せっかく応援している人の期待に応えるために頑張っているのに、普段ならしないような些細なミスをしてしまう。
その事で「自分なんか最悪だ…」「自分で自分が嫌になる」と自己嫌悪をしてしまい、憂鬱な気分になってしまうことは誰にでもあります。
もちろん、「ダイエットしなければいけないのに今日もまた自堕落な生活をしてしまった」というように、誰かが見ていない状況で必死に努力しようとしても結局うまくいかずに途中でやめてしまい、自己嫌悪になったり憂鬱な気分になる事も珍しいことではありません。
何かに向かって頑張るときに、もしもうまくいかなかった状況で自己嫌悪に陥いると、目標や夢への道が閉ざされてしまう事に直結しやすいものです。
かと言って、自己嫌悪に陥らないように精神を張り詰めると余計なストレスを抱えてしまい、この方法でもうまくいかない事はよくあります。
自己嫌悪になることが誰にでもある以上、自己嫌悪に対してどうやって対処していけばいいかを学ぶ事はとても大切な事といえます。
今回は自己嫌悪への上手な対処法についてご説明していきます。
自己嫌悪に陥いる状況について
自己嫌悪に陥る状況は、「本当だったら自分はこんな風になっているだったはずなのに、現実はそうではなかった」という、自分が思い描く理想と現実に対して大きなギャップがある時が多いといえます。
例えば部活動の場合、
- 理想 「本当なら自分はレギュラーになってチームを優勝に導くために試合で活躍している」
- 現実 「実際はレギュラーにすらなれずベンチを温めてただ応援しているだけである」
仕事の場合なら
- 理想 「本当なら自分にしかできないようなクリエイティブで充実感を感じる仕事をこなして余暇も満喫している」
- 現実 「実際は誰にもでできるルーティンワークに昼も夜も関係なく勤しみ、余暇を満喫する余裕すらない」
というような状況だと、想像しやすいと思います。
「本当の自分ならもっとこうあるべきだ!」と高い理想を思い描いてればこそ「実際はそれほど大した事がない自分が今まさにここにいる事」を真正面から認めるのには、精神的な苦痛は避けられないものです。
奮起して努力できたり、開き直って事ありのままの自分を受け入れる事ができれば苦労はないのですが、自分に対する劣等感や不満をうまく処理できず「やっぱり自分はダメなんだ」と、どうしようもない自分を否定してネガティブな気分になってしまいます。
もちろん自己嫌悪に陥るだけで何も行動しなければ、知らない内に自分の理想が達成される…という事にならないのは誰にでもわかります。しかし、そんな事はわかっておち、行動しなければいけないのに行動できない状態こそ、自己嫌悪を長引かせる主たる原因といえます。
何かに向けて頑張る以上、常に自分の思い描いている通りのペースで目標が次々と達成されていくという事は起こりえません。
予想よりいいペースで進む時もあれば、悪いペースで進む時もある以上、ではもしも悪いペースで進み自己嫌悪に陥った場合の対処法を身に付ける事は、理想の人生を歩んでいくためにも身につけておいて損はないといえます。
自己嫌悪をうまく処理するコツ
理想や目標を「とりあえあず」下げてみる
本当はもっと上の目標を達成している、より高い理想の自分になりたいという気持ちばかりが積もってしまい、そことで自分のちっぽけさを感じやすくなっている場合は、「とりあえず」り目標や理想のレベルを下げてみるという方法です。
あくまでも高い理想や目標そのものを「やっぱりやめた!」と諦めるのではなく「とりあえず下げてみる」というのが基本です。
目安は頑張れば達成できそうなライン、他人や環境などの自分の外の影響を受けないラインに設定するといいでしょう。
高い目標になればなるほど、達成するのには時間がかかってしまうものであり、また自分一人では達成できなかったり、運が絡んでくる事があります。
例えば、野球部に所属していて甲子園に出場することを目標にしたとしても、いくら自分一人が頑張っても対戦チームが自分のチームよりも圧倒的に強ければ負けてしまう事はあります。
また、チームのメンバーが足りなければそもそも試合すらできず、甲子園に出場することもできなくなってしまいます。
自分一人でどうにもできない事で自己嫌悪を引っぱるのではなく、まずは自分一人で完結できること、例えば
- 時間を見つけて体幹筋を鍛えておく。
- 栄養を過不足なく取るようにする。
- 睡眠不足にならないようにする
というようなとりえあずできる目標をこなしていく事に集中して、自己嫌悪が長引かないようにしていくようにしましょう。
自己嫌悪や劣等感だけで頭がいっぱいになるのを防ぐ
自己嫌悪のドツボにはまっている時にあるのが、散々自分に対して馬鹿だのダメ人間だのと言い続けるだけで頭の中がいっぱいになってしまうということです。
自己嫌悪し続けるというのは一見すると苦しいように感じますが、実は案外精神的には楽な行為であり、ただ何も考えず自分で自分を否定している状態、いわば思考停止してしまっている状態とも言えます。
