仕事でも部活動でも「リーダーシップを取れ!」「リーダーらしく後輩に指示を出しなさい」という内容の言葉を聞く場面は多々あると思います。
リーダーシップの有無が大きな価値になり、リーダーシップがあると仕事ができる、人望に恵まれる、上司やコーチから評価されるのはごくごく当然のことです。
しかし、誰もがみな集団を積極的に引っ張り、誰かを巻き込んで行動するのが得意な人ばかりではありません。
自分は表に出てみんなを引っ張るよりも、裏方で地味な作業をしている方が合っている誰かに指示を下すよりも誰かから指示を受けて行動する方が向いている、と感じている人もいるのが自然です。
しかし、リーダーシップがあることこそ重要であり、リーダーシップがないのだから出世できない評価されないのは自己責任だと考えている人も少なくなく、そのせいで、リーダーシップのない人が辛く苦しい思いをしていることがあります。
仕事やスポーツで上を目指すためにや積極的であるべき、リーダシップであるべきという最もな考え方は、ときにリーダが苦手な人を追い詰めてしまい、その人本来の魅力や持ち味を活かせないまま燻らせたり、中途半端なパフォーマンスで終わってしまうという結果を招きかねません。
今回はリーダーシップがない人の抱える悩みや、リーダに向かない人でも活躍できる方法、ためになるコツなどをお話いたします。
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リーダーシップがない人が抱える悩み
まず初めに、「リーダシップ」とは「リーダー」という言葉にあるとおり、組織を率いている能力のことであり、政治家や経営者のみならず、普通のサラリーマンや就活生、学校における部活動の場でも重要視されている能力の一つです。
組織を率いるためには、積極性、自主性、自分の頭で考えて行動する能力、周囲と打ち解け行動する能力と、なんだか暑苦しさや情熱的なもの、クリエイティブで自由な考えができるものと言ったことを想像することでしょう。
リーダーシップと言う言葉がよく使われるのは主に就職活動や仕事の場面であり、先行きの見えない世の中を切り開くリーダーシップが組織を率いる人だけでなく、率いられる人にも求められているようになっています。
要するに「組織に属する全員がリーダーシップたれ」という風潮があるのです
しかし、皆が皆リーダーシップであったりリーダーとしての適性があるといえばそうではありません。
就職活動や仕事で「全員がリーダーシップを持つべきだ!」と言われても、自分には向いていないとことで様々な悩みが生まれてしまいます。
積極性・自主性がないと言われる
仕事において自分から積極的に質問をしない指示待ち人間や、言われたことばかりやれるけどそれ以外は何もやらず暇そうにしていることがあります。
ちゃんとやるべき仕事をそつなくこなしていても、積極性・自主性がある人比較されて「あいつはやる気がない」「若いのに行動力がなくて残念だ」と言われることがあります。
普通に仕事をしているだけでも十分素晴らしいことなのに、どうしてもより頑張っている人ばかりが認められ、普通に頑張っている人なりに褒められる、という経験がないために自信やモチベーションを失ってしまうことがあります。
言われたことをやる方が得意なのに理解されない
仕事においても、自分から提案して積極的に行動するのが得意な人もいれば、言われたことをしっかりやり遂げるとが得意なタイプもいます。
しかし、リーダーシップや自主性がよいとされると、人から言われたことをやるのが得意な人は「行動力がなくリーダー向きではない」「自主性がない」「指示待ち人間」「受身の人間で成長が見込めない」と、負のレッテレをはられてしまうことがあります。
たとえ問題なく仕事できていたとしても、「自主性がない」という一点だけで不当な扱いをけたり、仕事のできない人というレッテルをはられてしまうこともあります。
リーダーシップを取って誰かを率いることばかりがよいという社風や人間関係においては、他人の指示をしっかり守れる人はいつまでたっても評価されず、そのため仕事のできない人、ダメな人という目で見られることもあります。
リーダーシップがあることが良いという価値観で苦しむ
一般的にはリーダーシップは良いものであり、社会人なら求められる能力の一種です。
仕事において「リーダーシップこそが大事である」と強く考えている人は、リーダーシップがない人に対して、
- リーダーシップがないから仕事ができないダメやつだ
- リーダーシップがないから評価が低いのは仕方ない
- リーダーシップがないから見下されるのは仕方ない
