FacebookやtwitterなどのSNSは、今や個人も企業を当たり前のように使用しているサービスです。
しかし、SNSではふとした投稿が原因となり、大量の誹謗中傷のコメントが来たり、呟いた本人の個人の晒し上げに発展するなど、いわゆる「炎上」に誰でも巻き込まれるリスクがあります。
炎上は個人レベルでも企業レベルでも発生し、一度炎上に巻き込まれてしまうと
- 数多くの非難や中傷のコメントに苦しめられる。
- 感情的に反発したことから、更に炎上が加熱してしまう。
- 過去の発言や投稿を掘り返されて更なる炎上に発展する。
- 嘘やデタラメの情報がアップされ、不特定多数の人に閲覧されてしまう。
- 個人情報が特定されることで、電凸(電話による突撃取材)、メル凸(メールによる突撃取材)が起きる。
- 住所が特定されネットストーカーをおびき寄せてしまう。
- 自分の所属先の企業・団体の関係者にまで迷惑行為が広がる。
などの、事態に巻き込まれてしまうおそれがあります。
とくに、炎上と言えばネット上で完結すると思われがちですが、電凸のように電話番号がメールアドレスなどの連絡先に関する情報が炎上で広まってしまうと、自分のリアルの生活に直接的な被害を受けるリスクがあります。
今回は、そんなSNS上での炎上を避けるための対策についてお話いたします。
炎上よりも前にまず知っておきたいこと
炎上の対策について述べる前に「SNSでなぜ炎上が起きるのか」という背景を知っておくことが肝心です。
SNS上のコミュニケーションはリアルの世界の対面のコミュニケーションとは性質が異なります。
SNS上の交流は不特定多数の人から閲覧できるということ
リアルのコミュケーションはその場に居合わせた人だけが話に加わったり、話の内容を聞くことができます。
しかし、SNS上のコミュニケーションはその場に居合わせた人以外にも話の内容が筒抜けになり、自分達と全く関係のない第三者に投稿の内容が閲覧され、誹謗中傷のコメントが来ることがあるということです。
身内や面識のある友達同士でSNSでつながっていても、例えば
- 友達の友達(の友達…以下略)として自分の投稿にたどり着いた人。
- 匿名掲示板やまとめサイトに貼られたリンクからたどり着いた人。
- ある話題について、検索サイトの結果からたどり着いた人。
などの、不特定多数の人から自分の投稿が閲覧できてしまいものだという性質を理解しておきましょう。
SNS上では話題のねずみ算式に拡散される
リアルのコミュニケーションとSNS上のコミュニケーションとでは、後者の方が話題が拡散されるスピードは格段に速く、ねずみ算式にそれも大量の人に拡散されるという特徴があります。
内容によって何十万、何百万もの人が、炎上によって自分の投稿を閲覧することもあります。
また、炎上が特定のSNS内に留まらず、コピペされて他のSNSに伝わって拡散されたり、匿名掲示板やブログ、まとめサイト、ニュースメデイアに掲載されて拡散されることもあり、様々なコミュニティにまで炎上が及ぶこともあります。
投稿を消してもスクショで保存されていれば意味はない
SNS上で炎上の発端となった投稿を削除したり、自分のアカウントを閉鎖したとしても、投稿された内容が第三者によってスクリーンショットで保存されていたり、メモ帳などにコピペされていれば、アカウント削除後も自分の投稿した内容を完全に消し去ることはできません。
また、炎上するような発言をしている人は本格的な炎上に発展する前から、既に誰かから投稿内容を密かに保存していたり、ウェブ魚拓などのネット上の投稿を保存するサービスに保存されていることもあります。
この場合、炎上が起きた時点で即座に投稿内容やアカウントを削除しても、既にネット上に自分のコントロールが及ばないところに情報が保存されているため、削除そのものが無意味となってしまいます。
SNSで炎上を防ぐ対策
誹謗中傷・プライバシーの侵害になる投稿をしない
SNSは自分の思った事をなんでも自由につぶやけるものだと勘違いして、誹謗中傷になるような乱暴なつぶやきを投稿したり、他人のプライバシーを侵害するような発言(個人情報、連絡先、触れられたくない話題等)や写真を投稿してしまうことで、炎上に発展することがあります。
リアルのコミュニケーションと同様に、自分の発言に乱暴な言葉が含まれていないか、誰かのプライバシーを侵害しているものではないかよく気をつけて利用することが重要です。
また、仮にアカウントに鍵をかけて、友達同士でしか交流できない状態にしていても、その友達がスクリーンショットで画像を保存して、別アカウントでその内容を投稿すれば、自分の知らないところで自分の投稿が拡散される可能性も否定できません。
また、直接面識のある相手のアカウントが乗っ取らる、本人以外がスマホをのぞき見てSNSにログインしたことで拡散される、というケースも否定できないことを念頭において利用するようにしましょう。
嘘・誤まった情報を含んでいる情報を投稿しない
炎上になる原因として、嘘が誤情報、デマなどの事実と異なる情報をわざと投稿したり、よく知らべもしないうちに投稿するのは控えるのが重要です。
これに関しては、2016年に起きた熊本地震の後に「動物園からライオンが逃げた」という嘘の情報を投稿したために、偽計業務妨害で20歳の男性が逮捕されたという事例からもわかることです。
