部活でスポーツをやっているときに、なんとなく調子が狂って思うように体が動かせなくなる、今まで自己ベストをどんどん更新していたのに、ある日急に更新できなくなり停滞してしまった…という経験をしたことはないでしょうか。
これは、いわゆる「スランプ」と呼ばれるもので、アマチュアでもプロのスポーツ選手でも陥ってしまうことがあります。
試合でいい成績を出しため、他のメンバーに迷惑をかけないためにはできればスランプにならないように気をつける。あるいはスランプになってもすぐに克服できるようにトレーニングをしておくのが理想的です。
しかし、誰もがスランプからうまく克服できるわけではなく、スランプなのに無理をしてさらに悪化して故障をしてしまったり、燃え尽き症候群になって部活そのものをやめてしまうこともあります。
長く楽しく部活を続けるためには、スランプの上手な乗り越え方を身に付けておいて損はありません。
今回はスランプに陥った時の心理や悩み、克服のためのコツについてお話しいたします。
部活でスランプの時にありがちなこと
最初のうちはスランプの自覚ことは少ない
スランプになる前まではコンディション良好で120%のプレーができていたのに、ある日突然思うようなプレーができなくなっても、すぐにそれがスランプだと認めることはあまり現実的ではありません。
最初のうちは、「なんとなくうまくいかない日もあるなぁ…」と楽観的に捉えていたり、「今まで調子が良かったから、これぐらいではスランプとは言えないだろう」と、あくまでも強気の姿勢を貫こうとして自分を奮い立たせようとします。
しかし、楽観的に見ていても練習を続けていくうちにミスが増える、練習に集中できない、なんとなくだるい、疲労が抜けない、と状態が悪化してきて、どうやら自分がスランプに陥っているという説が濃厚になってきた時に、大体はスランプになったことを認めるものです。
明らかにスランプになっているのにその事を認めたがらない
スランプを認めるというのは精神的な苦痛が伴うものです。
スランプを認めれば
- 今までの練習や努力が否定されたように感じる
- スランプだと認めれば、練習から外されてレギュラー落ちしてしまう
- スランプになったことで更に周囲に迷惑をかけてしまう
という怖さがあるので、なんとかスランプであることを認めず、うまく対処する方法を探そうとします。
また、明らかに体調が悪くなり明らかにスランプを認めようとしない選手は、
- プライドが高い。
- 真面目で努力家。
- 休むことに罪悪感を感じやすい性格。
- 責任感や強い性格
の選手に多く見られるパターンです。
真面目にコツコツ頑張るのはいいのですが、自分の目指すべき目標が高すぎて途中で心が折れてしまうことも多く、スランプに陥っても真面目で責任感が強いことから、練習を休むことに罪悪感や忌避感のようなネガティブな気持ちを感じやすい個性です。
また、真面目であるために融通が効きにくく、精神的なストレスからスランプに陥りやすいタイプでもあります。
真面目過ぎる人だと、不調を感じても「これはただの実力不足なのか?それともスランプなのか」について悩み過ぎて、精神的に参ってしまうこともあります。
練習不足が原因と考えてしまう
スランプになるのは練習量が足りていないから、と決めつけてしまい、無闇に練習量を増やしてしまう選手は少なくありません。
スランプになったときは、焦りが生まれ自信が揺らいでしまうことから、目先の練習や目に見える成果を求めた衝動的な行動が目立ちます。
焦っているから練習量を増やしてそれを乗り越えたという確固たる事実を作りたい。今までできたことができなくなってきたから、とにかく目先の練習で「できた!」と思える経験がしたいと思うようになります。
しかし、この練習方法は純粋に練習量が増えることで体の疲労が増加しパフォーマンスが下がるだけでなく、怪我やスポーツ障害を引き起こすリスクが高まります。
また、闇雲に練習しているので目先の達成感は得られるものの、長い目で見れば練習のための練習になってしまい、試合や大会につながらない非効率的な練習に陥りやすいと言えます。
スランプを隠したがる
スランプを自覚しても、そのことを友達や先輩後輩、コーチなどの他のメンバーに教えず、自分の心の中にずっとしまっておくこともよくあります。
これは、スランプに陥ったことで迷惑をかけたくないと思う気持ちや、スランプだと聞いたらレギュラーから下ろされてしまう事への恐怖感が根底にあります。
また、努力家で自分はまだ頑張れるという人ほど、自分の不調を周囲に悟られないようにすることがあります。
周囲に対して努力している自分をいつも見せているのに、スランプになって頑張れない自分を見せるわけにはいかない…という、自分の体裁やプライドを保つために、スランプを必死に隠そうとしてしまいます。
もちろん我慢してスランプのことをひた隠しにしても、普段の練習での動きにキレがない、記録が伸び悩む、なんだか疲れいるようにみえることから、周囲にスランプであることがバレてしまうことは少なくありません。
スランプの原因として考えらるもの
練習のしすぎ
