「写真はNG」と最初に言っておく
勝手に写真を撮ろうとしてきて困ってしまう人には、予め「写真はNG」ときっぱり言って、自分の気持ちを伝えておくのが大事です。
勝手に写真を撮る人でも、流石にきっぱりNGと言われれば、写真撮影を辞めざるを得ません。
また、NGと言ってもそれでも写真撮影を迫ってくる人の場合は、写真を撮りたいという自分の気持ちばかりでいっぱいになっていることも考えられますので、今後の付き合い方を考えるいい材料が手に入るかもしれません。
写真を撮るなら無断ではなく許可を取ってから撮るようにお願いする。
許可なく写真を撮ろうとする人に出会った場合、「いきなり撮られるのは嫌だから、許可を取ってから撮影するように」とお願いするのも対処法の一つです。
自分にとって恥ずかしい表情や、あまり写真に残したくない瞬間を勝手に撮られるのは、仮に相手の好意や善意からくるものであってもやはり辛く不快感を覚えるものです。
写真撮影という自分以外の他人を巻き込む事である以上、撮られる人の意見や考えを尊重できない人に対しては「許可を取ってから撮影するように」とこちらから交渉することは重要です。
無断で撮影するのは盗撮と同じだと説明する
相手の許可なく無断で写真を撮ることは、言い方を悪くすれば「盗撮」となんら変わりがありません。
猥褻な写真に限らず、なにげない普段の生活の写真や、個人情報が写っている写真などを無断で撮影したり、それをネット上にアップして炎上や犯罪につながることも否定できません。
写真撮影がなくても仲良くなれる人間関係を築く
今や飲み会・遊び・旅行・研修会などの各種イベントにおいて、写真を撮ってSNSやネットにアップする流れはもはや普通のことのようになっています。
そんな写真撮影とSNSへのアップがあたり前になっているからこそ、写真撮影がなくても楽しめる人間関係を築くことが、勝手に写真を撮る人に出会って苦しまないためには大事です。
- 写真を撮られるのが嫌だからと言って自分の事をないがしろにしない人
- 写真だけでなく、相手の気持ちや考え方を尊重できる人
- 写真意外にも楽しみ方やコミュニケーションができる人
のように、写真に頼らずとも仲良くなれる人間関係を自分で見つけて行くことは大事です。
写真撮影にはその人のマナーやメディアリテラシーが反映される
写真を勝手に撮ろうとする人とそうでない人を見ていると、育ちの良さメディアリテラシー、SNSでの炎上のリスクなどの知識をしっかり身に付けているかいなかが反映されるように感じます。
一昔前にアルバイト先のコンビニの冷凍庫にふざけて入って写真が拡散されたニュース(いわゆる「バイトテロ」)のように、写真を撮るという行動ひとつ見ても、その人のリスクに対する考え方や「自分以外の人がこの写真を見たらどう思うのか」という客観的な考え方ができるかどうかを調べることができます。
言い換えれば、写真撮影ひとつ見ても、その人の育ちの良さが反映されているように感じます。
なんでもかんでも勝手に写真に撮りたがる人の場合は、どうしても客観的な視点がなく自分の立場や状況で物事を考える癖が身についているように感じます。
自分は勝手に写真を撮られることをとくになんとも感じていないから、この人も同じ考え方に違いない、という思い込みから勝手に写真を撮る行為そのものに対して疑問や自省ができず、衝突を繰り返しているのではないかと分析しています。
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※1 統計は「2017年のスマホ普及率を男女・地域・年代別に大公開!(マーケティングリサーチキャンプ)」より。
「他人の目」が気になる人へ 自分らしくのびのび生きるヒント (光文社知恵の森文庫)