と、実に冷淡でリーダーシップのない人に対して排他的な考え方をしていることがあります。
リーダーシップがない人に冷たくしてもいいというリーダーの組織は、実にピリピリとした空気が流れ、そんな空気の中で仕事をしていればリーダーシップのない人の苦しみは大きくなります。
社会人としてやっていくならリーダーシップがあるべき、という考え方は、同時にリーダーシップがなかったりリーダーに不向きな人にとっては生きづらさを感じたり、仕事ができないというレッテルを貼られることに助長していると見ることができます。
リーダーシップをとるのが苦手な人に知ってもらいたいこと
リーダーシップだけが人間の魅力ではない
人間の価値や魅力は「リーダーシップ」の一点だけで決まるものではありません。
リーダーシップがなくとも、しっかりと上の指示に従って行動できる素直さや謙虚さ、言われたことを守る堅実さも魅力の一つです。
決してリーダーシップがないからといって、リーダーシップ以外の魅力がまったくもって価値が無いと早合点するのではなく、「リーダーシップが魅力の人もいる中けど、自分の魅力はこれだ!」と思えるものを見つけて大切にするように心がけましょう。
リーダーを支える存在も人も大切である
自分ひとりでは非力だけど、誰かの下で働いたりと協力することで活躍できる人もいます。
いわゆる「縁の下の力持ち」と呼ばれるタイプの人で、誰かのサポート役やマネージャー役の方が活躍できるというタイプです。
この人は、無理に自分からリーダーとなって指揮をとるのではなく、誰かの下で働くことで活躍するので、リーダーシップはなくともしっかり仕事をしているので過度に自己卑下をしたり、自信を失う必要はありません。
チームスポーツで自分の性格や特徴にあったポジションでプレーをするように、自分の適性にあった仕事をこなすことが重要です。自分の持ち味を活かせる働き方を見つけるようにしましょう。
集団を率いるだけがリーダーのあるべき姿ではない
人によってはリーダーシップがある人を権力がある人、影響力のある人と考えていることもあります。
理由は、周囲に命令して他人を自分の思いのままに動かす、人を思いのまま動かせるほどの競争を勝ち抜いて来た強者・勝者だと考えられることが、権力や影響力の象徴の根拠であると考えているからです。
しかし、人に命令するほどの権力がある、立場が上であることだけがリーダーのあり方であはありません。
自分から集団に奉仕するために目線を下げてよく相談するタイプのリーダーも立派なリーダーなのです。
一口にリーダーといっても、リーダーのイメージは実に多種多様です。人の上に立つ昔ながらのリーダー像もいれば、みんなの目線に立って行動するタイプのリーダーもいる。
そのことを知っておけば、これこそがリーダーのあるべき姿という価値観で疲弊せず、自分にあったリーダーとしての動き方をしたり、リーダーになる人をサポートするときに役立つことでしょう。
リーダーシップがある人になってもリーダーシップの無い人は尊重できるようになろう
「社員一人一人が経営者の視点を持つべきだ」「不景気な世の中だからこそリーダーシップをもって行動すべき」というような声は、今やどこでも聞くようになっています。
先行きが見えないからこそ終身雇用を期待して受身になってはいけない。自分から仕事を取りに行くべきだという仕事に対する心構えはごもっともだと思います。
しかし、リーダーシップに代表される自主性や行動力こそ正解であり、それ以外の働き方や心構えは劣っている、間違っている…と決め付けてはいけません。
リーダーシップがある人のなかには、リーダーシップがない人のことを各下に見て、傲慢な行動を取っていることもあります。
傲慢な行動を取ることがある種のリーダーらしい振る舞い、さきほど述べた権力を持った人がなせる行動であると考えていることも多く、そしてリーダーシップのない人はその自主性のなさや大人しさゆえに反論や反発ができず、ますます増長してしまうことがあります。
リーダーシップの有無に関わらず、相手を尊重したり、相手の目線に立って考えることが少しでもできるようになれば、その行動でリーダーシップのない人でも活躍し自分を相手も幸せになれる…という事を覚えておきましょう。
「リーダーシップがない人はダメだ」とざっくり切り捨てるのは簡単です。
しかし、だからと言って「お前もリーダーシップを付けるために努力しろ」とゲキを飛ばすコミュニケーションの方法だけでなく、それ以外に相手の目線や立場になって考える、自分から寄り添ってどうやったらリーダーシップがない人でもしっかり働けるか、という視点を持つことは、仕事だけでなく普段の生活でも役に立つ大切なスキルです。