誰にだった失敗はあるものですし、失敗が起きてしまったのなら、「次はどうすれば同じ失敗を繰り返さずに済むか」について前向きな対策を立てて行くことが大事であるはず。
しかし、それをせずただ自分を否定し続けていては、次もまた同じような失敗を繰り返してしまい、その度に自己嫌悪に陥って何の進歩もありません。
また自己評価が低い人の場合、失敗そのものは嫌いだけど、無意識の内に失敗してしまったダメな自分を受け入れ「よかった、やっぱり自分はダメな人間だったんだ」と安心感を覚えることもあります。(=認知的整合性理論)
真面目系クズというネットスラングにもあるように、真面目であるように見えて実はクズな人も、真面目な自分よりも実はクズな自分の方が心地よいと感じているので、なかなかクズな自分から抜け出せていないということも考えられます。
精神的に落ち着くまで休憩を取る
スポーツのような勝負事だと自分の失敗は敵にとってのチャンスになり得る、という場面はよくあります。
ダブルスで調子の悪い方を集中的に攻撃したり、相手が疲れてきた場面を狙ってガンガン攻めたりするのは、戦術の一つとしてスポーツでよく使われてます。
もしも自分が一方的に攻撃される側だった場合、無理に頑張ろうとして焦りから練習で出来ていないことをそてしまっては、ますます相手に攻め入るスキを与えてしまうことになります。
大事なのは不利な状態だからこそまずは冷静になって、これ以上相手に更に攻撃のスキを与えないようにすることです。
自己嫌悪もこれと同じことが言えます。
ミスしてしまったときは、「しんどいけどなんとかして目標を達成せねば!」と焦ってしまうことで、更なるミスが起こりやすい状況とも言えます。
精神的に落ち着けない、パニックになってしまうのは自然なことですが、だからといって感情的にならず、ひとまず深呼吸する、ちょっと冷静になるまで休憩をとって問題なくパフォーマンスが発揮できるようにメンタルを整える事も、自己嫌悪を長引かせないために有効です。
失敗した原因を冷静に分析する
さきほど述べましたが、失敗したからといって散々落ち込むだけではまた同じ過ちを繰り返す原因になります。
ただ落ち込むだけではなく、自分に非があった、ミスがあったとという事を認めたら、その次に再発防止策を考える、ことまでを一連の流れとして普段から少しずつ取り入れるようにしましょう。
うまくいく時とそうでない時で波があると考える
人生山あり谷ありという言葉にもあるように、いつでも自分の思い描いている人生を満喫できるという事は非常に珍しいものです。
スポーツや仕事のように自分一人で完結できないものだと、それこそ他人の影響を受けて自分の予定通りにことが進まない方が多い、なんて事が当たり前のように感じる事もあります。
ちょっと失敗した、少しでもうまくいかないという一時の状況で感情的になってしまい、長期的な目線で自分の理想や目標がブレてしまってばかりでは、どんなに目標が達成しやすいものであってもうまくいく確率は下がるものです。
神経質な性格や完璧主義、二極思考のように極端な考え方で気分の浮き沈みが激しい人だと、うまくいかず自己嫌悪に陥りやすくなってしまいます。
「目標達成までの道のりはこの1ルートしかない!」と自分でハードルを上げないように、途中で寄り道したり多少の波はあるだろうけど、それも織り込んだ上で取り掛かるように心がけましょう。
調子がいい時はいつもより多めに頑張る。調子が悪い時はそれなりにほどほど頑張る。というように、予め調子が悪い時にどうするかルールをざっくりと決めておくのも効果的です。
自己嫌悪する事は悪いことばかりではない
自己嫌悪についての対処法を説明してきましたが、自己嫌悪に陥る人はそれだけ自分に対して期待をしている、向上心が高い人と評価することもできます。
心理学者のアドラーは劣等感を克服しようとする力が、行動力や成長へのエネルギー源になるとという説を展開しています。
現実にも太くてブサイクなのがコンプレックスだったから、ダイエットや筋トレをしたり、メイクを覚えたりして自分の見た目を変えたという人の話は、テレビや雑誌、ネットなどでもよく聞く話です。
自分に対する不満や今の自分を認めないという気持ちは、自己嫌悪を引き起こしてネガティブな気持ちになってしまう反面で、理想の自分に近づけるためのエネルギー源という諸刃の剣のようなものとも言えます。
よく、「何があってもポジティブでなければならない!」という考え方に目を奪われ、自己嫌悪そのものを悪と決め付け徹底的に見ないようにしてしまうという人を見かけます。
ポジティブシンキングこそ正しいと思っている人にとっては、不満や劣等感、コンプレックスなどのネガティブな感情はポジティブシンキングを脅かす驚異として捉えられてしまいがちです。
ネガティブだからといって目を背けるのではなく、まずは冷静になって客観的に自分の負の感情を観察してみる。その上で、努力するのには必要な材料(失敗を防ぐヒントなど)があれば、有効活用していくようにしていきましょう。