日本の部活やスポーツの世界では、練習をすることは善とされる一方で、適度に練習を休んだり、練習量を減らすことは悪とみなされる風潮が根強く残っています。
そのため、練習のしすぎで体を壊したりスランプになってしまう選手は後を絶えないどころか、スランプになっても練習内容の見直しや練習量の調整をせず、そのまま怪我をしたりスポーツそのものが嫌いになるまで練習してしまうことがあります。
ストレス・精神的なもの
試合に対するストレス、周囲からの声援や期待がプレッシャーに感じてしまった結果、調子が狂ってスランプになってしまうことがあります。
また、スポーツでのスランプだからと言って、原因は必ずしもスポーツの中(試合や練習)にあるとは限りません。
練習以外での人間関係がスランプの引き金になったり、進路や試験といった将来への不安からメンタルのコンディションを崩してしまうことでスランプに陥るケースもあります。
栄養・休養不足
しっかり練習をしていても寝不足や夜更かしを続けていれば、体はしっかり休まらず疲労が抜けきれないまま次の練習に取り掛かってしまうことになります。
また、過度なダイエットをして必要なカロリーが足りていない、コンビニやファーストフードなど栄養バランスの偏った食生活を続けていることで、疲労回復や良好なコンディションを維持するのに必要な栄養が足りていないために、コンディションを崩しスランプに陥ってしまうケースもあります。
練習内容と自分の実力の不一致
スランプになる選手は、練習内容が自分の自分の実力と見合っていないことがあります。
練習内容は優しすぎ、難しすぎず、その選手にとってだいたい同じレベルである必要があります。
初心者に対してプロレベルのハードな練習をさせても続かないの、プロの選手に対して初心者レベルの練習をしても退屈すぎて集中できないことは想像できるとおもいます。
今の自分実力とだいたい同じレベルの練習をしないと、試合でいいパフォーマンスをする、大会で自己ベストを残すための効率的な練習にはなりません。
スランプを乗り越えるためにできる対策
辛い時は休養を取るようにする
スランプに陥ったときは焦や自信のゆらぎから練習せずにはいられないと感じて、闇雲に練習に取り掛かりがちですが、そこは一度堪えて練習量を減らしてみる、一定期間練習を休んで心身ともに疲れを取り除くようにします。
休むことで体の回復力を元に戻す、いつも疲れていた筋肉から披露を取り除く、メンタル面でも一度スポーツから離れて冷静な目で普段の練習や自分自身を見れるようになります。
焦っている時というのは、自分は冷静だと思っていても、どこか落ち着いていなかったり衝動的な行動を取ってしまいがちなものです。
そのようなスランプによる焦りは「時間」が解決への手助けになってくれることを覚えておきましょう。
栄養のある食事を取る
普段の食生活に栄養の偏りがあるのなら、バランスのとれた食事を摂って練習で使ったエネルギーを回復できるように心がける必要があります。
また、ダイエットのために食事の量を減らしたことがスランプに繋がっている場合は、食事量を元に戻して、しっかりコンディションが整えるように努めましょう。
陸上長距離や新体操、バレエなど、体重が軽いことや体重を減らすことでパフォーマンス向上につながるスポーツをしている場合は、むやみにダイエットを推奨せずしっかり食事をとることを徹底することもスランプ防止には効果的です。
練習内容を自分の実力にあったレベルに変えていく
練習メニューは難しすぎず、やさしすぎず、今の自分の実力にあったものにすると効率的な練習になります。
スランプに陥ってしまったときは、今まで自分がやってきた練習が今の実力では物足りなくなっているということが原因になっていることもあります。
逆に、急に新しい練習を試してみたけど、その練習が今の自分の実力では到底できないほど難しいのでスランプになってしまったということもあります。
なんとなく伸び悩んでいる、スランプ気味の人は今までの練習内容を振り返って見て、「自分の実力ではちょっと物足りない」または「今の自分だとこのレベルはかなり厳しい…」と感じる練習メニューがあったら、ちょっと調整してみるようにコーチや監督と相談してみるようにしましょう。
スランプを克服には、ある程度時間をかけるのが大事
スランプになっているときは、「一秒でも早くスランプから脱出したい」という気持ちで頭の中がいっぱいになり、精神的に疲れてしまうことがよくあります。
はやくスランプから脱出しないと、他のメンバーに遅れをとってしまう、他のメンバーに迷惑をかけてしまう、という焦りはスランプからの脱出を遅くさせる原因となるだけでなく、更なる不調を招く原因となることもあります。
スランプから脱出するためには、数週間~1,2ヶ月程度の長いスパンで練習計画を立て直して、ある程度時間をかけてゆっくりと直していくようにしましょう。
長めの練習期間を設けることは、途中で中だるみしてしまうというデメリットもありますが、精神的な余裕がある分、不調になってもメンタル面でパニック状態になりにくいというメリットもあるのです。