漫画家やイラストレーターにように、夢のある仕事で世の中から注目浴びやすいクリエイター系の職業の人に、憧れや尊敬の念を抱くファンは多くいます。
しかし、SNS上で憧れの人をフォローしたものの、実はあまりいい性格ではないとわかったり、つぶやきや言動が自分の想像していたもの思っていたものと違っていたと感じて、「今まで応援していたのに裏切られた」「傷ついたので先生のファンをやめます!」と言葉を残して、勝手にファンをやめてしまう人を見かけます。
憧れの人というのは、「自分が憧れるだけの魅力が、普段からあるに違いない!」という心理が働きやすい人でもあり、とくに漫画家のようにストーリーを作る人は、その作風から漫画家の性格や人物を自分に都合よく想像してしまいやすい職業でもあります。
そんな思い込みを膨らませた結果、都合の良い想像とは当然異なっており、なんだか普通過ぎる、それほど普段のつぶやきや行動に魅力を感じず「裏切られた!」と、まるで犯罪の被害者のような振る舞いをして、アンチになってしまう人も少なくなりません。
なお、勝手に期待を寄せられていた本人から見れば「そんなこと言われても…」と思ったり、「勝手に変なイメージを持たないで欲しいな…」という気持ちになります。ファンサービスはたしかに商売をしていく上では大切ですが、身勝手な期待にすべて答えていては、体がもちません。
漫画家やイラストレーターに限らず、他人に自分勝手な理想像やイメージを抱いて、そのとおりにならず「今まで信じていたのに裏切らた!この心の傷をどうしてくれるんだ!」と感じたり訴えたりする人は、相手に対しての期待が大きすぎるので、自らストレスを生みだしているとも言えます。
今回は、相手に期待しすぎて苦しんでしまう性格と、その対処法についてまとめました。
なぜ他人に期待をしすぎてしまうのか
過去の失敗経験から期待を抱きすぎるようになっているケース
期待が強くなりがちな人は、過去に何か失敗をしてしまい、その失敗を繰り返さないための行動を考えて実践しても、なぜかうまくいかずに傷ついたと感じるケースがあります。
例えば、過去に自分の友人の体型や容姿を茶化すような発言から、友達に嫌われたという経験をしたとします。
その経験から、「あいつの前では体型や容姿の事は茶化さないようにすればうまくいくはずだ」と学習し、それを実践にします。
しかし、実際にその通りに行動したのにもかかわらずなぜか友達が不機嫌になってしまい、「体型や容姿の話をしていないのに、なんで不機嫌になってしまったんだ」と焦ったり、ショックを受けてしまうという感じです。失敗を通して学習し、こうすれば今度は失敗しないはずだという期待が、見事に打ち砕かれてしまっている状況ですね。
もちろん、失敗から学ぶことは豊かな人間関係には大切なことですが、学んだことに対して「こうすれば必ず上手くいく」というような強い思い込みを抱いてしまっては、うまくいかなった時に大きなストレスになってしまいます。
漠然とした不安や依存心を強く感じているケース
なんとなく日常生活の中で不安を感じている人は、その不安によるストレスから逃れようとするために、つい他人に過度な期待をしてしまいがちです。
とくに、失われた20年、30年という言葉にあるように、将来自分の生活や仕事が保証されているとは限らないという状況だと、なんとかして経済的にも将来的にも安定している結婚相手がいて欲しい、ストレスや経済的な心配のない生活が保証されてほしい、という強い期待を抱く事も無理のないことかと思います。
しかし、不安の根本を自分でなんとかしようとせずに、ただ相手に過度な期待をしてばかりでは、不安の原因が解決したことにはなりません。
安定したものになんとかすがりつこうとするは、それだけ依存心が強い状態とも言えます。依存心が強くなるのは自己肯定感や自信の無さが影響しているので、自信がない人ほど、「人やモノに依存することでストレスを減らしたい」という心理から、過度な期待を膨らませてしまう傾向があります。
価値観が狭く、極端な思考が身についているケース
価値観が狭く、世の中には自分とは違った価値観を持っているという自然なことを理解できていない人ほど、自分の中の当たり前や当然を相手に求めてしまい、その通りにならず傷ついたと感じる事が増えてしまいます。
不安が強くなればなるほど、安定したものや、わかりやすくはっきりした理論(正論、極論など)や思考に寄りかかりたいという気持ちも強くなりがちです。
そういったものに寄りかかっていれば、いちいち不安にならなくても済む、余計な心配事をしなくても済みます。極端な思考や強い思い込みにこだわり、思考停止状態になってしまうと意外と精神的に落ち着いていられるのは、そのためです。
正論のように正しくてツッコミを入れる隙がない意見は、まさにわかりやすい「正義」や「答え」として使われる事がありますね。わかりやすいからこそ、わざわざ「これは本当に正論なんだろうか?」と深く考える必要もないので、のめり込んでしまいます。
周囲から期待されて育ってきた環境にいるケース
子供の頃から両親や先生の期待を全部引き受けてしまい、負担になるような量の期待をかける、かけられるのが人間けでは当たり前だという認識のまま大人になってしまったというケースもあります。