嘘の情報は、内容によっては事実の情報よりも人の気持ちを煽りやすいものになり、SNS上で拡散されやすい性質を持っています。
また、自分から嘘の情報を発信するのではなく、誰かから回ってきた情報に関しても安易に拡散せず、本当に事実なのかどうかを冷静に調べてから拡散するかどうかを決めることも大事です。
犯罪自慢などの社会的に認められていない投稿をしない
2013年の夏頃、コンビニの冷凍庫内に悪ふざけで入った写真が拡散されて、該当コンビニが休業に追い込まれたニュースが話題になりました。
また同時期には
- 業務用食洗機内にふざけて入った写真が拡散される。
- ピザチェーン店でピザ生地を顔面に貼り付けた写真が拡散される。
- 来店したサッカー選手の情報をバイトが呟いたことで拡散される。
などの、いわゆる「バイトテロ」「バカッター」と呼ばれる迷惑行為の数々がSNSに投稿されて問題になりました。
また、未成年の飲酒・喫煙、飲酒運転、万引きなどの犯罪に当たる行為を、SNS上に自慢したことで炎上し、警察沙汰に発展したこともあります。
もちろん、これらの行為は社会的に認められるわけではなく、これらの行為を自慢のようにSNS上にアップすれば非難が集中するのは火を見るよりも明らかです。
犯罪をしないことがまず第一ですが、犯罪ではないグレーな行為だからと言って不特定多数の人から閲覧されるSNS上にアップするべき内容ではありません。
仕事で知り得た情報を投稿しない
仕事をする上ではあまり意識することはない人も多い思いますが、どのような職業であってもある一定の守秘義務を守ることは重要です。
- 仕事で知り得た顧客の情報
- 会社内における金銭のやりとりに関わる情報
- その他、漏洩することで会社に対する損害を与える情報
などの、自分がしている仕事に関する情報を、不特定多数の人から見られるSNS上にアップしないことが重要です。
発信した内容次第によっては、会社の信用の失墜、ブランドイメージの毀損に繋がり、多大な損害を与えることになります。
もちろん、これは正社員に限らず非正規社員、アルバイトでも守るべきルールです。
安易な炎上マーケティングに手を出さない
人によっては炎上マーケティング(炎上商法)のように、あえて炎上することで自分自身の宣伝目的や自分の所属する団体の知名度を上げる目的で、意図的に炎上を招くような過激な発言をすることがあります。
彼らは炎上そのものを肯定的なものとして考え、自分のフォロワーに対して炎上を推奨するような発言をすることもありますが、それはあくまでもポジショントークであり誰もが気軽に真似して問題ない、と呼べるものとは到底呼べません。
また、炎上マーケティングは仮にうまくいったとしても、その最中でデマの情報が拡散されたり、自分に関わる人・集団に被害が及ぶこともあり、当の本人だけの問題に収まるとは限りません。
もしも可能ならしておくべき炎上対策
ここからは、場合によってはしておくのが望ましい炎上対策について説明します。
飲酒時のSNSの利用を避ける
飲酒して酔っ払っているときに、流れにまかされシラフでは言えないような過激な発言をしてしまえば、それが原因となり炎上に発展することは否定できません。
SNS上で投稿された内容は、投稿者本人が酒に酔っている酔っていない関係なく、その本人の発言として受け取られるものです。
また、後々になってアルコールのせいで自制心が緩んでいたと説明しても、その発言を炎上の火消しや言い訳だと捉えられ、更なる炎上を招くリスクがあります。
酒癖が悪い、酔うとつい大きな口を叩く癖がある人は、お酒を飲んだらスマホやPCなどに触れないようにして炎上を防ぐ事も、対策の一つといえます。
複数人で投稿内容をチェックしてから投稿する
企業や団体が運営している公式アカウントの場合、投稿するまえに内容を複数人でチェックして、
- 挑発や煽りと受け取られる内容ではないか。
- 誤解を招くような表現をしていないか。
- 事実と異なる情報がふくまれていないか。
- 誤字脱字が無いか。
などのチェックをした上で、SNSに投稿することも炎上を防ぐ対策と言えます。
とくに企業・団体のアカウントの場合、仮に小数の人でSNSを運営していても発言内容は企業・団体全体の意見として受け取られる傾向があるので、投稿する前に内容を精査することは、イメージを損なわないためにも必要と言えます。
複数のアカウントを持っている場合、機器事にアカウントを使い分ける
いわゆる裏垢のように、表のアカウントと裏のアカウント、パブリックなアカウントと個人のアカウントといった、複数のアカウントを持っている人は、両者を混同して使ったために炎上を招くことがあります。
twitterのアプリだと、アカウントを複数登録してもタッチ一つでアカウントの切り替えができるために、こうしたミスが起こりやすます。
アカウントの混同を防ぐためには、機器ごとに使えるアカウントを固定しておくことがある一定の効果を発揮します。
なお、「ある一定の」としているのは、機器ごとにアカウントの使いわけをきっちりしていても、自分の勘違いから表垢で裏垢の呟く内容を投稿してしまった、というっかりミスがあるからです。
いくら機器ごとにアカウントを固定しているとは言え、自分の不注意で混同してしまっては意味がないので、複数のアカウントを持っている人は運用により慎重になることが大事と言えます。