このケースは、いわゆる機能不全家族や毒親に育てられた「アダルトチルドレン(AC)」と呼ばれる人の特徴の一つでもあります。
このタイプの人が子供を持った時にあるのが、自分の親から受けた子育てを繰り返してしまうことです。自分がいつも背負いきれないような強い期待を受けてきて、それを今度は自分の子供にしてしまい、子供がダダをこねたり期待通りに育たなかったので、「自分の子育ては失敗した」とストレスを感じてしまう事があります。
また、さきほど書いた失敗経験の学習も加えて「1人目の子育てはうまくいかなかったけれど、1人目の失敗を活かして2人目は必ず成功するはず!」と期待を強めてしまい、2人目以降も過度な期待をかけて失敗してしまうという事もあります。
自分勝手に期待を膨らませてしまう癖がある
誰かに期待するという行為は、他人の気持ちや立場を考えることが苦手で自分の都合ばかりで物事を考えてしまう人がよくしてしまう傾向があります。
期待をするというのは言い換えれば、自分の中で自分にとって都合の良い妄想をひたすら作り上げ、その妄想通りに相手も動いてくれるに違いない、自分一人で勝手に膨らませた妄想を相手に押し付けていることと同じです。
当然ですが、膨らみすぎた妄想なので相手が自分の思うように動いていくれる…なんてことは起きません。
妄想の中で相手に対してプレゼントやサプライズなど、あれこれ求めすぎている節があれば直していくことが大事です。
そうすることで期待しすぎる性格やつい見返りを求めてしまう性格によるストレスを減らすことができます。
期待のしすぎは自分でストレスを生み出すことになる
期待する心理というのは、単刀直入に言うと自分の中のこうあって欲しいという思い込みや欲望に過ぎません。
当然思い込みや欲望が強くなればなるほど、期待通りのイメージは現実とはかけ離れたものになり、期待通りになる確率は下がります。
期待する対象が自分自身ではなく他人の場合、期待通りに相手を動かすというのはなかなかうまく行かないものです。
育ってきた環境から、考え方や身体能力など、自分とまったく同じのコピーされた人間ではないので、思いのままに動くという事は考えにくいものです。
「きっと自分の期待通りに動いてくれるはずだ!」という期待を込められても
また、期待をかけすぎれば相手に不信に思われたり、「なんか鬱陶しい人だなぁ…」「めんどくさい人だなぁ…」と思われ、距離を取られてしまうことにもなります。
これが恋人関係の場合だと、いわゆる愛が重すぎる、依存心や独占欲が強いと感じられて、別れる原因にもなってしまいます。
もちろん愛が重くても受け入れるような懐の深い人、「ヤンデレ」という言葉のようにメンヘラ気質の相手が好みの人であれば、そういった依存心はむしろ好ポイントになるかもしれません。
しかし、一方的に相手に依存する、期待を寄せるという関係は、互いに自立した人間同士の関係ではないために、長く続けるのは難しく、どちらか一方に精神的な負担をかけてしまい共倒れになってしまうリスクが高まります。
「メンヘラと付き合いうと自分もメンヘラになってしまう」という話は、依存心の強い人に依存され、自立した人が精神的な負担を背負ってしまい、精神的に病んでしまったという状態を的確に表すいい例です。
身勝手な期待で苦しまないためにできること
自信・自己肯定感を身に付ける
不安や依存心から自分勝手な期待を相手にかけてしまう人は、相手に依存せず自立できるように、自信や自己肯定感を育てていくのが効果的です。
自己肯定感は、誰かと比較して自分はすごい、素晴らしい、と思うのではなく、今のままで自分でOKだと思得る気持ちです。
自己肯定感を付けるには、自分がちょっと頑張ればできるような目標を立てて実践することが大切です。
例えば、3日に1回腹筋を30回×2セットするというような簡単な筋トレや、週に2のペースで30分ほどウォーキングをするといった運動を継続していく事は効果的です。
できれば数週間で終わるものではなく、数ヶ月~半年ぐらいかけて頑張れば達成できそうなことを目標にするのが効果的です。
もしも、途中で挫折してしまいそうになったら、目標のレベルが今の自分にとって高すぎないかを確認して、難易度を調整して無事に達成できるレベルに変えていくのがいいでしょう。
相手の事情や気持ちを尊重し、信頼の心を持つ
もしも誰かに対して期待をするときは、自分の理想やこうあるべきというイメージを押し付けるのではなく、相手を信頼する気持ちに切り替えていくのが効果的です。
相手を信頼する気持ちとは、自分の都合や期待を押し付けるのではなく、相手も一人の人間であると理解して、長所や短所といった良い面も悪い面も受け入れることです。
その上で、もしも自分の思い通りにいかなかったのなら、「裏切られた!」「こんなに期待していたのに~!」と自分勝手に感情をわめき散らすのでは相手も傷ついたり、反感をもつようになってしまいます。
その場合は「彼(彼女)がうまくいかなかったのにはそれ相応の事情があったんだから、ただ自分の感情を押し付けてして待っては傷つけることになってしまう」と考えるようにして、相手の気持ちを尊重するようにしましょう。
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